『侍タイムスリッパー』を観てきました
こんにちは。
鴨井奨平です。
近所のシネコンでも先週金曜日から公開されたということで、
今話題のインディーズ映画『侍タイムスリッパー』を観てきました。
この作品おもしろいです。
以下にネタバレ有りの感想を書きます。
これだけヒットしているわけですから『侍タイムスリッパー』に対しては好意的な意見が当然多いのですが、その一方で否定的な意見も私の目には入ってきました(「万人にとっての傑作映画」を作ることなどおそらく不可能なので当たり前なのかもしれませんが)。
それは、技術面がどうのこうの、演技がどうのこうの、など。
しかし少なくとも私は『侍タイムスリッパー』の技術(撮影や録音、編集)によって劇場でストレスを感じることはありませんでしたし(観客に「余計なストレス」を与えない、というのはとても大事なのです)、
俳優の芝居に関しても、それぞれのショットにおいて「観客に伝えなくてはならいないこと」がしっかり表現されていたいたと思います。映画の作風的にも「演技派」的な芝居は必要無いですし、私は映画の内容にとても合致した演技だったと思いました。
酷評の感想に対しては、「どうしてここまでクソ味噌にこきおろすんだろう?」というのが私の素直な思いです。
私は時代劇に対してはそれほど造詣が深くないのですが、『侍タイムスリッパー』はそんな私でもかなり楽しめたエンタメ作品となっております(ちなみに、私が一番好きな時代劇映画は『たそがれ清兵衛』です)。
劇中で私が最も感銘を受けたのは、主人公・高坂新左衛門(山口馬木也)がショートケーキを食べて涙を流したシーンです。ここは山口馬木也氏の演技が素晴らしかった。この涙には、高坂の様々な感情が表現されていました。
ショートケーキの美味しさへの感動、
倒幕から百数十年で日本が(高坂新左衛門の目線で)「素晴らしい国に変貌していた」ことに対する嬉し涙。
一方でこの涙には徳川幕府が滅びたに対する悲しみや無念、
そして「拙者たちが負けて日本がここまで良い国になるなんて。では拙者たちが命を賭けて戦った意味とは……?」という疑念も含まれていました。
それがしっかり私に伝わってきました。監督の演出、山口氏の演技力の妙を感じとりました。
そして物語後半は、「仇敵を許せるか?」という話に展開していくのですが、これも良かったですね。
長州と会津は犬猿の仲。
会津藩士である高坂新左衛門は、長州藩士の風見恭一郎(冨家ノリマサ)に対する憎しみを捨てきれないのですが、
共に時代劇を作り上げる中で、「方向性は違ったが、長州も結局は「日本を良くしたい」という同じ志のために戦っていたのだ」と思い至った。ラストの殺陣は感動的でした。
総じて、かなり質の高い映画でしたので、同じインディーズ作品の作り手としては結構ビビりました。「よくこんなモン撮ったよな……」と。
総制作費約2600万円のうち2000万円が自腹って、狂気ですね。これほど映画がヒットして、赤の他人である私もなんだか安堵しております。2000万円といえど、流石に回収できるんじゃないですか?(配給会社等とどのような契約を交わしたかはわかりませんが)
私も、私のペースで地道に歩んでいこうと思います。
今回はこのへんで筆を擱きます。