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(ちょっと気が早いけど)24/25シーズン前半戦のSSCナポリ振り返り

こんにちは。
鴨井奨平です。
ちょっと気が早いですが、冬の移籍市場が開く前にと思い、24/25シーズン前半戦のSSCナポリを振り返ろうと思います(2024年12月27日時点)。

ナポリを応援している身として、昨季が酷すぎたので開幕前は不安だったのですが、いざ開幕してみると現在暫定2位(インテルナツィオナーレ・ミラノ(以下、インテル)が1節未消化)。
正直試合内容はかなり厳しいものもありましたが(セリエA第3節パルマ戦とか、第8節エンポリ戦とか)、なんやかんや勝ってしまうんですよね。さすがはアントニオ・コンテ監督です。見事にチームを立て直したと言って良いでしょう。

なぜ今季のナポリは息を吹き返したのかというと、
まず、守備の立て直しがあげられます。ここまでリーグ最少の12失点となっており、今季のナポリの特徴をあらわしていると言えます。
少ないチャンスをモノにして、守り勝つ。
昨季と比べるとピンチ時の帰陣が速いです。すぐさまボックス内のスペースを選手たちが埋めてくれます。コンテ監督のトレニーングは厳しいことで有名ですが、その成果が出ているのかもしれません。
そして守備に関しては、DFアレッサンドロ・ボンジョルノ(イタリア代表)について言及しなくてはなりませんね。昨季はフアン・ジェズスがアミル・ラフマニ(コソボ代表)の相方を務めていました。しかし言いにくいのですが、ジェズスは守備の穴になっていた印象です(ごめんジェズス)。集中力も強度も、状況判断力も不足していました。それが今季になってラフマニの相方がボンジョルノに代わり、すんなりCB問題が解決してしまいました。現在のナポリのセンターラインは非常に安定しており、そのキーマンはボンジョルノだと言って良いでしょう。
また、ナポリが劣勢にも関わらず「なんやかんや勝ってしまう」のは、GKアレックス・メレトが好セーブを連発してくれているのも一因です。メレトは一体、勝ち点をいくつ拾ってくれているのでしょうか。この前のセリエA第17節ジェノア戦も危機を幾度も救ってくれました。
昨季のナポリが48失点を喫したことを考えると、今季の躍進は守備の改善によるところがやはり大きいと思います。

今季のナポリの攻撃について考えると、キーマンは実はDF陣なのではないかと考えています。左SBマティアス・オリヴェラ(ウルグアイ代表)と右SBジョバンニ・ディ・ロレンツォ(イタリア代表)が積極的にオーバーラップを仕掛けたり、内側に絞ったりしています(特にオリヴェラは昨季と比べるとこういった動きが段違いに上手くなっています)。そしてボンジョルノは積極的に前にボールを運んでくれますし、ラフマニはチャンス時に前線に顔を出してくれます。これにより敵陣スペースにギャップが生じ、ナポリの攻撃陣はそこを利用します。
あるいは、最前線のロメル・ルカク(ベルギー代表)がポストプレーでボールを収めたところで、2列目のスコット・マクトミネイ(スコットランド代表)とザンボ・アンギサ(カメルーン代表)ボールを前に運んでくれます。ここでマクトミネイの前への推進力が活きてきます。開幕前は「どうしてコンテはマクトミネイを獲得したんだろう?」と思っていたのですが、この内容のサッカーでしたら彼が適任だと思います。
総じて今季のナポリの攻撃は、
チーム全体で高い推進力でもってボールを前に運び、ギャップを作り出してフィニッシュする、
と要約できると思います。
ここで気の利く動きをしてくれるのが、アンカーを務めるスタニスラフ・ロボツカ(スロバキア代表)です。彼は守備陣がオーバーラップした際に生じる自陣スペースを適切に埋めてくれます。ロボツカはセリエAでも随一のレジスタで、彼の動きを目で追っているだけでも面白いです。
前述の通りセンターラインは安定しており、その両翼には個で違いを生み出せる選手が配置されています。スタメンは左WGクヴィチャ・クヴァラツへリア(ジョージア代表)と右WGマッテオ・ポリターノ(イタリア代表)となっており、積極的にカットインを仕掛けていきます。また、彼らの控えとなる今季新加入のWGダヴィド・ネレスも、両サイドで印象的なプレーをいくつも見せてくれています。
ここまで述べて思うのは、昨季と違って今季は新加入選手がしっかりと活躍してくれていますね。これもナポリ立て直しの一因でしょう。

一方で、今季のナポリをここまで見続けて物足りなく思うこともあります。
それは、昨季までナポリに所属していたMFピオトル・ジエリンスキ(ポーランド代表/現インテル)の代わりを務めることのできる選手がいないことです。
具体的に述べると、崩しのパスを出すことができて、相手のプレスをパスで回避することのできる選手です。今季はこのようなプレーでチームを助けてくれる選手が不在です。ジャコモ・ラスパドーリ(イタリア代表)がトップ下的に使われることもありますが、上記のようなタイプの選手ではありません。先ほど述べた攻め方以外にも、パスで攻守に貢献することのできる選手がいれば、ナポリはさらに多様な攻め方ができるはずです。個人的には、今冬の補強ポイントはここなのではないかと思っています。

やや長く書きすぎましたね。まとめに入ります。
ナポリは現在セリエAで2位に位置していますが、やはり優勝は難しいでしょう。アタランタとインテルと比較すると、チーム力に大きな差があるからです。個人的に、今季の優勝はアタランタなのではないかと思っています。今季のインテルはUEFAチャンピオンズリーグ(CL)に重きをおいている印象ですからね。そしてアタランタとは第11節で対戦しましたが、めちゃくちゃ強かったです。
しかし、このままいけば4位以内フィニッシュ、すなわちCL出場権獲得の可能性は高いのではないかと思っています。ユヴェントスがリーグ戦後半で一気に調子を上げたら分からないですが。
一方で、ナポリに関して不安事項をあげるとすると、上位チームには勝てていないことでしょう(その反面、中位以下のチームに対しては取りこぼしがほとんどありませんが)。後半戦はどこかで上位チームに勝たねばなりませんね。来季もCLに出られない、なんてことになったら、ナポリは財政的にかなりのピンチになりますから。
そしてもう一つの懸念点は、ラスパドーリの去就でしょう。彼はイタリア代表の10番を背負うこともあるタレントですが、そのプレースタイルとチーム戦術が噛み合わず、ほとんど試合に絡めていません。イタリア代表の10番をベンチに座らせておくのは非常に勿体ないですよね。そして彼には(真偽はわかりませんが)他クラブからのオファーが届いているようですし、条件が折り合えばナポリを離れてしまうことも十分考えられます。ラスパドーリはまだ24歳ですし、今後のキャリアを考えれば「ナポリ以外のクラブでチャレンジしたい」と思うのも自然だと思います。個人的にはラスパドーリのプレーからロマンを感じていたので、ナポリに残って欲しいと思っていますが、去ってしまっても仕方が無いな、と……。

以上、長く書きすぎてしまいました。
来季はCLで戦うナポリを観たいなぁ。
後半戦も頼みます。

今回はこのへんで筆を擱きます。

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