Hidden Jiu Jitsu -スカーフ・ホールド-
ヘンリー・エイキンスとは?
サウロ・ヒベイロの『柔術大学』について紹介した記事を書き上げた後で、「次はヘンリー・エイキンスについて書いてみたい」とずっと思っていた。
私にとって『柔術大学』を読んだ事が、今日まで変わらぬ柔術の基礎ないし土台を作ってくれたのだとすれば、ヘンリー・エイキンスは私の柔術に肉付けをしてくれた存在である。
さて、「ヘンリー・エイキンス」という名前を聞いても、ほとんどの方は「誰?」と思われる事だろう。
詳しくは下記のリンク(注1)を参照して欲しいが、ペドロ・サウアー、シェーン・ライス等と並ぶヒクソンの数少ない黒帯(AXISの渡辺先生もその一人だが、これまでにヒクソンが出した黒帯は世界に10人もいないと聞いている)で、世間的にはクロン・グレイシーの師匠として知られている。
注1)
クロンの師匠は、実際にはシェーン・ライス(注2)だという説もあるが、一時期ヒクソンのアカデミーのヘッドインストラクターを務めていた事から、ヘンリーはヒクソンの一番弟子だとアメリカでは見做されている。
注2)
本稿では、彼の代名詞とも言える「スカーフホールド」について、書いてみたい。
予め断っておくが、本稿の内容は「公式試合で勝つためのテクニックを知りたい」という方にはほとんど役に立たない。
むしろ、「競技柔術とは違う世界がある」事を伝えるのを目的として書いている。
スカーフホールド(袈裟固め)
柔術でスカーフホールドが使われないのは何故か?
さて、皆さんは「スカーフホールド」こと「袈裟固め」系の押さえ込みをスパーリングや試合でどの程度使っておられるだろうか?
私の場合、出稽古に来られた方とスパーリングをする時や試合中に「スカーフホールド」に捕らえられた経験がない。
彼らは、私をパスしたらまず「横四方固め」で押さえ、そこから「ニーオンベリー」や「マウント」を狙う、もしくはそのまま「サイドアタック」を仕掛けるという展開になるのが普通である。
「スカーフホールド」ポジションからのアタックがないわけではない。
この動画にはニアサイドへの「アームロック」やファーサイドへの「アメリカーナ」等が収録されている。
だが、こうしたテクニックを打ち込みして覚えたとしても、「スカーフホールド」ポジションに入ることがなければ、それらは全て宝の持ち腐れになってしまうだろう。
そもそも「なぜスカーフホールドがブラジリアン柔術(BJJ)で使われないのか?」という理由を考えて見ると、やはり「袈裟固め系は押さえ込みとして弱く、失敗すればバックを取られる」という考えが常識になっているのからかも知れない。
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