定石を疑え-「パスガード」についての覚書 その2-
はじめに
以前書いた記事の中で、BJJ・グラップリングにおける「ガード」ポジションには、「オープンガード」と「クローズドガード」の2種類があると説明した。
この記事の中では、「オープンガード」の「パスガード」について私見を述べたが、本稿では残る「クローズドガード」の「パスガード」について書いてみたい。
BJJの初心者は「クローズドガード」についてどういう印象を持っているだろうか?
「上の帯の人に入られたら、固くてどうやって割ったらいいか分からない」という人も多いだろう。
競技柔術に打ち込んでいる人に聞けば、「膠着を誘発していたずらに時間を浪費するから、試合には向いてない」と答える方もいるかもしれない。
「クローズドガード」は、相手の胴の後ろで自分の両足を組む「ガード」ポジションを指すが、そのシンプルな定義からも分かるように「ガード」のバリエーションは一つしかなく(注1)、「パスガード」のテクニックも「オープンガード」のそれと比べると自ずと数は少なくなる。
今回の記事を書くに際して「クローズドガード」の「パスガード」について扱った動画をざっと見てみたが、ガードをパスして抑え込む事よりも、ボトムの組んだ両足をどうやって「割る」か?という点に焦点を当てて解説しているモノがほとんどだった。
注1)「クローズドガード」から派生したポジションとして、「サイドクローズドガード」や「オーバーラップアーム」がある。
「サイドクローズドガード」は「クローズドガード」からバックテイクに至る過程を切り取って一つの独立したポジションとしたモノであり、「オーバーラップアーム」はトップを前に崩して、その腕を下から巻いて固定し、「クローズドガード」のアタックポジションとしての側面を強化している。興味のある方は下記動画を参照して欲しい。
一般に「クローズドガード」の「パスガード」として使用されているテクニックは次の3つである。
「スタンドアップパス」
「ニースプリット」
「クラシックスタイル」
もし誰かに「クローズドガードに対するパスガードテクニックを教えてくれ」と問われた場合、私の回答は以上に尽きる。
「インサイド・クローズドガード」でまず何をすべきか?
だが、「クローズドガード」を「パスガード」する際に注意すべき点があるとしたら、上で紹介したような「パスガード」テクニックを覚える事ではないと私は考えている。
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