トービョー日報.5
痴呆糖尿いきなり癌
"癌"
身近になった人が居なかったわけではない。
でも失念してた。
病院へ行くたびに新しい病気がみつかり、その一つ一つに驚き家族で話し合った。
そして今回は"癌"
今の段階では疑い有りと言われ説明を受ける。
まぁ、先生の話を聞くまで大変だった。
分かったことが2つ。
1つ目は、父さんは待たされる事が異常に嫌がる事。ビックリするくらい短気になり、途中で帰りそうになる。
これも前頭葉の萎縮のせいだろうか。
当然、陰謀論も出る。
2つ目は、孫パワーは絶大だと言う事。
俺や姉には愚痴のオンパレードだが、姉の娘には優しい笑顔だ。
彼女や他のTEAM孫が居れば、父さんは素直に病院へ行き、素直に検査を受けてくれるだろうと思ってたのは俺の浅慮だ。
初めに廻された消化器内科。
CTを見て先生が"癌の疑いありですね"と言った。
俺はビックリした。もっとこう家族だけにひっそりととか、詳しく検査をしてから結果発表だのを想像していた。
ピッチャー第1球でいきなりホームランを打たれた感じよ。まぁでも疑いありだから。
先生の話は続く、"CTの専門家の先生の見立てではほぼ間違いなく癌です"と。
第2球目もホームラン打たれたわ。
疑い有りの言葉の軽さよ。CT画像にマーカーまでしてあったわ。
"動揺"
付き添いの俺たちは勿論動揺した。
"オレはトシだからもう2.3年で死ぬ"と10年前から言っていた父さんだが、診断によりリアルになった死への恐怖か、診断のストレスからか、この時認知が一気に進んだ様に感じられた。
先生に如何にして痩せていきビックリしたかや、血縁でこの様な病気になった人は居ないとか同じ話を繰り返していた。
糖尿病だから食事や運動とか管理するのが大変だろうなと姉と話していたが、それを飛び越えてきた。
"オレ、風呂はいるどぎ、ふぐ脱いではぁびっぐりしたじゃ。皮もなんも垂れ下がって、なんだばと思ったじゃ。どうするべ。。。"
この時、笑える伝承ではなく、"癌"と診断された父さんの悲痛な訴えに変わった。
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