輸出超過で食料自給率を向上させ、世界の食糧事情を掴め

日本の食料自給率は30%程度で、海外からの食料輸入が無くなれば国民生活が危機的な状況になると言われています。その一方で「飽食の時代」「残飯大国」という言葉も存在しており、大量の食料が氾濫しているのは間違いない事実です。また、生産の場では食料価格を維持するために「減反」を行い「自給率が低い中敢えて作らない」という行動もとっております。言われている数字と相反する行動は、考えるほど疑問が出ると思います。

まず「食料自給率」から解いていきたいと思います。
自給率は「国内で生産された食品のカロリー」を「国内で消費された食品のカロリー」で割った値です。数字を左右するのは「カロリー」のみであり、ビタミンやミネラルといった他の栄養素は一切考慮されません。日本の代表的な農産物である米のような「低カロリー」の食品は、いくら頑張って生産しても食料自給率に影響を与えることは難しく、バター等の高カロリーの食品は少しの量でも自給率につながってきます。米や野菜や果物だけではなく、バターや肉といった高カロリーのものの国内生産を進めることが自給率向上には重要なことです。

また、この自給率に対しては「人口」や「残飯」といったものは計算されません。つまり「残飯大国」と言われる日本は残飯を出す余裕がない国よりも「一人一人が大量に食べている」という計算になっています。逆に経済封鎖等で食糧不足になり餓死者が出ているような国があるとすれば、外国の食料が一切入ってきていないので「食料自給率100%」ということになります。食料自給率は現状の日本よりもずっと高いはずなのに、実際に餓死者が出ているのはそちらであるというのが現実なのです。

更に言えば分母が「国内で消費」なのに対し、分子が「国内で生産」という計算式です。食品を輸出した場合「国内で生産」したのに「国内で消費していない」ことになります。国内で大量に生産してその分を国外に輸出している国があれば、その国は「自給率が100%を超える」わけです。

ここまでをまとめると
・自給率が高いから国の食料事情が安定しているということではない
・自給率にこだわる場合カロリーにシフトした食品生産に向かうべき
・輸出すれば自給率が100%を超えることも可能
ということです。過去にマニュフェストで「自給率100%」を謳い上げた政党がありますが、これらの知識すら存在するか疑問です。ただ人目を引くために勇ましい数字にするにしても、知識が無い人の知るきっかけとするために敢えて「輸出超過で自給率120%」のような掲げ方が出来なかったのかとは思います。

では実際にどういう手を打っていくかを考えていきたいと思います。

自給率が高いから国の食料事情が安定しているということではないといっても、自給率が低い状態で食糧輸入のストップを食らえば国民が困るのは間違いないことです。残飯が多いとは言っても利便性や食文化の向上につながっている部分もあるので、自ら輸入を止めるのは賢い選択とはとても言えないでしょう。国内に大量に食料が出回ればその分相場の低下によるエンゲル係数の軽減に繋がります。また、チョコレートの原料のカカオのように日本国内での生産が現実的ではない食料もあるため輸入ストップはすべきではないでしょう。

また、食品生産をカロリーにシフトさせていいかも考えものです。人間に必要な栄養はカロリーだけではなく、生産にあたっても日本の環境に合うかという疑問が発生します。研究開発の進展で新たな作物が出る可能性もあるので、一様に言えることではないでしょう。ちなみに先程も出したカカオは高カロリーであることが有名です。高カロリーな食料品が輸入が基本である中、バレンタインデーのようなイベントでの強い販促がなされています。食料自給率を上昇させないための陰謀が潜んでないかと陰謀論じみた話も無いか気になるところではあります。

では輸出はどうでしょうか。生産調整を完全禁止し、過剰作物は輸出或いは支援物資として海外に出すことで国内の流通を調節し、価格を維持するという方法です。

今までは「外国に農産物を流せばその国の農業が壊滅する恐れがある」という反論がありました。自分はこれを「最大の愚」だと考えています。支援物資として海外に農産物を出す場合、行先は多くの国民が餓死しているような場所になるでしょう。そういう国の農業は率直な話「何をやっているんだ」と批判すべきです。農業従事者すら食う食わずでやっとやっとの状態か、国民の餓死を尻目に見ながらも独占して利益を貪っているか。大量の食品を流入させて何の問題も無いでしょう。そもそもその国は農業を産業とすることに適しているとは思えないので、別な産業を育てるのが本来であると思われます。中東の産油国は国土の大部分が砂漠を占めていて食糧生産は絶望的ですが、石油という強力な 資源を抑えていることを強みに立ち回ることで国民が餓死するような状況は余裕で避けられていると思います。

大体が日本の農産物はまだ輸出の販路を十分に確保できているわけではなく、どこの農業にも傷一つ与えてない状況で「壊滅」まで心配するなどまさに「噴飯物」でしかありません。また自国の食料事情や産業を考えるにあたって、自国の問題よりも他国を先に心配するなど順番がおかしい話です。そんな考え方だから拉致問題も何十年も解決しないままなんだと思います。自国を安定させた上で次は関係していく他国との共益を図る、これはどんな世の中であっても鉄則だと思います。

世界的に見ればこれから食糧事情がどんどん厳しくなっていくのは目に見えている話です。そんな中水資源が豊富で食糧事情が豊かな日本の環境は、外交において大きな強みになるのは言うまでもないことでしょう。中東が石油という資源を抱えているのと同じように日本も食料を戦略的な資源として抱えていくべきなのです。現実は「食糧を戦略的資源」どころか低い自給率であり、無能ここに極めりといった有様です。

ここで忘れてはならないのは、輸出を超過させるとは言っても「国内の流通を疎かにしない」ことです。圧倒的な高値での食料の買い付けに飛び付き、その後を戦えなくなった「渇え殺し」という兵糧攻めの話がありますが、同じように国民が食うに困るほど売るのは論外ですし、餓死まではいかずとも食料価格が高騰する事態は避けなければなりません。

手順としてはまずはともかく大量生産し、国内の相場が一定になるだけの分量を国内に流す。余った分は国外に売りに出す。現状は「付加価値の高い農産物」の輸出にばかり目を向けていますが、食糧事情を押さえるにあたっては贅沢品ではなく日用向けの食糧輸出を強める必要があります。

ここは国が積極的に介入するのが一番だと思います。出荷量に応じて相場に関係なく一定の報酬を支払い、国内外への出荷量を分配する。長きにわたり「自給率が低い」状況を解決すらできないまま価格維持は安易に減反に頼っていた、そんな各関係機関は事実として「愚劣」です。が、その一方で同じ期間ずっと食料自給率を算出していた能力は必要と認めざるを得ません。今までは使い方を間違っていた能力を単純に向きを変えるだけなので、十二分な活躍が期待できるはずです。今まで農政機関に対しては強い言葉での批判を繰り返してきた自分ですが、問題があるのだからと打破だけを目指すのは違うことに気付きました。

繰り返しますが、日本は水資源の豊富な湿潤な国なので、今後の世界の食糧事情をリードしていくべきなのです。それどころか自給率低迷で青息吐息となっているなど逆進もいいところであり、日本のためにも世界のためにも方針の転換が不可欠なのです。

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