ふたたび、立葵ファンファーレの日。
2023.6.16
日暮れ、パートを終えてから
庭へ向かった。
列車が、庭のある駅に近づくと
雨が、夜の窓を叩きはじめ、
それは、思いのほか、激しくなった。
風も強くなり、
バス停では、傘をさしていても
濡れるようだった。
濡れると、肌寒く
バスを待ちながら
風邪をひきたくないなあ、と
思っていた。
庭に着けば、
もっと、降っていて
わたしは、そそくさと
部屋へ入った。
4日ぶり、なので
先週の、わたしの気配、が、
まだ、残っている。
活けた白薔薇が
散る、というより
縮んで、いる。
コンビニで買った弁当を
温めて、食べ、
シャワーを浴びて
すぐに横になる。
明日は晴れる。
庭しごとがたくさん
待っている、と。
夜明けに起きて、
新しく咲いている、立葵を見つけた。
ひっそりと、淡いピンクの。
近寄って、『はじめまして』と
挨拶をする。
種を蒔いてから、
秋、ふゆ、はる、と過ぎて
『ようやく会えました』と。
立葵ファンファーレ、の日
でも書いたが
わたしは、幼い頃から
立葵が好きで、
いろいろな立葵を
庭にお招きしたい、と
思っている。
いま、庭には
この方々の他に、
アルセアダブルという名の
つまりは、八重咲の立葵が
苗から、育っている。
赤ふたつ、白ひとつ。
いちばん上の花が咲いたら
180cmにもなる、というこちらは、
先の、立葵さんと
葉っぱのかたちもいろも、違う。
でも、多分、これが
絵本などで見て、憧れた
背の高いホリホリックなのだ、と思う。
憧れのホリホック(立葵)には、
アーノルド・ローベルと
アニタ・ローベル夫妻の絵本
《わたしの庭のバラの花》に出てくる
紫のホリホック、が、ある。
こんな風に、
たくさん蕾をつけて
逞しい太い茎で、
ホリホックがつらなり、
ファンファーレを吹くように、
ふわり、咲いたら
さぞ、
こころ浮き立つだろうなあ、と思う。
この絵本には、
憧れの庭へのインスピレーションが
ぎゅっ、と詰まっている。
花たちのうつくしいいろ。
庭でよく見かける
昆虫たちも、描かれて、楽しい。
さて、いつものように、
いちにちは、あっ、という間だ。
腰を伸ばし、やれやれと
首に巻いたタオルで、汗を拭く。
(草取りばかりした日)
六月の長い日暮れもそろそろ終わる。
気づけば、19時を過ぎている。
夕闇に沈む庭。
花たちが浮かびあがる。
長靴を脱いで
手袋を外して、
庭用のシャツやズボンを脱ぐ。
まるで、脱皮するようだ。
ここからは、
庭、と、わたし、との、夜。
ネムルわたしと
ネムラナイ庭。
共に、あしたへ。
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