夕闇に溶けて、の日。
2023 6.9
朝、昨夜からの雨は上がった。
でも、穏やかに曇っていて
湿度はあれど、涼しくて、
いちにち、
庭しごとをすることができた。
といっても、
ひたすらに、
梅雨時期の
《蒸れ》に備えて、
ハーブを切り戻したり
密に植えてしまった
ダリアさんたちの花茎を
少しでも風が通るように斬ったり、
うどんこ病になりかけている
ぽんぽん百日草の下葉を、
手で、丁寧に取り除いたり、と、
整える、或いは、調える、
そんなことを、数時間。
アナベルが、こんもりと
花をふくらませはじめていた。
隣る、エキウムブルーベッダーも
ぐんぐんと丈を伸ばして、
支柱一本では、倒れそうになっている。
支柱!
わたしは、夏の植物さんが
こんなにも、支柱を必要とする
とは、知らなかった。
父が、庭の北側に
やたらたくさん、
緑いろのプラスチックの、
太さも丈の長さも違う《棒》を
コレクションしていて、
こんなに要るもののか?と
かつては訝しんでいたのが、
もちろん、確かに
多過ぎる、けれど
(父は、備えあれば憂いなし、の
ひとだったから)
でも、これらは
夏の庭には、
欠かせないモノだったのだ。
他には、背丈が
庭で、いちばん高くなった
ハーブチコリさんにも、立てた。
ブラックレースフラワーさんにも。
支柱を立て終わり、
それからは、
ぐんぐんと伸びてきた
稲科、の、雑草さんたちを
こつこつ、抜いた。
あっ、という間に、日暮れ。
夕闇が、
水に溶ける絵の具みたいに
ゆっくりと庭を浸して、いく。
ランプが灯るように
花たちが、浮かび上がる。
その光景にこころ奪われる。
19時を過ぎた。
日の永いjuneのいちにちも
そろそろ終わりだ。
我に返り、
道具を片付け、
庭から出ようと
振り返ると、
夕闇は溶けて
夜、と、なっていた。
淹れたてのcoffeeの黒、みたいな
かぐわしい、夏の夜。