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夏庭(ナツニワ)の日。
2023.5.3
庭のある村は、三連休や
ゴールデンウィークなどは
観光地になるので
バスにでも乗ろうものなら、
すこしく、混んで、
お昼時は
飲食店が少ないので
順番待ちで、
嗚呼、町のひとは
ここらへんへ、
自然を求めに来るのだ、と
今年の、行動制限の無い
3年ぶりの暑い春の日には、
改めて、思い出す。
しかし、混雑の園芸店で
敷き藁なぞを買い、
庭へ戻れば
いつものように、ヒト気無く、
静かに、植物さんたちが
成長している、ので、ある。
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咲いてくれて、うれしい。
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父が倒れて、コロナ禍で
重篤にもかかわらず
面会が叶わず、
『なにか、異常があれば
お知らせします』との一言で、
一年近く、
ほとんど、会えなかった。
施設に入所してからも、
そこから、
また一年近く経った《今》も、
その状況は、あまり変わらない。
先月、半年ぶりに、ようやくに
月に一度、広いロビーでの
面会が10分、許された。
入居している個室で、
ゆっくり会いたいが
それはまだまだ、先で、あるらしい。
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父に会う代わりに、
誰もいない庭に、
独り、通うようになって、
もう、一年半、となる。
その間に、
荒れ果てていた庭は
二度、冬を越した。
一度目の冬は、
たいしたこともできず、
荒れ果てたまま、だったが、
2度目は、春に向けて
いろいろ、準備することができた。
ルピナスさんは、一月に
ちいさな苗を植えた。
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春を待ってもらった
こうして、
咲いてくれたこと、
わたしには《奇跡》みたいに
うれしい。
去年の初冬に
なにも無かった場所を耕して
(硬く、冷えた土)
苗を植えた、
ジギタリスさんやペンステモンさんも
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10月終わりの日暮れに植えた。
バーク堆肥をたっぷり敷いて。
一月には、敷き藁をたっぷりした。
冬を越し、大きく育ち、
今や、花を咲かせたり、蕾をつけている。
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来週には、咲くだろう。
しかし、こんなふうに
ゴールデンウィークに
ひとびとが楽しく、
村へやってくる日が来たならば、
(今日は、真夏日だ)
父を、施設に
自由に訪ねる日も
遠からず、やってくるだろう。
(そう、思いたい)
父は、痩せはじめている。
会えないまま、逝かせたくない。
残された時間、
庭を訪ねるように、父に会いたい。
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夏至の頃には、
緑と花でいっぱいにする。
母が亡くなってから、
だんだんと、少しずつ
荒れ果てていった庭は、
この春、色を取り戻している。
喜びよ、ちいさなあなた、
あなたも来てほしい。