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冬が大嫌い

私は冬が大嫌いだ。
雪国出身なのにと言われるが、雪国育ちが寒さに強いのはデマである。
そもそも雪国の家は、暖かい造りになっているしストーブはつけっぱなしの家庭が多いため、夏と変わらない生活ができる。
でも雪国だからこそ、冬の嫌いなところをあげることができる。

では、私の冬の嫌いなところをあげていこう

まずはかなりの冷え性のため、そもそも外に行く気が起きない。
マイナス10度の世界に1秒だって居たくない。

おしゃれができない。
外を歩かないからいいやーなんて思ってスニーカーなんか履いた日には、足の指が凍漬けになる。また、雪に慣れていない人が靴をケチると転倒して大事故になることがある。
また、結局ダウンになるので、下に何を着ようが隠れる。
ヒートテックは毎日必要。

お金がかかる。
冬タイヤに冬ワイパー。防寒具に暖房代など雪国で暮らすには、お金が必要になる。
大学時代一人暮らしをしていたときは、暖房代が払えず、寒くなると腹筋をして体を温めたり、ひたすらお湯を飲んでいた。

時間がかかる。
雪のせいで、電車が大遅延を起こしたり、雪で車道が埋まっていたり、事故が起きていたりで大抵、大渋滞に巻き込まれる。
そもそも、起きて家中が雪に覆われていることもしょっちゅうなので、普段より早く起床し、外出前に寒さと闘いながら雪かきをする羽目になる。
飛行機も飛ばないことが多いので、私は何度も空港に閉じ込められた。

暗い
雪が降り続けていると、太陽が出ないので、ひたすら外が暗い。
青い空を見ることが少ない。
気分まで暗くなる。

怒りのまま列挙してみたがどうだろう。
住み慣れていると嫌な部分しか目につかない。
それより、冬でも暖かい日差しが差し込んでくる生活は、なんて羨ましいんだろう。
冬でも場所を選ばず、公園を歩いたり、枯れ木だけじゃない自然を見ることができるなんて、どんなに素敵なんだろうと、暖かい地域で暮らすことを夢見ている。

でも、雪の降る地域に憧れている人がいるのも重々承知だ。
冬や雪に関連する歌はたくさんあるし、クリスマスに雪が降ることをホワイトクリスマスと呼び、人々の喜ぶ姿をニュースで見たりする。

BUMP OF CHICKENの「スノースマイル」では雪への憧れが描写されている。



冬が寒くって 本当に良かった
君の冷えた左手を
僕の右ポケットに お招きする為の
この上ない程の 理由になるから

中略

まだキレイなままの 雪の絨毯に
二人で刻む 足跡の平行線
こんな夢物語 叶わなくたって
笑顔はこぼれてくる
雪のない道に

私にとっては夢物語ではなく、全て叶ってしまっていた。

彼はいつも私の右手をそっと繋いで、ポケットに入れた。
(これをして欲しくて、頑なに手袋を買わなかった。)

「つめたっ!」と頬と鼻の赤い彼に言われて
私は「しゃっこいでしょ」と満足げにニタニタ笑っていた。

まだ、誰も歩いていない道を選んで、足跡を二人でつける。
深い雪に足を取られて、声をあげる。
彼は雪にダイブして、体の跡をつけようとする。
私は、気付かぬように雪玉を作って、彼に投げる。
ひとしきり、ニヤニヤケタケタ笑って、強烈な寒さに我に帰って同じ家に帰る。

お揃いのマフラーを隣に干して
彼の作る具沢山の鍋を食べる。
「毎日、鍋でいいね」と言う。
「シメの雑炊まで沢山食べちゃうんだから太るよ」と言われる。

雪国の冬の特別な思い出かもしれない。

彼は、この思い出を、あの茶色いコートのポケットにしまって歩いてくれているだろうか。

私は冬が大嫌いだ。
でも、大切な人のポケットにお邪魔する理由ができるのなら
少しだけこの寒さも許してあげようと思った。


でも暖かい場所に引っ越したいなあ。





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