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【翻訳】米国ジェンダークリニックの元職員の告発

2023年2月に発表された、アメリカのジェンダークリニックで働いていたジェイミー・リード(Jamie Reed)さんの告発記事を翻訳しました。

原文はこちらです。

この記事を読めば、どうしてトランプ大統領が未成年者へのジェンダー肯定医療を大幅に規制するような大統領令を出す事態になったのか、その理由がわかると思います。

なお実際の大統領令の内容はこちらで翻訳してくれています。


アメリカの医療従事者の告発
トランスジェンダーの子どもたちを救っているつもりでした。今、私は内部告発をします。

全米には100以上の小児ジェンダー・クリニックがあり、私はそのひとつで働いていました。子どもたちに起きていることは、道徳的にも医学的にもぞっとすることです。

ジェイミー・リード
2023年2月9日

私はセントルイス出身の42歳で、クィアの女性であり、政治的にはバーニー・サンダースの左派です。私の世界観は、私のキャリアを深く形作ってきました。児童養護施設の子どもたち、セクシュアル・マイノリティ、貧困層など、社会的弱者にカウンセリングを提供する仕事に人生を費やしてきました。

私はワシントン大学医学部感染症学科で4年間、HIV陽性の10代や20代の若者を担当していました。彼らの多くはトランスであったり、何かしらジェンダーに不同調だったりしており、私は共感を覚えました。というのも、幼少期から思春期にかけて、私自身もジェンダーについて多くの疑問を抱いていたからです。私は現在、トランスジェンダー男性(女性から男性にジェンダー移行した人)と結婚し、前の結婚で授かった2人の実子と、望んで養子に迎えた3人の子どもを一緒に育てています。

その結果、私は2018年に、その1年前に設立されたセントルイス小児病院のワシントン大学トランスジェンダー・センターでケースマネージャーとして働くことになりました。

ジェンダー違和(性別違和)の子どもたちを早期に治療すればするほど、後々の苦悩を防ぐことができるというのが、同センターの基本的な考え方です。この前提は、センターの医師やセラピストも共有していました。彼らの専門知識からして、このコンセンサスを裏付ける豊富なエビデンスがあるものと私は思っていました。

私がケースマネージャーとしてクリニックに勤務し、患者の受け入れと管理を担当していた4年間で、約1000人の悩める若者たちがクリニックを訪れました。その大半は、不妊症を含め、人生を左右するような結果をもたらす可能性のあるホルモン処方を受けていました。

昨年11月、私はこのクリニックを去りました。去るまでに私は、アメリカの医療制度が患者を治療する方法は、"害を与えない "という約束とは正反対であることを確信しました。それどころか、私たちは私たちのケアを受けている弱い立場の患者を永久に傷つけているのです。

今日、私はお話しします。私は、この非常に論争的な問題をめぐる世間一般の会話がいかに有害であるか、そして私の証言が悪用される可能性があることも承知の上でそうしています。

私は、自分自身を個人的にも仕事上でも重大な危険にさらしていることを承知でそうしています。私の人生のほとんどすべての人が、自重するようにと忠告してくれました。しかし、良心の呵責からそうすることはできません。なぜなら、何十人もの子供たちに起こっていることは、私の安寧よりもはるかに重要だからです。そして彼らに起こっていることは、道徳的にも医学的にもぞっとするようなことなのです。


水門が開く

トランスジェンダー・センターに到着して間もなく、私は治療に関する正式なプロトコルがないことに衝撃を受けました。同センターの共同ディレクターである医師が実質的に唯一の権威だったのです。

当初は、ジェンダー違和を持つ子供の "伝統的な "例であった、女の子になりたがっていて女の子として振る舞う、しばしばかなり幼い男の子に患者層が傾いていました。

2015年頃までは、このようなごく少数の男児が小児ジェンダー違和症例の母集団を構成していました。その後、西欧諸国全体で、新たな集団が劇的に増加し始めました。それは10代の少女たち、その多くはこれまでジェンダーに悩んだことがなかったが、突然自分がトランスジェンダーであると宣言し、テストステロンによる即時的な治療を要求する患者たちです。

私はセンターでこれを目の当たりにしました。私の仕事のひとつは、新規の患者とその家族を受け入れることでした。私が入職したころは、そのような問い合わせは月に10件ほどでした。私が退職する頃には50件になり、新患の約70%は女の子でした。時には同じ高校から何人もの女の子が集まってくることもありました。

そのことが気になっていましたが、当時は自分が警鐘を鳴らす立場にあるとは思っていませんでした。私たちは8人ほどのチームでしたが、私が抱いたような疑問を口にしたのは他には1人だけでした。疑問を呈する者は、トランスフォビアと呼ばれる危険性がありました。

※訳者注: トランスフォビア(transphobe)とはトランスジェンダーに対して嫌悪感や強い偏見を持つ人のことを指し、欧米ではしばしば強い批判の対象となる。

私たちのところに来た女の子たちは、うつ病、不安神経症、ADHD、摂食障害、肥満など多くの合併症を抱えていました。多くが自閉症と診断されるか、あるいは自閉症に似た症状を持っていました。イギリスの小児トランスジェンダーセンターに関する昨年の報告書によると、そこに紹介された患者の約3分の1が自閉症スペクトラムだったとのことです。

私たちの患者は、明らかに事実ではないと分かる障害を宣言することがよくありました。例えばトゥレット症候群である(しかしそうではない)とか、チック障害である(しかしそうではない)とか、多重人格である(しかしそうではない)とか。

医師たちは、こうした誤った自己診断が社会的伝染の現れであることを内々に認識していました。彼らは自殺には社会的伝染の要素があることさえ認めています。しかし、サービスに流れ込んでくる少女たちの集団について、そのジェンダーの問題が社会的伝染病の現れであるかのように見えると私が言った時、医師たちはジェンダーアイデンティティは生まれつきのものだと言いました。

ジェンダー移行を開始するには、セラピスト(通常は私たちが推薦するセラピスト)からのサポートレターが必要でした。セラピストにとってより効率的なものにするため、私たちは移行を支持する手紙の書き方のテンプレートを提供しました。次に行ったのは、テストステロン処方のための内分泌専門医への1回の受診でした。

それだけです。

女性がテストステロンを摂取すると、数カ月でホルモンの深刻で永続的な影響が現れます。声が低くなり、ひげが生え、体脂肪が再配分されます。性的関心が爆発的に高まり、攻撃性が増し、気分が予測できなくなることもあります。私たちの患者は、不妊症などの副作用について聞かされていました。しかし、センターで働いてみて、未成年のうちに不妊症になるという決断をすることの意味を、10代の若者が十分に理解することはできないと思うようになりました。


副作用

患者たちとの多くの出会いは、ジェンダーを変えることが彼らの身体と心に与える深刻な影響を、若者たちがどれほど理解していないかを私に印象づけました。しかし、センターはネガティブな結果を軽視し、移行の必要性を強調しました。センターのウェブサイトには、「ジェンダー違和を治療せずに放置すると、自傷行為から自殺まで、さまざまな結果をもたらします。しかし、子供がありのままの自分でいられるようにしてあげてジェンダー違和を取り除けば、そのようなことはなくなることがわかっています。私たちが行っている研究によれば、こうした子どもたちは、社会心理学的に同世代の子どもたちと同じか、それ以上に機能するようになることが多いのです」と書かれています。

これを示す信頼できる研究はありません。実際、センターの多くの患者の体験が、こうした主張がいかに虚偽であるかを証明しています。

例を挙げましょう。
2020年5月1日(金)、15歳の男性患者について同僚がメールを送ってきました。「やれやれ。その患者がビカルタミドの作用を理解していないことが心配です」私はこう答えました。「今すぐ正直に何かを始めることはないと思います」

ビカルタミドは転移性前立腺がんの治療に使われる薬で、その副作用のひとつに、乳房の出現など服用した男性の体を女性化させるというものがあります。センターは、この抗がん剤を男児の思春期ブロッカー、女性化剤として処方していました。多くの抗がん剤と同様、ビカルタミドにも長い副作用のリストがあり、この患者もそのひとつである肝毒性を経験しました。彼は評価のために病院の別の病棟に送られ、すぐに薬を中止しました。その後、彼の母親がトランスジェンダー・センターに「訴えるタイプの家族でなくて、あなた達ラッキーだったわね」と書いた電子メッセージを送ってきました。

2020年に男性ホルモンを投与されていた17歳の生物学的女性の患者から私たちがセンターで受けた電話は、患者がいかに自分が何に巻き込まれているのか理解していないかを示しました。彼女は膣から出血していると言いました。1時間もしないうちに、彼女は厚手のパッドもジーンズも、腰に巻いたタオルもびしょびしょに濡らしてしまったと。センターの看護師は、すぐに緊急治療室に行くように言いました。

後でわかったことですが、この少女は性交しており、男性ホルモンは膣の組織を薄くするため、彼女の膣管は裂けてしまっていました。彼女は鎮静剤を投与され、損傷を修復する手術を受けなければなりませんでした。膣裂傷のケースは彼女だけではありませんでした。

他の少女たちは、テストステロンの影響によってクリトリスが肥大し、微小陰茎(小さなペニス)のように成長することに悩んでいました。私は、肥大したクリトリスが膣口より下まで伸びていて、ジーンズの中で擦れて痛がっている患者のカウンセリングを行いました。私は彼女に、女性の格好をしている生物学的男性が着るような圧迫下着を手に入れるようアドバイスしました。電話の終わりに、「うわあ、私たちがこの子を傷つけてしまった」と思いました。

稀に赤ちゃんが非定型的な生殖器を持って生まれてきて、高度なケアと思いやりを必要とするケースがあります。しかし、私が働いていたようなクリニックでは、非定型的な生殖器を持つ子どもたちの集団が生み出されています。しかも、その十代の子ども達のほとんどはまだ性交渉すら経験していないのです。大人になって自分がどうなるのか、まったく想像もついていませんでした。しかし、セラピストとの1、2回の短い会話だけで、彼らは永久に自分を変えることができてしまったのです。

強力な量のテストステロンやエストロゲンを投与されることは、体を異性に擬態させるのに十分であり、同時に体の他の部分に影響を及ぼします。自分の子供にテストステロン(生涯続く治療)を与えることに同意したことのある親は、自分の子供が血圧の薬やコレステロールの薬を飲むことになる可能性があることや、おそらく睡眠時無呼吸症候群や糖尿病を引き起こす可能性があることもまた理解してサインしているのか疑わしく思っています。

しかし時に、子どもに対して何をする事に自分が同意したのかを、親が強制的に理解させられることもありました。


放置された精神病患者

十代の女の子たちの他に、もうひとつ新しいグループが紹介されました。それはセントルイス小児病院の精神科入院患者、あるいは救急部の若者たちです。これらの子どもたちのメンタルヘルスは、深く懸念されるものでした。統合失調症、PTSD、双極性障害などの診断を受けていました。多くの場合、彼らはすでに多くの医薬品を服用していました。

これは悲劇的なことですが、何人かが経験した深いトラウマを考えれば驚くべきことではありませんでした。しかし、子どもがどれほど苦しみや痛みに耐えていても、どれほど治療や愛情を受けられていなかったとしても、医師たちはジェンダー移行を、たとえそれがあらゆる費用や苦難を伴うものであっても、解決策とみなしました。

週によっては、私たちが担当する取り扱い件数のほとんどすべてが、心を病んだ若者たちばかりであるかのように感じられることもありました。

例えば、2022年の夏、ある十代の若者が私たちのところにやってきました。その時、彼は17歳で、犬を性的に虐待していた事が理由で監禁施設で暮らしていました。彼の母親は薬物中毒者で、父親は服役中、彼は児童養護施設で育ちました。どんな治療も、彼には効果がありませんでした。

インテーク(聞き取り)の際、私は別のケースワーカーから、彼は犬たちが望んで服従したと信じており、出所したら再犯を計画しているということを知りました。

そのうちに、彼は女性になりたいと言い出し、私たちのセンターで診察を受けることになりました。そこから彼は、ジェンダー移行を希望する人ならほぼ全員を承認することで知られる病院の心理学者のところへ行きました。そして主治医から女性化ホルモン剤を勧められました。当時、私はこれが化学的去勢の一種として行われているのではないかと思いました。

別の事件でも同じことを思いました。この症例は2022年の春に起きたもので、自慰行為の後にペニスを切り落としたいという願望が現れる強い強迫性障害の青年に関するものでした。この患者はジェンダー違和を示しませんでしたが、ホルモン剤も投与されました。私は医師に、どのようなプロトコルに則っているのか尋ねましたが、明確な答えは得られませんでした。


親の代わりに

このセンターのもうひとつの不穏な点は、両親の権利を軽視していること、そして医師たちが自分をこれらの子どもたちの運命について、より多くの情報に基づいた意思決定者であると考える度合いです。

ミズーリ州では、子どもの治療に必要とされるのは片方の親の同意だけです。しかし、両親の間で争いがあった場合、センターは常に肯定的な親の側に立っていたようでした。

2019年、11歳の娘に思春期ブロッカーを飲ませたいという母親の希望に反対した父親に対し、当院の医師の1人が親権審理で実際に証言したことで、反対する親に対するこのアプローチに対する私の懸念はますます大きくなりました。

私は最初に電話対応をしたのですが、その母親がかなり気になっていました。父親とは離婚していて、母親は娘のことを 「おてんば娘みたいな」と言っていました。それで今、母親は自分の子供がトランスであると確信していました。しかし私が、娘が男の子の名前を名乗ったり、自分の体について悩んでいたり、男の子のような気がすると本人が言っているのかと尋ねると、母親は違うと答えました。私は、その子はどう考えても評価の基準を満たさないと説明しました。

それから1ヵ月後、母親から電話があり、娘が男の子の名前を使うようになり、自分の体のことで悩んでいて、ジェンダー移行を希望していると言いました。今回は母親と娘が予約を取りました。当センターの医師は、この少女がトランスであると判断し、正常な発育を妨げる思春期ブロッカーを処方しました。

父親は断固として反対し、これはすべて母親から出た言葉だと言い、親権争いが始まりました。主治医が移行を支持する証言をした審問の結果、裁判官は母親の味方をしました。


「胸を取り戻したい」

私は主な受け入れ担当者であったため、既存および将来の患者について最も広い視野を持っていました。2019年、私のレーダーに新たなグループが現れました。脱落者(desisters)と脱トランス者(Detransitioners)です。脱落者とは、移行に踏み切らないことを選択する人のことです。脱トランス者は、出生時のジェンダーに戻ることを決めたトランスジェンダーのことです。

私の懸念を分かち合うことができた同僚は、私たちが脱落者と脱トランス者を追跡すべきだという意見に同意してくれました。医師たちは、自分たちが見逃してきたものを解明するために、このデータを収集し、理解したいと思うだろうと考えたからです。

私たちは間違っていました。ある医師は、どうしてもう自分の患者でもない誰かのために時間を費やさねばならないのかと疑問の声を口にしました。

しかし、私たちはとにかく文書を作成し、それをレッドフラッグ・リストと呼びました。それはエクセルのスプレッドシートで、同僚と私を夜眠れなくさせた類の患者たちを追跡するものでした。

私が目撃した最も悲しい脱トランスの症例のひとつは、十代の少女でした。この少女は、私たちの患者の多くがそうであるように、不安定な家庭の出身で、不安定な生活環境にあり、薬物使用歴がありました。私たちの患者の圧倒的多数は白人ですが、この少女は黒人でした。彼女は16歳頃にセンターでホルモン剤を投与されました。18歳のとき、彼女は二重乳房切除術、いわゆる "トップ手術 "を受けました。

3ヵ月後、彼女は外科医のオフィスに電話をかけ、出生時の名前に戻し、代名詞は "彼女(she/her) "だと言いました。悲痛なことに、彼女は看護婦に 「私の胸を取り戻したい」と話しました。外科医のオフィスは、この少女に何と言えばいいのかわからず、私たちの事務所に連絡しました。

同僚と私は連絡を取りますと言いました。彼女の居場所を突き止めるのに時間がかかったが、突き止めたときには、彼女が精神的に健康であること、自殺願望がないこと、薬物を使用していないことを確認しました。最後に聞いた話では、彼女は妊娠していました。もちろん、彼女は自分の子どもを母乳で育てることは決してできません。


「乗るか、降りるか」

センターで起こっていることへの懸念が、私の生活を覆い始めました。2020年の春までに、私は医学的にも道徳的にも何かしなければならないと感じました。だから私はオフィスで発言し、たくさんのメールを送りました。

これはほんの一例です。
2022年1月6日、私はあるスタッフ・セラピストから、他州に住む16歳のトランスジェンダー男性のケースについて助けを求めるメールを受け取りました。「両親は患者がセラピストを受診することには前向きですが、ジェンダーに協力的ではありません。そして患者は親にジェンダーアイデンティティ(性自認)を知られたくないと。ジェンダーに肯定的なセラピストを見つけるのに苦労しています」

私はこう答えました。
「私は倫理的に、未成年の患者を、親と話し合い、親がそのようなケアに同意するということなく、ジェンダーを肯定し、ジェンダーを仕事の焦点とするセラピストにつなげることには賛成しません」

ワシントン大学医学部での勤務期間中、私はずっと好意的な業績評価を受けてきました。しかし、2021年にそれが変わりました。私の "判断力 "と "仕事上の人間関係/協調性 "は平均点以下でした。私は「責任感があり、良心的で、勤勉で生産性がある」と評価されましたが、評価にはこうも書かれていました。「時々、ジェイミーは経営陣からの指示に対して防御的で敵意を持ってうまく対応しないことがある」

事態は2022年夏の半日の研修の時に顕在化しました。医師たちはチームの前で、私と私の同僚は「医学と科学」、そして医師たちの権威を疑うことをやめるべきだと言いました。そして、ある管理者は私たちに 「乗るか、降りるかのどちらかだ」と言いました。研修の目的は、このようなメッセージを私たちに伝えることだったことが明らかになりました。

ワシントン大学では、長年勤続している従業員に対し、大学の授業料を支払う制度を設けています。私は自分の給料だけで生活しており、子供たちのために5つの大学の学費を準備するお金はありません。私は仕事を続けなければなりませんでした。ワシントン大学への忠誠心もあります。

しかし私はその時そこで、トランスジェンダー・センターを出なければならないと決心し、そのためには頭を低くして次の人事考課を改善しなければならないと考えました。

なんとかまともな評価を得て、ワシントン大学医学部の別の場所で研究を行う仕事に就きました。私は2022年11月に退職届を出し、トランスジェンダー・センターを去りました。


起こってほしいこと

骨髄移植を受ける子供達に関する研究を管理する臨床研究コーディネーターとしての新しい仕事につき数週間、私は全てを忘れて新しい仕事に慣れようとしていました。

そのような中、私は連邦保健福祉省の高官であるトランスジェンダー女性レイチェル・レヴィン博士の記事を目にしました。その記事には、「レヴィン米国保健次官補は、クリニックは慎重に診療を進めており、ジェンダー違和のための薬やホルモン剤を不適切に投与されている子どもはアメリカには一人もいないと述べた」と書かれていたのです。

私はびっくりして気分が悪くなりました。それは真実ではありませんでした。そして私はそれを深い実体験により知っていました。

※訳者注
ここで言及されているレイチェル・レヴィン氏はトランス女性当事者であり米国保健福祉省の高官。この記事の2年後、2024年6月の報道において、医療ガイドラインに圧力をかけて薬物療法や手術療法の年齢制限を撤廃させ、未成年者への医療を容易にさせていた事が判明した。


そういった経緯で、私はトランスジェンダー・センターでの経験について、できる限りのことを書き留め始めました。2週間前、私は自分の思う懸念と書類をミズーリ州司法長官に提出しました。彼は共和党員です。私は進歩主義者です。しかし、子ども達の安全は私たちの文化戦争の問題であってはなりません。

〈ミズーリ州司法長官に宛てたジェイミー・リードの手紙〉

ジェイミー・リード
2023年1月 26日

(電子メール経由 – c/o josh.devine@ago.mo.gov)

アンドリュー•ベイリー
司法長官 ‑ ミズーリ州
最高裁判所ビル
207 W. High Street
P.O. Box 899
ジェファーソンシティ ミズーリ州 65102

RE: 告発

ベイリー司法長官様:

私の名前はジェイミー・リードです。 私は2018年7月から2022年11月までの4年4か月間、ワシントン大学医学部セントルイス小児病院小児トランスジェンダーセンター(以下「センター」) に勤務していました。 その間、 私はセンターでケースマネージャーを務めていました。 この文書を、センターによる疑わしい医療行為と未成年者への扱いに関する正式な告発としてお受け取りください。

私は、センターで提供された医療が患者とその家族に危害を与えていることについて、深刻な懸念を抱いていることを報告するために名乗り出ることにしました。 これには、子供たちの急速な医療化、ジェンダー変更治療の提供前の精神衛生上の懸念の不十分な評価、 事前の十分な治療処置なしに子供たちを医療化すること、親と若者の適切な情報に基づく 書面による同意の欠如、センターで提供された医療処置によって引き起こされた実際の永久的で不可逆的な危害と傷害が含まれます。

インフォームド・コンセントの欠如には、治療に対する既知および未知の副作用の可能性が親に開示されていないことが含まれます。懸念事項には、子供の医療化および/またはジェンダー変更治療を完全に支持しない親に対する意図的な虐待および脅迫も含まれます。面談前に監護権に関する合意書や命令書の知識やコピーを要求しないという意図的な決定、および面談が行われることをすべての法的保護者に知らせることなくセンターで未成年の患者を診察することが含まれます。センターは、親が同意するようにプレッシャーを感じたと明確に述べ、完全に快適ではないが同意する以外に選択肢がないと感じたと述べた場合でも、親の同意を受け入れました。この虐待には、センターの医師や理事が裁判手続き中にそのような親に対して出廷し証言することまで含まれています。センターはまた、公立学区に対し、学校で行われるジェンダー移行を促進するために子供のジェンダーアイデンティティ(性自認)や医療介入に関する情報を親に隠すよう勧告しました。

私がセンターに勤務していた間、治療に疑問が残るケースや、適切で適用可能な治療基準を順守しなかったケースが、明らかに良い結果が見られたケースをはるかに上回っていました。私は、重大な精神疾患やトラウマ歴を持つ患者が、精神保健支援を継続することなく、 医療的にジェンダー移行させられているのを目にしました。医療的、メンタルヘルス的に否定的な結果が見られた後も、治療が継続されているのを目撃しました。また、治療を受けた後に脱トランスすることを決心した若者、すなわち、センターが提供するジェンダー転換治療によって身体およびメンタルヘルスに後遺症や永久的な傷害を負ってしまい治療を断念する患者の数が増えているのも目にしました。

不適切な医療に加え、センターの理事およびプライマリケア提供者である◯◯医師と◯◯医師は、ミズーリ州議会での証言中で、センターで何が行われているかを故意に誤って伝えました。この人達は、センターが提供するケアと治療の性質と範囲について正直に話しま せんでした。この人達はまた、センターが病院管理者や他の医療提供者に提供しているケアの種類、性質、範囲についても虚偽の説明をしました。彼らは、外科的ケアに関して何が起こっているか(すなわち、紹介/子供への外科的コンタクトの提供/子供が手術を受けているという知識) について、繰り返し、一貫して虚偽の説明をしました。

センターの指導者は、治療の意思決定の権限と権威を処方医と治療医のみに委ね、 優先させる文化を作り上げ、促進しました。管理指導者である ◯◯と◯◯は、正当な倫理的および医療上の懸念や問題を提起するスタッフのサポートに対して、軽視し続け、時には敵対的でした。 病院の管理者は、治療と患者の実際の状況について十分に理解することなく、 処方医と治療医をサポートしていました。

センターの指導者はクリニックの患者に提供されるケアの監視と追跡を優先事項とせず、 それに失敗しました。 セ ンターには、ジェンダー変更治療を開始した患者を追跡する機能的な手段がなく、介入の結果を適切に追跡する能力もなく、サポートスタッフが実行して活用した、必要かつ適切な患者フォローアップを完了するための有意義な取り組みを支援できなかった、または支援を拒否しました。

センタークリニックの理事と管理者は、 「乗るか、降りるか」 という文化を作り出し、センターのスタッフから提起される倫理的および医学的な懸念を黙らせようと、スタッフを定期的に脅迫しました。 これは2022年にスタッフとの電話や研修で明白に証明されました。研修では、クリニックの理事である◯◯医師と◯◯医師が懸念を表明していた2人のスタッフと対峙し、 「治療に関して医師に『懸念』 という言葉や『レッドフラッグ(危険信号)』というフレーズを使うことさえ、もはや受け入れられない」 と述べました。◯◯は研修に出席した職員全員に、 「乗るか、降りるか」 のどちらかを選ばなければならないと忠告しました。管理部とセンターの指導者は、ジェンダー変更のケアと治療の性質が急速に変化していること、来院する患者が変化していること、 適用されるケア基準が検討中および改訂中であること、そして科学的知見が「確立」 されていないことについて、認めることを一貫して繰り返し拒否しました。

センタークリニックの共同代表である◯◯医師と◯◯医師は、クリニックの運営と急増する困難な患者集団の管理に、ほんのわずかな時間しか費やしていませんでした。センターの管理部門は、臨床診療を直接監督していませんでした。センター部門長の◯◯医師と◯◯医師がガイドラインとケア基準の変更を認識していたことや、センターのポリシー、診療、処置について明確に直接監督を行っていなかったことを示す証拠はありませんでした。

センター クリニックの文化は非常に有害になり、サポートスタッフは深刻で正当な懸念を抱きながらも、センターで働き続けることを余儀なくされました (自分の不利益になりますが)。なぜなら、彼らが辞めれば、センターでの治療における非倫理的な決定や医学的被害、永久的な傷害を覆すために必要な重要なフォローアップや牽制を、誰も提供しなくなるだろうからです。私が目撃した医学的被害と傷害には、テストステロンによる膣組織の損傷のために外科的修復を必要とする膣裂傷、ケア基準に含まれない薬剤 (ビカルタミド) の処方による肝臓障害、思春期ブロッカーと異性化ホルモンの投与開始後の精神状態の悪化 (自殺未遂や入院の増加を含む)、家族への危害などがあります。

妥当で医学的に適切なケアと治療の必須要素には、 事実に基づいた客観的な評価、 真っ当なインフォームドコンセント、治療、 そして適切な場合には身体的な治療に先立つメンタルヘルスケアが必要です。 これらの基本原則は、認められた適切で受け入れら れる医療の中核をなすものです。 私は、センターが提供する子供の医療的移行/ジェンダー変更治療を もはや支持できません。なぜなら、まず害を与えないことに必要なこれらの必須原則が守られていないからです。

最後に、私が作成した、センターの治療方法、措置、および措置の不履行を概説した文書である小児トランスジェンダーセンターのコピーを添付します。

あなたの事務所が、センターの疑わしい有害な行為について調査を開始することを期待します。

敬具

ジェイミー・リ ード

cc: ジョシュア・ディバイン法務長官 (josh.divine.ago.mo.gov)

https://cdn.shopify.com/s/files/1/0717/7420/8276/files/Jamie_Reed_s_Letter_to_the_AG.pdf?v=1675961919

アメリカ全土の若者のジェンダー移行を特徴付ける秘密主義と厳格な基準の欠如を考慮すると、アメリカの子供達の安全のためには、ジェンダー違和の若者に対するホルモン療法や外科的治療を一時停止する必要があると私は考えています。

ロイター通信によると、15年前のアメリカには小児科のジェンダー・クリニックは 1 つもなかったのが、今や100を超えたそうです。患者に対して何が行われたのか、その理由、そして長期的にはどうなったのかを解明するために、徹底的な分析が行われるべきです。

私たちが進むべき道は明確です。イギリスはつい昨年、調査の結果、杜撰な慣行と質の低い患者治療が明らかになったとして、当時国内でNHSの唯一のクリニックだったタヴィストックのユース・ジェンダー・クリニックを閉鎖すると発表しました。スウェーデンとフィンランドも、小児のジェンダー移行を調査した結果、助けになるというエビデンスが不十分であり、多大な害をもたらす危険性があることが判明して、その慣行を大幅に制限しました。

批評家の中には、私が働いていたトランスジェンダー・センターのような場所で提供される治療の類を、一種の国家的実験だと表現する人もいます。しかし、それは間違いです。

実験は慎重にデザインされるべきです。仮説は倫理的にテストされるべきです。トランスジェンダー・センターで私が一緒に働いていた医師たちは、患者の治療についてしばしばこう言っていました。「私たちは飛行機を作りながら、それを操縦しているのだ」と。誰もそのような飛行機の乗客になるべきではありません。


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