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童謡「グリーングリーン」の歌詞が思っていたより深かった

前回の投稿から1ヵ月ほど。2部についても書きたいがカーズとワムウについてしか語れないことに悩んでいたら、童謡「グリーングリーン」の歌詞が深いことに気づいてしまいました。


ある日パパとふたりで語り合ったさ

童謡「グリーングリーン」をご存じでしょうか。グリーングリーン、青空には小鳥がうたい~というあれです。それでは、この曲のサビ以外の歌詞はご存じでしょうか。

ある日 パパと二人で語り合ったさ
この世に生きる喜び そして 悲しみのことを

歌ネット「杉並合唱団 グリーングリーン」より https://www.uta-net.com/song/209054/

いや、重いな。語り合う内容が。

「グリーングリーン」における語り手であるこの少年、歌の雰囲気から察するに恐らく小学生ぐらいではないでしょうか。小学生ぐらいの少年が、ある日、パパと二人でこの世に生きる喜び、そして悲しみについて語り合うんですよ。どんな状況ですか。直感的に人生を悟ってしまったのでしょうか。
ちなみに、私が小学生の頃は友人と自由帳にオリジナルキャラクターを生み出していたし、パパと二人で語り合うことなんてこれっぽっちもなかったですよ。

ちなみに、パパの回答は以下の通り。

その時 パパがいったさ
ぼくを胸にだき つらく悲しい時にも ラララ 泣くんじゃないと

歌ネット「杉並合唱団 グリーングリーン」より https://www.uta-net.com/song/209054/

この文章単体でも、強く生きるんだよという意思が伝わりますが、本当の意味が分かるのは次のパートからなんですね。


少年、突然の別れ

「グリーングリーン」の1番2番が第1章だとするならば、3番4番は第2章になります。

ある朝 ぼくはめざめて そして知ったさ
この世につらい悲しいことが あるってことを
グリーン グリーン
青空には 雲がはしり
グリーン グリーン
丘の上には ララ 緑がさわぐ

あの時 パパと 約束したことを守った
こぶしをかため 胸をはり ラララ ぼくは立ってた
グリーン グリーン
まぶたには 涙があふれ
グリーン グリーン
丘の上には ララ 緑がぬれる

歌ネット「杉並合唱団 グリーングリーン」より https://www.uta-net.com/song/209054/

2章、別れからの始まりです。
生きる喜び、悲しみについて語り合った数日、数カ月、もしくは数年後、少年の身に別れが起こります。
ここで秀逸だなと思うのは、「緑」の表現。1番2番のサビ部分は「緑がもえる」「緑がゆれる」だったんですね。それが今回、少年の身に何か起こったことを示すように丘の上の緑が「さわぐ」に変わってるんですね。

そして4番では父と別れたことが分かります。
本当は辛く悲しく泣きたいけれど、そんな時こそ泣いてはいけないと、少年はこぶしを握り胸をはることで父との約束を守ります。
ですが、実際には溢れるほどの涙があります。その涙を代わりに流すのは「さわい」でいた緑、なんですね。

今、絶賛酔っぱらっているのですが、4番を聞いて普通に泣きました。
グリーングリーン まぶたには涙が溢れ~♪と陽気に歌っている場合じゃないです。悲しすぎる。いつだって親愛なる人との別れは悲しいものなのに、少年の歳にして父との突然の別れはダメージが大きすぎないでしょうか。

ところで、気になるのは父の死因について。私の中で少年は小学3年生ぐらいの想定なのですが、小学3年生ぐらいの父親の年齢っていくつぐらいなんでしょう。30代でしょうか。この年齢にして病気で亡くなることは可能性としてあまり高くはありませんが、2番の時点で「ぼくを胸にだき」ながら辛く悲しくとも強く生きていくことを伝えているということを鑑みると、自分の死期を悟っていた可能性が無きにしも非ず。
持病を持っていたのか、それとも不慮の事故で亡くなったのか。どちらなの
でしょう。


乗り越える痛み、少年を包み込む自然の存在

その朝 パパは出かけた 遠い旅路へ
二度と帰って来ないと ラララ ぼくにもわかった
グリーン グリーン
青空には 虹がかかり
グリーン グリーン
丘の上には ララ 緑がはえる

やがて 月日が過ぎゆき ぼくは知るだろう
パパの言ってたことばの ラララ ほんとうの意味を
グリーン グリーン
青空には 太陽わらい
グリーン グリーン
丘の上には ララ 緑あざやか

歌ネット「杉並合唱団 グリーングリーン」より https://www.uta-net.com/song/209054/

第2章の時点では、父が亡くなったことを明確には文章にしていません。父と別れという二つの単語は同じ文章内に出てきていないんです。
このまま聞き手に父が亡くなったことを想像させる終わりなのかと思いきや、第3章を構成する5番にて、父が「遠い旅路へ」出たことを明言しました。「二度と帰って来ない」と、ぼくにはわかったことも。

辛い。辛いなあ。となりますが、この少年は強いです。
父との永遠の別れを知ったうえで、そのショックを乗り越え、すでに未来の自分を見据えているんです。語り合ったあの日、父が教えてくれたこと、そして約束を忘れずに、これから先をしっかりと見つめている。だからこそ、青空には虹がかかり、太陽は笑っているのだと思います。

「グリーングリーン」は全体を通して、「自然」が少年の心情を代弁しているのだろうということが考えられます。
第3章では、これまでにはでてこなかった太陽も出現し、一度はショックで沈んだ少年の心も、痛みを乗り越え明るさを取り戻していることが伝わってきます。

前後の歌詞の関係もありますが、少ない文字数の中で少年の心情を代弁する機能を果たせているのはすごいなと感じます。
あと、単純に緑に対するバリエーションが豊富。映えるとか鮮やかとか。何食べてたらそんなに緑に対する語彙があふれ出るんでしょうね。


受け継がれる父の教え

ついに最終章です。父との別れを乗り越えた少年は何を思うのか。

いつかぼくもこどもと 語り合うだろう
この世に生きる喜び そして 悲しみのことを

歌ネット「杉並合唱団 グリーングリーン」より https://www.uta-net.com/song/209054/

いつか自分が父親になるとき、あの日父から教わったことをこどもへと伝えていく。きっとそういうことなのだと思います。
父との別れでこの世の悲しみを知り、父と過ごした日々、そしてこれから共に過ごす家族から生きる喜びを知っていく「ぼく」は、どこまでも強く強く、今を生き抜いてくんでしょう。

青空にはかすみがたなびき、丘の上には緑がひろがる。
歌詞の終わりにある自然の様子からは、これから先、どんな未来が待っているかは分からないけれど、どこまでも先は続いていることが伝わってきます。

それにしても、少年は自分にこどもができたときも、この世の喜びと悲しみについて話し合う気がしているんですね。そんな重たい会話をする親子なかなかいなさそうですし、それが二世代続くこともなかなかなさそうですよね。


グリーングリーン青空には…何だっけ。と、ふと思い調べた結果、しっかりと物語性がありかつ内容が深かった衝撃が抑えきれず、衝動的に書き始めました今回のnote。
気が付いたら思っていたよりもたくさん書いてしまいましたが、ここまで読んで頂きありがとうございました🙇



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