映画の外側 『赤い風船』(1956)
監督
アルベール・ラモリス
ヘリコプターによる空撮の名手としても知られます。
あらすじ
ある朝、街灯に引っかかっていた真っ赤な風船を助けてやった少年パスカル(パスカル・ラモリス)。
その不思議な風船はパスカルにつきまとうようになるが、パスカルと風船はその仲のよさに嫉妬した悪ガキ集団に追われるはめになってしまう。
・1956年の米国アカデミー賞で脚本賞、同じ年のカンヌ映画祭で短編部門のパルム・ドールを獲得しました。
35分ほどのカラー作品。
YouTubeで観れるかもしれません。
キャスト
・主役の少年を演じているのは監督の息子パスカルです。
当時5歳だったそうで、終盤で青い風船を抱えているのも、その妹のサビーヌだそうです。
撮影方法
・CGを使わず当時の先端技術で撮影し、多くの風船をどのように撮影したかはいまも永遠の謎とされています。
・撮影に使われた赤い風船は、透明にならないように、中に黄色い風船を入れて二重にしています。
また、風船に周囲の風景が映るように、ニスを塗って光沢を出しているそうです。
またほぼ会話がなく、全編通してセリフは数えるほどです。
・監督のアルベール・ラモリスはヘリコプターによる空撮の名手としても知られます。
時代背景
・1950年代は、フランスの経済史における「栄光の三十年間」と呼ばれる期間(1945年〜1975年)までの真っ只中です。
この栄光の30年間でフランスのライフスタイルは大きく変化し、地方から都会のパリへと移住する人々が増えました。
パリだけでは増え続ける移住者たちを支えきれないことから、パリの人口抑制政策として、パリ周辺の中核都市でも人口増加がもたらされました。
・映画に出てくる通行人もすべて本物で、戦後十年あまりです。
当日のパリのリアルが垣間見える作品といえます。
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