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精霊をとどめる


寒風に曝されるごとに
橙色から褐色へ
斑模様から単色へ
里山の冬が推移する

この山裾に沿って
4車線の高架道路を建設するという計画が
国から降ってきた
県知事が承諾した
市長が承諾した
地域に暮らす住民の知らぬ間に

自然と親和して暮らす人々の頭上高く
山並みの下腹部に
無機質な灰色のベルトが
ごりごりと装着されるらしい

山道をたどりながら
野イチゴの白い花や赤い実に
声を上げる子どもたち
満開の山桜の下を犬と散歩する夫婦
草木の匂いを孕む風に撫でられ
汗を滲ませる登り路

幾世代も当たり前に暮らしてきた環境が
砕かれようとしている
ケーザイとかリュウツウとかを優先する
アナクロニズムの
餌食にされようとしている

地方の片隅に在る
この土地は「平凡」だ
保護対象になるような
希少生物は見当たらないかもしれない
こんなありきたりな自然を壊すプランは
「ニュース」にもならないだろう
放置されている雑木林をすっきりと
整備するくらいにしか映らないだろう

たとえそうであったとしても
里の山並みに温かく見守られ
名付けられた山々を朝夕眺めて安らぎ
四季折々を感受してきた人々の
暮らしの積み重ねは活きているのだ

巨大な刀剣で
里の山々の腰を
横殴りに斬り裂いてしまうならば
風土は致命傷を負う
土地を活かし守護する精霊たちが
山々から離れ去るのを
見す見す見過ごせるだろうか





  撮影地  豊橋市大岩町 山ノ池(12月)


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年の瀬がじわりじわりと迫ってきました。
寒々とした日が多くなりましたが、
みなさん、お元気ですか。

今回は、私の身の回りで進行している出来事を
テーマにしました。
浜松湖西豊橋道路というのが国策で進められている
産業道路の名称です。
この計画の撤回を求める地域の活動も、細々ながら
始まっています。
(もちろん、道路建設に賛成の方々もあります。)
国相手なので、明るい光はまるで見えてきませんが、
楽しみながら活動に参加していければ、と思っています。
関心のある方は、
2022浜松湖西豊橋道路PortalSite (google.com)
を覗いてみてください。

来週も水曜日か木曜日に更新する予定です。
また見に来てください。
私もみなさんのページを訪ねます。

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