湿原の秋2
「いつまでそこで撮ってるの
あっちへ行くよ」
その声に
我に返れば
同じ被写体に
すでに二十回あまりも
シャッターを切っていた
湿原巡りを共に楽しんでいる妻が
しびれを切らすのもあたりまえだ
そもそもどんなふうに撮りたかったのだろう?
カメラを向けた肝心のモチーフが
どこかに飛んで行ってしまっていた
無心に撮っていたのは何だったのだろう?
木道を歩きはじめて
まっ黄色のスイランがふたつ
顔を並べて揺れていた
そうだった
いのちの息吹を
撮ろうとしていたのだ
撮影地 愛知県豊橋市 葦毛湿原
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