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第5回 恐ろしい記憶

星野家に来た初日にお風呂が怖くなったことがずっと尾を引いていて、私は頭を洗えなくなってしまっていた。

そのせいで汚いと言われ、ママに髪の毛をハサミでジャキジャキに切られ、すっごい頭になってしまった。


夜寝る時も怖かった。

いろんなことが重なってか、私はおねしょをするようになってしまった。
幼稚園の時にもしたことがなかったのに。


最初はどれだけ怒られたかは覚えていない。
しかしこの時のことが、私の中に強烈な恐ろしい、今思い出しても恐ろしい記憶として残っている。


怒られるのが怖かったので、おねしょをしたことがバレないようにと思い、洗濯機にパジャマとパンツを放り込んでおいた。

子供の浅知恵が通用するわけもなく、すぐにバレてしまった。

ママは私を洗濯機の前に引っ張っていくと、私が放り込んだパンツとズボンを取り出して、私の顔にぐしゃぐしゃに押し付け、バッチバチにしばく。

それだけに終わらず、私の太ももの付け根の内側を鬼の形相で思いっきりつねった。

私はあまりの激痛に声を上げることもできず、体中が強張ったまま身動きができなかった。


恐怖でおねしょが治るわけもなく、悪循環でしかなかった。


上のお兄ちゃんは当時中学一年で、すでに私に暴力を振るうようになっていた。

毎日学校から帰ってくると、竹刀を持って大声で呼びながら私を探し回る。

「何隠れてんねん!!」
抵抗も虚しく、テーブルの下に隠れていた私を引きずり出し、
めちゃくちゃに叩いた。

竹刀は使い込むと先がささくれ立つように割れてくる。
それが身を挟むので、引っぱられる時に切れて血が出る。
二重の痛みだった。


なぜそんなことをするのか、私にはわからなかった。


つづく

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