お客様を感動させる パン屋さんになりたい 

お客様を感動させる パン屋さんになりたい            

 
「店長相談があるんですが」
「あら、めずらしい、佐々木さんどうしたんですか」
「最近売り上げが落ちてきたので、何か、手を打ちたいのですが」
「ISBの佐々木さん、いい心がけですね」
「冷やかさないでください、私は真剣なんですから」
「はい、困った時には、加藤さんに相談するといいですよ」
「あら、加藤さんは、品管じゃないんですか」
「品管も得意だけど、品質を武器に売り上げを増やす事も得意みたいですよ」

そして、次の日
「加藤さん、お願いします」
「ISBの佐々木さんじゃまずいろいろ質問しますね」

 ヨコシマスーパーのインストアベーカリー(ISB)は、粉から配合して、パンを焼いている本格的なパン屋さんです。しかし、COVID-19の影響で、お客さんが、直接手を触れないように、焼き上がり後直ぐに、ビニール袋に入れて販売しているのですが、袋詰めする前にくらべて、店での香りもなくなり、焼きたてのパリッと感が消えてしまった製品も事実出てしまっています。
 まず、完全に室温まで冷えてから、袋詰めすることがいいのですが、そうすると、焼きたてのパンをお客様が購入することができません。
 加藤さんが助言したのは、焼きたてのパンは、惣菜サラダ、肉屋さんなどが使用しているガラスのケースの中に入れて、販売することでした、温度管理が必要ないので、大きなガラスケースに入れて、販売したのです。アメリカなどのスーパーでは、お客様が、直ぐに触れる状態では、パンは販売されていません。
 誰でもが、直ぐに触れる、しゃべった時にでる、つばがかかってしまう状態で、包装されていない焼きたてのパンを販売している国は、珍しいと思います。
 焼きたてのパンを、ガラスケースの中で販売し、冷めた段階で、ビニール袋に入れて、棚で販売する用にしたのです。

「加藤さん、ありがとうございます。少しは販売が伸びてきました」
「もう少しですね」
「次は、どうしたらいいですか」

 加藤さんは、パン屋さんの入り口に、日替わりパンを置くことを提案しました。
 一個、150円の毎日、同じ値段で、朝、一番から、日替わりパンを置いたのです。
 通常では、200円以上するものも、日替わりパンに入れたのです。ヨコシマスーパーは、毎日、昼ご飯、朝ご飯用に購入する方が多いので、店頭で、パンを手に取って、セルフレジで精算して、いく方が多いのです。
 定食屋さんの日替わり定食の用に、食べる事を考えずに、注文、購入できる、日替わりは、「今日の昼ご飯は何かな」と言う、楽しみもお客様に感じてもらうことができるものです。

「加藤さん、ありがとうございます。本当に売り上げ伸びてきました」
「佐々木さん、ここからですよ」
「まだ、あるんですか、策が」
「はい、任せてください」

 加藤さんは、次に、オーダーサンドイッチを提案しました。
 このパン屋さんでは、サンドイッチを作っていたのです。衛生面から、サンドイッチは、別の作業場で製造していました。サンドイッチの作業場にお客様が、自分の好きなパン、味付け、挟む物をオーダーすると、好きなサンドイッチを作ってもらえるのです。
 さらに、パンは、オーダーしてから、丸刃のスライサーでスライスしていたので、乾燥していないおいしいパンが食べられたのです。
 コンビニなどのサンドイッチ、市販されている、食パンの中には、丸刃のスライサーではなく、のこぎりの用に、上下に刃が動いてスライスする、スライサーでスライスしているパンが多い物です。スライスされた表面は、ギザギザになっていて、食べるときには、パンくずが落ちてしまいます。食パンを丸刃でスライスした後直ぐにサンドイッチで食べてみると、非常においしい物です。
 ホットドックなども、焼いた直ぐのパンは、やはりおいしい物です。
 ホットドックに挟む、ウインナーも、ボイルで調理するよりも、鉄板で焼いた物の方が、パリッとしておいしい物です。どう調理すればおいしくなるかを考えた、お店と、効率的に調理するためには、どうしたらいいかを考えたお店は、味が異なります。
 同じチェーン店のホットドックでも、鉄板で焼いているお店の味は、別物です。
 

「加藤さん、あと少しですか」
「佐々木さん最後は、何だと思いますか」
「お客様の顔を覚えて挨拶することです」
「はい、商売の基本ですね」
 
 オーダーサンドイッチを注文してくれるお客様が、毎日、同じ物を注文してくれているときに、顔を見て「いつもありがとうございます。同じ物でいいですか」と声をかけることができるかどうかです。
 コンビニのレジでも、毎朝、コーヒーを買って帰るお客様が、レジに手ぶらで並んでいる姿を見た時に、お客様が、「コーヒー」と言う前に、レジ台にコーヒーのカップを置くと、お客様は感激する物です。

「加藤さん、ありがとうございます」
「佐々木さん、まだ終わりじゃないですよ、これからお話することが一番大切な点です。焼きたてパンの考え方と私は言っています」
「是非、教えてください」

 加藤さんが伝えてくれた、「焼きたてパン」の考え方は、お客様が、購入して、レジに並んだときに、同じパンの焼きたてパンが焼き上がった時に、「お客様、このパンの焼きたての物がありますのでお取り替えしますか」と声をかけることです。
 一般的には、製造した時間が経った物から売れた方が、売れ残りが減るので、利益につながるように、教育されていますが、お客様にとっては、焼きたてパンの方がおいしいので、うれしい声かけになります。
 パソコンの新商品が一ヶ月後に、出ると社内で決まっていても公表されていないとします。旧型のパソコンが、新型の発表前に注文が入ったら、どうのように、対応しますか。
 新型の発表は、社外秘です。
 旧型の注文を受けた段階で、出荷は、新型の発表後の期日になると、お客様に伝えるのです。新型の発表がされた日に、お客様に、新型にしませんかと連絡することで、お客様は、新型を手に入れることができます。
 利益だけを考えた考え方では、在庫の、旧型を販売した方がいいのですが、お客様のことを考えると、新型発表の社外秘を守った上での対応を考えるべきなのです。
 あなたの、お店では、常にお客様のことを考えていますか。

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