産地の信用を得るために 

産地の信用を得るために 

「加藤さんおはようございます」
「店長、おはようございます」
「加藤さん、熊本のあさりの産地偽装から、お客様の質問が多くなって、結構不安になっているかたが多くなってきているように思うのだけど」
「店長何か、アイデアありますか、お手伝いしますよ」
「ん、本部と確認しなきゃならないので、今度の店長会で提案してみますね、決まったら従業員教育と指導よろしくお願いします。」
 ヨコシマスーパーでは、毎月、業績の報告と、今月の売り場の展開についての店長会を行っていたのです。
 もちろん、どうすれば、オペレーションが楽になって効率を上げることが出来るかも話していたのです。青山店長は、お客様から信頼をどうしたら得られるかについて、根回しをした上で、店長会で提案したのです。
 提案内容は、熊本の産地偽装で問題になった、アサリ、特に水産関係の産地の表示を、法律で決められているよりも、細かく表示すると言うことです。
 現在の法律では、マグロの柵であれば、マグロを釣った海域、もしくは水揚げした、港のある県名、海外であれば国名の表記が必要です。
 提案の1点目は、このどちらかの表記が必要と言う所を、仕入れ先でわかっている範囲で、両方記載しようと言う事です。
 提案の2点目は、刺身の盛り合わせなどの場合、50%を超えない品種がない場合は、産地の記載が不要と言う法律を超えて、すべての品種に産地を記載すると言うことです。
 提案の3点目は、刺身の盛り合わせに使用している、大葉、大根のツマなどの産地を県名で表記すると言うことです。
 三点目は、法律上は全く表記する必要は、無いのですが、お客様の声として、質問があったので、表記すると言う提案でした。
 ヨコシマスーパーの水産の責任者の部長の了解を得られたので、提案したのですが、惣菜の部長から、「惣菜部門では、産地の表示が難しい物があるので困る」と意見がでたのです。
 お客様が気にする産地は、中国産がほとんどで、メキシコのカボチャ、タイのオクラなどを使用していても、気にしないものです。
 「当店の惣菜には、中国産の野菜は使用していません」と、表示すればいいのですが、ヨコシマスーパーの惣菜部門は、価格を抑えるために、まだまだ、中国産の野菜に頼っていたのです。特に法律上は、惣菜で使用している、すべての野菜の表示は求められていないため、価格を考えて仕入れを行っていたのです。
 また、天ぷらなどに使用している小麦粉も、小麦の産地の記載ではなく、小麦を粉にしたところを記載しているので、小麦粉(国内製造)と表示しているため、お客様が知りたい本当の産地が不明になっていると言う法律上の問題点があります。
 例えば、中国産のそばを日本の国内でそば粉にすれば、そば粉(国内製造)の表示になります。
 ヨコシマスーパーのお客様が、少し、単価が上がっても、中国産の野菜等を使用しない惣菜を求めているかどうかが、わからなかったので、店長会では、青山店長の提案は、まずは、青山店長のお店だけで、行って、特に惣菜のお客様の声を聞いてみてください。そして、来月の店長会で、報告をすることになったのです。
 水産の表示は、大根のツマ、大葉などは、売り場にホワイトボードを設置し、今日の大根は、茨城産、大葉は愛知県と記載したのです。
 産地の証拠としては、毎日、大学ノートに、仕入れ先の伝票を貼り付けたのです。産地が変わる場合は、茨城産・北海道と表示しました。
 刺身の盛り合わせも、ラベル表示に記載することは、止めて、ホワイトボードに、魚種毎の産地を記載したのです。
 お客様は、ホワイトボードを見て、「へーー、太平洋で釣って、茨城の港で水揚げしたんだ」と言った会話が聞こえ、概ね好評のようです。
 大根のツマなども、産地がわかり、安心出来ると言った声が聞かれたのです。
 水産厨房の管理も、ラベルの記載は今までどおりで行い、ホワイトボード管理を行ったので、特に問題は無かったのです。
 産地の証拠も、大学ノートに貼り付け、産地表示のラベルも貼り付け、ホワイトボードの記載は、開店前に写真を撮り、印刷して、ノートに貼り付けたのです。
 当然、貼り付ける前に、確認をしたのです。
 大根のツマを仕入れている工場には、大根のツマを入れているビニール袋に、消費期限と産地を記載したシールを貼ってもらい、そのシールを剥いで、ノートに貼り付けたのです。
 品管の加藤さんの指導で、産地をノートに自分たちで記載するのではなく、仕入れ先が記載した物を、貼る事にしたのです。
 自分たちで記載するのであれば、容易に、後からでも修正出来てしまうと、思われるからです。
 特に大根のツマは、ツマ工場に入る大根の産地が変わった時に、二種類以上の、県名が混じるときにどうしたらいいかと、問い合わせがあったので、混じる時は、すべての県名を記載してもらうことにしたのです。
 管理方法は、すべて、貼ると言うことにしたので、生産性が下がることはなかったのです。
 惣菜部門の取り組みについては、下記のメルマガの中で、また、お話します。

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