整頓 

整頓 

「店長、今年もよろしくお願いします」
「加藤さん、おめでとうございます。今年は、加藤さんの出番のない年にしたいものです」
「店長、そう言わずに使ってください」
「加藤さん、早速だけど、昨年からの宿題の整頓について、従業員教育お願いします」

 ヨコシマスーパーでは、2022年は、売り上げ、利益とも、創業以来の最高値を
目標としています。店長の青山さんは、5S活動を通して、品質管理の基本を徹底し、
品質管理が、うまくいっている証としての売り上げ、利益が上がると信じているのです。
 「品質管理の目的は何か」と問われると、私は、毎年毎年、売り上げ、利益が増える
ことと答えます。
 お客様から見た品質がよければ、自然と、売り上げ利益が増えるはずなのです。
 品質管理活動をきちんと行っていれば、日によって、野菜の品質がぶれることもなく、
子供が、お使いにきても、いつでも選ぶことなく、いい商品をお客様が購入できる
はずなのです。
 5S活動は、整理から始まります。いらない物が、作業場、厨房から無くなれば、
次は、置き場所を決める整頓になります。
 整頓が進めば、捜し物がなくなり、探す時間が効率化され、作業時間が短くなります。
 原材料がない、仕入れる事を忘れてしまった。過剰在庫になってしまった等と言う
こともなくなります。
 品質管理は、品質さえよくなればいいような気がしますが、品質の基本は、標準化に
なります。「標準化」とは、いい音楽を奏でる方がいれば、誰でもが、同じ音楽を奏で
られるように、楽譜に落とし、テンポを明確にすることです。
 惣菜で考えれば、配合、作業方法をマニュアル化し、どのくらいの時間で出来るかを、
テンポを明確にする事です。
 単純にマニュアルを作るのではなく、マニュアル通りに作業するために、従業員教育を
行うことが大切なのです。ピアノを習うのに、いい音楽を聴いただけで、ピアノを
弾いてくださいと言われても、初心者では全く無理になります。訓練のために、
赤いバイエルから弾き出し、出来るようになってから次の曲に行くような物です。
 さらに、そばで先生が教育することで、進捗は早くなっていきます。すなわち、
楽譜と言う、マニュアルが必要になります。
 レジ回りで考えて見ます。ボールペンは、どんな種類のどんな色のボールペンを
何本ずつどこにおいておくことが、一番作業性がいいですか。横に置いておくのと、
立てておくのと、どちらが作業性がいいですか、出来れば、教育することなく、自然に
誰もが出来るように、工夫することで、作業性が上がります。
 「なぜできないんだ」、「なんど説明したら出来るの」と、言う言葉が出るようであれば、
マニュアルの置き場所、整頓方法が悪いのだと思います。
 レジ回りにボールペンを置くのであれば、筒状の物に刺すようにして、黒二本、
赤二本を常におくようにします。もちろん、ボールペンは、決められた同じメーカーの、
物を揃えます。
 常に筒のペン入れにおくことで、定位置管理が出来るのです。
 整理の基本は、定位置管理です。
 本箱で言えば、シリーズの本は、一番から順に2番、3番と並んでいることが必要です。
 ファイルであれば、背表紙に斜めに線を引くことで、一冊抜けたり、順番が
変わったりすると、番号を見るまでもなく、整頓することが出来ます。
 この、「背表紙に線」を引く事が教育するまでもなく、出来る方法を考える事になります。
 厨房の中にある、清掃するために分解する必要のあるものを考えて見てください。
 外した部品をどこに入れるか決めていますか、外した部品がなくならないように、
1の部品は、トレイのくぼみの1の所にいれ、2の部品は、トレイのくぼみの2の所に
入れるようにすれば、部品はなくなりません。
 冷蔵庫の中も、置き場所を定位置で定め、定位置の表示の所に、おける量しか置かない
ようにすることで、余計な食材、半製品を置くこともなくなります。
 新型コロナウイルス対策で、椅子などに×印をつけているところがありますが、椅子を
取り除く、椅子に何かぬいぐるみを着けたままにするなどの工夫で、間違えて、×印の
上に座ると言うことは無くなります。
 誰が見ても、教育を受けていなくても、定位置に定量おける工夫が大切です。
 整理をするために、弾き出しの中に、ボールペンの形をくりぬき、はさみの形を
くりぬき、そこが定位置になるように工夫している方がいますが、もっと楽に考え、
本当に作業性を考え、人間の心理を考え、自然にその場所に置くような物を考えるべ
きです。
 無理に、弾き出しの中に、形をくりぬいているのは、形だけの整頓と考えます。
 レジの中の小銭を金種毎に入れて、整頓するのも同じ考え方です。
 レジの中の釣り銭を無くすることで、この整頓が必要なくなります。
 カード決済、スマホ決済だけにすることで、更に作業性が上がり、整理整頓が進むと
言うことになります。
 常に効率化も整理整頓と同時に考える必要があるのです。

いいなと思ったら応援しよう!