不審者対策

不審者対策 

「店長、おはようございます」
「加藤さん、おはようございます、どうしたのですか朝早くから」
「きっと店長が悩んでいると思って朝一番できました」

 本社、品質管理担当の加藤さんは、大阪で発生した、病院の放火事件で、店長が
対策を悩んでいると思って、相談に乗りに来たのです。加藤さんは、海外のスーパー
で、ロスプリベンションの部門で、教育を受け、まさしく不審者対策についても、常
に学び続けていたのです。
「加藤さん、悪意を持ってスーパーに来る方をどうしたらいいか、従業員教育しても
らえますか」
「もちろん」
 食品工場、事業所などは、アポイントがあるかどうかを確認して、確認が取れた方
だけを、敷地内に入れればいいのですが、不特定多数の方が、入る事の出来る、
スーパーの対策は難しい物です。
 海外で、食品工場に入るときは、アポイントをして、日本の公的な身分証明書を
確認されました。さらに、大きな荷物、リックなどは、受付に預け、私物が持ち
込めない対策をとっていたのです。
 日本の工場であれば、防虫防鼠業者の名刺を借りて、業者の方のふりをして、
競合相手の工場に侵入することは可能になります。名刺を持っているからと言って、
本人である保証はどこにもないのです。
 配送業者の登録も、配送車の登録を行っている所は多いのですが、運転手まで、
登録しているところは少ない物です。従業員を含め、お客様以外は、本人確認が
出来る事が最低限必要です。私の経験でも、納品してきた業者が、スーパーの商品を盗
んでいった事件もありました。人の目がないところでは、つい悪意を働いてしまう方が、
出てしまう物です。
 スーパーで考えなければならないのは、お客様だけで無く、従業員が、突然悪意を
持って行動しないようにすることも大切です。私物を持ってくるときには、透明な鞄に、
最低限の物を持ってくるように指導すべきです。鞄が透明であれば、悪意を持った方が、
農薬などを持参出来ない様になります。
 食品工場で、従業員が悪意をもって自宅から持ってきた農薬を製品に混入する事件も
日本で発生しています。悪意を持って何か行おうとする方は、目を合わさない物です。
朝、出勤時に「おはようございます」と声をかけることで、表情が変化するはずです。
 まずは、出勤時にすべての従業員と、目を合わせて挨拶しているか、考え直して
見ませんか。日常的に、困っていることがないか、悩んでいることはないか、
最近勤務態度に変化がないか等を常につかんでおくことが必要になります。
 お客様対策も、基本は同じです。店頭で必ず、「いらっしゃいませ」と声をかける、
商品を探すなど、不審な行動をしている方には、「なにかお探しですか」と声をかける
ことが大切です。品出し中に、お客様に声をかけられることがあると思いますが、
キョロキョロしている方に是非、声をかけることを徹底してほしいものです。
 万引き対策も同じです。万引きしようとしている方は、他の方の目が気になるので、
キョロキョロしてしまいます。そのときに「なにかお探しですか」と声をかけられると、
人の目が気になり、万引きなどを行わなくなってしまいます。
 従業員のコストを下げるために、売り場に従業員の配置が十分出来ていない場合が
あります。品出しの時に、少し回り道をするなど、なるべく売り場全体を見るように
すべきです。
 大阪の放火事件の犯人も、監視カメラの録画で確認が取れました。しかし、監視
カメラを設置しても、不審な動きをした場合、判定しなければなりません。最近の
監視カメラは、画面の前で、人が見ていなくても、AIを利用し、不審者をあぶり出し、
警報を出す物も出てきています。売り場の方に、不審者を特定した場合、連絡
するように仕組みを作り出すことが出来ます。
 直ぐに出来る対策は、監視カメラを設置している事を、お客様の入り口に表示し、
ダミーも含めて、多くのカメラを目に付くように設置すべきです。
 監視カメラのモニターも、入り口に設置し、「悪いことをすると、監視カメラで
記録している」と言うことを伝えることが大切です。
 常に誰かの目に見られている環境を作り出すことが大切です。
 売り場に、水たまりが出来ていると気がついた時に、直ぐに水たまりをふける要員、
ゴミが落ちていたら、直ぐに拾える要員が最低限必要です。
 売り場のゴミを拾う余裕もないような、要員配置では、適正な利益とはいえないのです。
 従業員、お客様の安全を守るためには、入り口から来られる、お客様に常に挨拶を
する、従業員が出勤してきたときには、必ず声をかける、この基本が、悪意を持った方が、
行動出来ないようにする基本になります。
 日本では、挨拶を軽視していますが、エレベーター、更衣室などの密室に入るときには、
私は、悪意のない、いい人ですと伝えるために、挨拶するのが基本です。
 飛行機に乗るとき、飛行機から降りるときにも挨拶することが大切です。
 あなたが出勤してきたとき、退勤するときに、必ず挨拶していますか。
 挨拶が、人を信頼することの基本だと思いませんか。
 

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