惣菜のラベルがしましまになっている

惣菜のラベルがしましまになっている 

 
「店長、惣菜売り場に来てもらえますか」
「加藤さんどうしたんですか」
「店長、この表示みてみてください、文字が読みづらくしましまの線が入っているの解りますか」
「ほんとうだ」
「ほんとうだ、じゃないですよ、朝一番にサーマルヘッドの確認をするように教育しましたよね」
 ヨコシマスーパーでは、惣菜商品に貼るラベルは、厨房で、サーマルラベルに、印刷して貼っていました。
 サーマルラベルの印刷用のヘッドは、汚れてくると、印刷時にしましまの模様が出てきてしまう場合があります。しましまが出てきたときは、専用のクリーナーで掃除すると、綺麗になるので、朝一番に、ラベルをチェック表に貼り、確認するようにしていたのです。
 また、開店前には、売り場の表示確認を店長を初めとして、社員は、必ず行うようにしていたのです。
 品管の加藤さんは、たまたま、お店にきていたので、開店前のチェックで気がついたのです。

「店長は、毎朝確認することを行っていないのですか」
「。。。。。。。。」
「惣菜担当のサチコさんは、今日は休みなんですか」
「はい」
「休みの時のサブの方は、決めていないんですか」
「はい」

 惣菜担当のサチコさんは、生真面目な方で、毎日、ちゃんと、ラベルを貼って確認していたため、こう言ったミスは起きていませんでした。
 しかし、休みの時のサブの責任者は、先日、だんなの転勤で辞めてしまって、まだ、サブの方を選任していなかったのです。

「店長、もし、ラベラーのデーターが今日飛んでしまったら、バックアップは何処にあるんですか」
「サチコさんに任せているんで」
「店長、たのみますよ」
 ヨコシマスーパーのラベラーは、社内LANには、接続されておらす、ラベラー自体で、表示を作成し、バックアップのデーターは、USBメモリーでバックアップしていたのです。 
 バックアップは毎週月曜日に作成し、惣菜のチーフのサチコさんが、自宅に持ち帰っていたのです。

「店長、データーの持ち出しはどうかとおもいませんか」
「。。。」
「たしかに、サチコさんに、任せておけば間違いは無いのかもしれないけど、個人商店じゃないから組織として対策をとって置かなきゃだめですよね」

 個人商店、自営業の方なら、バックアップのデーターを自宅に置いておくことは、正解だと思います。しかし、ヨコシマスーパーは、厨房内の写真を撮ることを初め、社内の売上データー、得意先の一覧表、従業員の連絡先などの持ち出しは、厳しく管理していたのです。
 最近は、パソコンの持ち出しも禁止していたのです。
 バックアップの大切さは、サチコさんを初めとして教育していたので、毎週、月曜日にバックアップして、鞄に入れていたようです。
 ヨコシマスーパーの他の店舗では、ラベラーと、事務所のパソコンをLANで結んで、パソコンから、ラベラーを操作していました。バックアップのデーターは、社内サーバーで行っていたのです。

「店長、なぜ、パソコンと、ラベラー結んでいないのですか」
「だって、経費かかるじゃないですか」
「経費って」
 店長は、利益の目標を達成するため、経費削減を行っていたのです。あとで解ったのですが、バックアップのためのUSBメモリーも、サチコさんが、自腹で購入していたみたいです。厨房に、私物を持ち込んではいけない、厨房には、会社支給の備品しか持ち込んではきけないと言った、ルールを完全に無視して、経費削減していたのです。
 食品工場でも、筆記用具は、自宅から持ってくることと言って、様々な銀行、会社からもらったボールペン、鉛筆を作業場に持ち込んでいる工場もありました。
 もちろん、指示書、配合表なども、自宅から持ちこんだノートにつけていました。
 配合表なども、ノートに記入していたのです。
 配合表だけでは、同じ物を作る事は、難しいのですが、自由に会社のデーターを持ち出す事が出来る環境をつくっていたのです。
 本来、惣菜の一括表示などは、停電、ラベラーの故障などで、何時、飛んでしまうかわからない物です。また、新商品などの表示の作成は、作成後印字して、間違いが無いか、複数の方で確認すべきものです。
 新商品の表示の作成、データーのバックアップをすべて、一人の方に、任せているのは、組織として運営していない事を表しています。
 売上データー、購買データーと同じようにバックアップを組織として行うべきです。
 バックアップは、サーバー自体でミラーリングを行っていれば、大丈夫と言うことではなく、サーバーを置いてある建物が、火災にあって、サーバーが破損した場合でも、他の所にバックアップがあるように設定すべきです。
 東日本大震災で被災した方の中には、大切な写真のデーター、写真そのものが、すべて流されてしまった方が、多く出てしまいました。
 カメラ、パソコンなどは、流されても購入することが出来ます。
 しかし、撮りためたデーター、写真は、流されてしまうと、元には戻りません。
 一番価値がある物がデーターそのものになります。
 大切な写真と同じ価値が、惣菜の一括表示にもあると、私は思っています。
 あなたの、事業所のデーターは、安全な所に、バックアップされていますか。

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