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再開、海外旅行 10

翌朝は、私が前日スーパーで調達した朝食を部屋で食べ、9時に集合場所に集合の上、ラミントン国立公園を散策するツアーに参加する。集合場所までホテルから徒歩で5分以上かかるので、早めに向かう。
集合時刻の15分前に着くと、ドライバーがまだ到着していないので、しばらく待つようにと言われる。すると5分少々待ったところでドライバー兼ガイドが到着して、私たちは車に乗り込む。
私は、What is your last name?と尋ねられたのに、What did you do last night?と尋ねられたと勘違いして答えたら、ガイドが怪訝な顔をする。どうやらオーストラリア訛りの英語で、ネイムをナイムと発音しているようなのだ。これは前途多難だぞ、と私は思う。
参加者は私たち夫婦を入れて全部で7人だったが、実は最後のホテルにピックアップに行った際、1組のカップルが遅れたらしく、10分程度待ったのだが来ず、置いていくところとなった。このような事態で置いていかれたのを見たのはこれが初めてかもしれないので、ちょっとした衝撃だった。そもそも日本人は、あまり時間に遅れない。
私たち以外の参加者は全員白人で、とてもアウェイな感じがした。ガイドはさんざんいろいろな説明をしてくれるのだが、ネイティブたちを相手に喋るので、スピードに容赦がない。おまけにオーストラリア訛りだ。説明は半分程度しか分からず、もったいないと思うがやむを得ない。まあ国立公園に連れて行ってくれるだけでよしとする。

ラミントン国立公園は、ゴールドコーストから車で1時間半ほどのところにある。前日の夜、土ボタルを見に行ったスプリングブルック国立公園と途中までは同じ方向で、もっと山奥、高地まで登るイメージだ。途中、カナングラという村でトイレ休憩し、その間に昼食で頼むもののオーダーをする。
車が山を登るにつれて、どんどん眺望が開けてきて、西部の山々まで見渡せるようになる。火山や植物についてもガイドは説明していたが、十分に聞き取ることはできなかった。

ところがここで問題が起きる。ガイドがやたら咳をしているのだ。オーストラリア人がマスクをしていることなんて、空港を除けばほぼ見たことがないのに、知らぬ間に彼はマスクをしている。もし彼がコロナだったらどうしよう、と私たちは不安になる。私たちは運転手兼ガイドの2列後の席で、少し離れていたのが救いだったが、俄然不安が高まる。
おまけに実は、咳をしていたのは彼だけではなかったのだ! 私のすぐ前の背の高い男性も咳をしていたのだった。夫が言うには、2人は順番に咳してたよ、とのこと。すぐ前の席で咳をしていたのであれば、距離も近すぎるし、車に乗っている時間から考えて間違いなく濃厚接触だ。もし彼らがコロナだったら万事休す。私は気休め程度にマスクをしたが、夫はマスクを携帯していなかったので、どうしようもない。私たちは帰国前にPCR検査が必要で、それを明日の午前中に受けようと思っていたのだ。私はコロナの潜伏期間について考える。仮にコロナにかかっていたとしても、発症する前に検査を済ませてしまいたいものだ。そうでなければ帰国できない。私は俄然落ち着かなくなった。

そうこうしているうちに、ラミントン国立公園の散策スポットに到着する。前日のツアーのように、ガイドに引き連れられて森の中を散策する。ちょっとした森林浴だ。このあたりの森は、多雨林と言うらしい(前日のツアーで聞いた日本語だ)。土ボタルツアーで聞いた説明も思い出しながら、森の中を散策する。途中、吊り橋になっているところを歩き、ちょっとしたスリルと、マイナスイオンを味わう。恐らく歩いたのは、1キロ程度の距離だと思う。オーストラリア英語の説明が、半分くらいしかわからないのが残念だ。もっともアメリカ英語やイギリス英語ならわかったのかと言われると、そういうわけでもないと思うが。

森から戻ってくると、鳥の餌付けを行う。駐車場の近くに木があり、ガイドが渡してくれた鳥の餌を両手に掲げると、鳥が餌を食べにくるという算段だ。鳥に飛び乗られても怖いと思い、初めは餌付けに躊躇していたが、鳥はもうお腹がいっぱいであるらしく、餌を掲げても来やしない。地面の近くに鳥がいたので、皿を地面に近づけてさえ鳥は来ない。ようやく食べに来たところで、皿を持ち上げてみた。インコの一種なのか、綺麗な鳥だった。参加者たちは、じきに餌付けに飽きてしまい、最後は餌を地面に撒いて退散した。これでは鳥も食傷ぎみなわけだ。

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