奇跡のインド9
スワミジ(偉い人のこと。ジ、というのは敬称らしい)のお話のため、11時にホールに集まると、まずキールタンを歌う。5分くらいしたところでスワミジがやってきて、中央に座る。するとまず、ヨガの先生や旅行会社の人が持ってきたお土産を、スワミジに差し上げる。
ところがそこで、私にとっては驚愕の出来事が起きる。スワミジが、いきなりもらった土産の包み紙を、バリバリと開封しだしたのだ。お話を聞きにきたはずなのに、この人はいきなりお菓子を食べるのか?? と目が点になった。
すると、スワミジは、もらった土産を部下の人に渡し、それを我々に分け与えた。土産を自分で食べずにいきなり分け与えるのか、とそれはそれで驚いたのだが、あとで知ったことによると、この土産シェアは、プラサードと言って、お供え物のお下がりを、巡礼者に分け与えるものなのだそうだ。今では私はお参りのご褒美と捉えている。
通常はお参りの後に、プラサードをいただくことが多いようだが、このスワミははじめにご褒美をくださるタイプだったらしい。
お菓子開封事件が衝撃的過ぎて、私はこの日のスワミのお話をほとんど記憶していない。
スワミのお話と、キールタンを合わせて1時間程度で、会が終わる。その後は、食堂に移動して昼食をいただく。
朝はチャイと簡単なインド風主食が少しだけだったが、アシュラムではお昼がいちばん豪華なのだそうだ。優しいカレー味の野菜の煮物や優しいカレー味のスープなど、ざっくり言うとカレーが数品と、チャパティという小麦粉の薄いパン、甘くないドーナツのようなもの、ごはん、じゃがいもなどが、配膳係から、床に置いた各自のお皿に配布される。ライスキールのデザートもある。ここでもキールタンを歌ってから、みんなで食事をいただく。ここの食事はどれもなかなか美味しい。
この日の午後は、参加者の約4分の1が、午前中と別のスワミのお話を聞きに行くのだという(毎日交代で、全員がそのスワミのお話を聞くらしい)。そのほかの人たちは、夕方まで自由時間のようなので、私はまず部屋に戻って休んでから、どうするか考えることにする。日本の夏に負けず劣らずインドは暑いし、初日と2日目はほぼ移動で、疲れも残っているので、部屋で休んでもいいかもしれない。