可能性
パラアーティスト。
障がい者のアーティストという意味らしい。
職場のスタッフさんがテレビで見たよ、って教えてくれた。
今日もテレビで特集やってて、たぶんこの事だな、と思った。
アーティストさんは幼少期から絵を描いておられるそう。アシスタントはお父さん。
画家の先生は「真似できません」と言われてた。
これこそアート!
黒マジックで線を描いて、線に迷いなし。線で物体を切り分けて、べったりと色塗り。独特な配色で、とてもカラフル。色塗りはぶっとい筆や太マジック。でも、全然はみ出さない。
このアーティストさんにはこんな風に見えてるのかな?
画家の先生が言われるように、立体的に浮き出たように見えるのが不思議。これ、ホントに誰も真似できません。
利用者さんの一人、アート系なのでは?と最近楽しみに様子を見させていただいている。
軽作業中、椅子に座っていられない。集中力が続かないので作業も進まず、指導員さんもお手上げ状態。最近では、ほぼ自由に過ごされ、「居場所」の一角が彼の安全な場所になっている。
けれど、就労に来ていただいてるので、何かできることはないかしら?とスタッフみんなで様子を伺っていた。
たまたま昼休憩中、紙切れをバッグから取り出して、たまたまそこにあったマジックで、字を書かれているのを目撃した。
そんな様子を何度か目撃し、書き終わったら、ゴミ箱に捨てちゃわれるので、「何て書いてるの?見せてください」とお願いすると、その紙をくださるようになった。
この方は自分から発話されることは滅多にない。誰かに話しかけられても、そっぽを向くことが多かったので、意志疎通ができたことはかなりの成果だった。
字の判読は難しい。「何て書いてあるの?」って聞くと、「それはメモ」っていう。
漢字みたいな、カタカナみたいなものが重なって書いてある。そもそも、これは文字なのか?摩訶不思議。
思いついたことを書かれるのか、書いたらおしまいなのか。
最近は「あげようか」と言って、進んでくださるようになった。話しかけてくださるのがうれしい。
どんどんメモ書きがたまっている。これはひとつのアートではないか?と思う。
スタッフの一人が、スケッチブックを渡してみたところ、ダイナミックな絵を描かれることもわかった。
鳥や文字がたくさんの線で構成されている。好きなキャラクターも描かれていた。それも「○○が好きなの?」って聞いたら返事があって、わかったこと。
何年も通所されていたのに、なーんにも知らなかった。とても可能性を感じる。
パラアーティストの卵さん?
彼の居場所がひとつできたなー、と喜んでいる。
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