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2024 年間ベストソング
サブスクの影響で気軽に音楽がダウンロードできる環境なり、以前のように新曲を追うことがだいぶ少なくなりました。ヒット曲のシングルCDをレンタルして、自分のMDやカセットを作った時代が懐かしい。いつの間にか音楽も所有するものから、食べ物のように消費されるものになったのを寂しく思う反面、それはそれで幅広く聴ける曲の量は広がった気もしますが、1曲を集中して聴かなくなってますね。そんな中で今年の10曲を選んでみました。
Omoinotake / 幾億光年
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今年初めて紅白にも選ばれて、いつの間にか売れていてまず驚きました。印象的には暗めの曲が多いバンドだったので、2,3年前ぐらいに初めてモラトリアムという曲で知って、申し訳ないですが売れる想像は全くしなかったな…この曲もどこかで聴いてたぐらいで、紅白選出を聴いて改めて聴き直してから思いの他良かったパターン。希望に満ちたメロディと切ない歌詞にハイトーンボイス。ギターレスでキーボード、ドラム、ベースでサビに心地よいアクセントでホーンが加わる。ギターのような強い音がない分、ボーカルが際立ってメロディを牽引し、ベースがしっかりリズムをとって曲の輪郭がくっきりして聴きやすい。まさに王道JPOPドリカムのようなポップ路線と勝手に推測。売れるべくして売れた楽曲ですね。
ここ近年の男性ボーカル曲キー高すぎ問題にまた新たなメンバーが加わりました。
TSHA / Take
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見た目からは新生R&Bシンガー的な感じですが、ロンドンを拠点とするDJ、プロデューサーの2nd。おそらく来日とかもしてなくて、まだ日本での知名度は低い。自身が歌う楽曲もアルバムにはありますが、ゴリゴリのクラブアンセムっぽいトラックを選出。シンプルな4つ打ちリズムがズンズン響く。下手すると単調になりがちなリズムにトライバルな楽器風の音やシンバルっぽい音などを細かく重ねて飽きのこない躍動感あふれる楽曲にしているところは、とても新人とは思えない堂々っぷりが垣間見れたので実力も確かなものなんでしょう。
Usher / I Love U
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印象とてはかなり昔から米のR&Bシンガーとして世界的にも活躍しているスーパースターな存在。決してオワコンな扱いはされてないと思いますが、まだ現役バリバリだったのを再認識。たまにメジャー路線のど真ん中な楽曲も響くことがありますね。どこに引っかかったかはわかりませんが、裏切るような展開もなくただただ甘いボーカルでミディアムスロウな流れをいく。まるでチェーン店のような安心感。アメリカ本場のエンターテイメントらしさを肌で感じようなよどみない心地よさがBGMとして最適。
salute & LEILAH / perfect
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全く情報なしでまずはリサーチ。オーストリアはウィーン出身で今はイギリスを拠点に活躍するDJ/プロデューサーのデビュー作のようです。UKガラージ/2STEPあたりのクラブサウンド。Rina Sawayamaなどもアルバムには参加していてある程度の知名度はあるのかな。2STEP特有の小気味よいクールなビートに、徐々に疾走感が音のレイヤーと共に増していきヒートアップするようなトラック。チルなオシャレさも感じながら、反復する女性ボーカルがトリップするような麻薬的な魅力もある。米にはない洗練された感も好印象。
New Years Day / Unbreak My Heart
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女性ボーカルのカリフォルニア出身5人組ヘヴィロック・バンドの5作目。Evanescence、Paramoreとかボーカルが女性のヘヴィロック系は単純に好みだったりしますね。ゆっくり暗めの入りで、一気にサビで伸びやかに爆発していくような展開に妙にカタルシスを感じる。この曲も同類で、やはり気になってしまう。エモもあり、ちょっとゴスっぽさもある。サウンドは結構低音寄りで、ボーカルを強調したような作り。ポップさ壮大さ、色んな要素がちょうどいいバランスで成り立っているから聴きごたえがあります。後半のシャウトもいい感じ。
Vaundy / タイムパラドックス
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新世代シンガーソングライターとして不動の人気を誇るバウンディの「映画ドラえもん」の主題歌にもなった楽曲。もう人物の説明は不要ですが、年間のベストには以前も入れたことがありますね。とにかく器用に色んなエッセンスを織り交ぜたポップ職人といったイメージです。とにかくボーカルも音も全てがキャッチーだけど一辺倒にならない細かいアレンジだったりこだわりをもったところが一般リスナーから私みたいな音楽好きのツボを刺激してくれる印象。ポケットの中には〜の童謡をオマージュしたかのような歌詞のフレーズと、弾むピアノが耳に残る。ノスタルジーさもあって、印象に残りやすい。カラオケ目線で言うと覚えやすい曲の構成もここ最近の難易度ハードな楽曲が多い中では重要ポイント。サウンド面ではベースもいい仕事している。たまたまかもですが、最近の邦楽ではギターレスが自分の中では高評価。
Kehlani / After Hours
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個人的には最も熱い次世代R&Bディーバの5作目からの楽曲。本格的なネオ・ソウル属性でありながら、アフリカ、スペイン、フィリピン系の血筋を引く自身のプロフィールもあってか、表情豊かな歌声、サウンド面にいい影響を与えている。R&Bの楽曲はプレイリストなどで流して聴くとBGMとして最適でいいのですが、個性を出しづらいジャンルとも言えると常々勝手に思っています。そんな中でも彼女の声や音はオリジナリティがあり、どこか洗練されていてシンプルにかっこいい。アフリカン、ラテンのリズムをまとったこの楽曲も自然に自分のエッセンスとして出していけるところが彼女らしく、アーティストとして素晴らしいんじゃないかと思うわけです。
KASABIAN / Coming Back To Me Good
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デビューから人気のエレクトロ要素の強いUKロックバンド8作目からの楽曲。2020年にボーカルであるフロントマンが脱退し、新体制での1作目ですね。今まで好きなバンドも正直主要メンバーが変わると、まず新作を聴いてみるか迷いました。おそらくサブスクでなかったら買う候補にならないだろうし、試聴もしてない気がする… 今の時代に感謝ですな。ダンスミュージックを巧みにロックサウンドに昇華し、UKらしいメロディの良さとキャッチーさがキラキラと展開していく楽曲。確かに以前聴いてた時の印象からはガラッと変わった気がしましたが、逆に新たな側面が自然にハマっていて、流石に第一線を走る人気バンドの風格すら感じる。
Kneecap / Sick in the Head
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1人が謎の覆面キャップを被る茶目っ気あるトリオ。と書くとまるでコメディアンですが、全く情報なしのためリサーチ。アイルランド出身のラップ・トリオのデビュー作で、トドラ・T(この人もかろうじてわかる程度)がプロデュース。90年代後半に台頭したミクスチャー、ラップロック的なサウンドを再現したような楽曲で、私的には懐かしくエモさに駆られる。ヘヴィなベースラインとドラミングに、煽り系のラップが怒涛に刻まれる展開がまさにあの頃を彷彿とさせる。今っぽく聴かせると言うよりは、まんま再現しているところにむしろ惚れる。
ROSÉ & Bruno Mars / APT.
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あと1曲該当するものが見つからず…どメジャーな楽曲を入れちゃいました。サビのAPT.APT.・・・はかなり中毒性があり、いつの間にか脳内までやられていました。こういう楽曲がポップソングの究極なんでしょうね。ドンキのCMには出てくれたけど、アーティスト単位で今をときめくブルーノマーズとコラボできるのは残念ながら日本では真似できないです。飲み会コール的な流れの楽曲みたいですが、途中のアハ、アハとか遊び心感覚のノリとしっかり歌うところのメリハリも面白い。見事にバズってるし、まさに今の時代を象徴するような最新POPSって感じがもう恐れ入るレベル。