2017 年間ベストソング
「森友学園」問題や日産自動車、神戸製鋼所などの製造現場で相次ぐ不正が見つかったきな臭い年。電通に有罪判決が出て、IT業界の働き方が見直されたりして以前のように深夜残業がなくなってきた。Suchmosの台頭でJpopがちょっと面白くなりそうな流れになる。
ぼくのりりっくのぼうよみ / Be Noble
曲を聞くまではどうせ文学的なラップをするメガネ男子がやるヒップホップなんやろと…勝手な先入観が働くいかがわしいアーティスト名。雑誌などで結構前には知ってたけど、そんなこともありどこか避けてた感のある人。たまたまラジオで流れてたのをこの曲を偶然聴いて、どハマり。
決して予想のイメージは間違ってないけど、想像以上に尖っていて、オリジナリティーの爆発加減には驚き。サウンドプロダクションの素晴らしさ、森羅万象など独特の言語を使った巧みなフレーズ使い、日本の音楽でしか生み出せない究極のかっこよさがここにある気がしたの。そろそろアニメ文化以外に、J-POPか邦楽かは知らんが、世界に飛び出せるmade in japanが誕生してほしい。だいぶ話は外れてるが、そんなことを思わせるアーティストのようだ。
The Weekend ft.Daft Punk / I Feel It Coming
このコラボは個人的にはたまらんな。The Weekndはこのランキングの常連となりつつあるけど…天才同士のタッグはやはりとんでもない楽曲が生み出される。 お互いに独自の世界観を持つ両者が、互いにその良さを存分に引き出しあいながら新しい色を作り出しているコラボの理想形。正直一回聴いただけやとサラっと流れていきそうで、5回、10回と聴いていくうちに中毒のループにズルズルと引き込まれていく楽曲。(多分それも計算なんでしょう)聴きたいというより浸りたいという欲求にかられる不思議な魔力に満ちている。
メロディの立つお得意のダフト流トラックに、The Weekndの暗闇から光だすような月光のごとくメロウな歌声。今回はあくまでThe Weekndがメインの楽曲なので、見事に自分達のオリジナリティーを出しながら、主役を引き立てるサウンドに注力している。それこそがダフトマジック(勝手に言葉作ったけど)であり、この人達の好きなところ。余計なゴシップを潰す為に自らをロボット化までしてしまうストイックさは誰にも真似できんな。って気がつけばダフトパンク中心のコメントになっていた。が、やっぱり結論はダフトパンクはすごい奴らだという話。
Daley ft. Jill Scott / Until The Pain Is Gone
なかなかパンチのあるビジュアルの英産のR&B、SOUL系シンガー。偶然試聴した時に多少気にはなっていたので、いつしか候補にはなっていたかも。無名ながらゴリラズの楽曲でftされたファレル・ウィリアムス、マックスウェルなんかも唸らせた男。方向性は違えど、個性派なSOUL系アーティストとしてはメイヤー・ホーソーンにも肩を並べそうな勢いである。とことんメロウで、サウンドとボーカルのハマり具合が尋常ではない。この声にして、この音、この音にして、この声...ちょっと何言ってるかわからんが、どちらにも相性のいい、お互いが一切打ち消し合わない見事な楽曲クオリティとでも言えばいいのか。どの曲も抜群の安定感でじっくり聴ける。
中でも耳心地のいいバラード。この系統の曲は掃いて捨てるほど聴いてきたはずだが、この人の楽曲は何か他とは違う。特に実験的なことをやってる訳ではなく、でも他のシンガーにはない世界観が作れるのは表現力の巧みさ、単純なボーカルのうまさ、メロディセンス...いやその全てを兼ね備えて、高いレベルで実現できるエンターテイメント力がそうさせるのか。この魅惑のシンガーには何か不思議な魔力がやどっておる。
Mrs. GREEN APPLE / WanteD! WanteD!
ビジュアルは正直にいうと好かん。ダサいとも思える・・・他の曲をあまり聴いたことがないので、それ以外の評価は控えるが、この曲は「僕たちがやりました」の主題歌で好きになったパターン。かなりのヘヴィローで聴いたな。カラオケでも歌ってみたいが、声が裏返るのが容易に想像できるかなりのハイトーンボイス。話変わるけど最近のバンドはやたらとキーが高くなった気がするなー。イエモンみたいな使い勝手のいいバンドがおらん。どうにかしてくれ。
イントロの印象的な電子音から、キャッチーなまま突き抜ける疾走感、飛び出すようなサビのハイトーンボイス。高いままファルセットするところは、頭がひっくり返りそうな勢い。書き下ろしかはわからんが、ドラマの若者の衝動感、悩みながらも突っ走るフットワークの軽さみたいな世界観が見事にマッチしている。多分ドラマが好きやったやつは、みんなこの主題歌を大いに受け入れたに違いない。もうギリギリかもしれんが、おっさんにも刺さるキラーチューンやな。10年後に聴いたらどんな感想になるかが今から楽しみ。
BECK / Up All Night
ついに我がベスト10にもベックがランクイン。そして今さらながらその凄さがわかってきた。思えば洋楽聴き始めた頃からずっと活躍してるし、その時点でバケモンやな。今回のアルバムはほんまいい。正直ベックにしては珍しく王道というか、狙いに来た感もあると言われるが、本気出したらここまでやれるよという恐ろしさを感じたな。ただこの人はきっと自分が音楽をやる意義をオリジナリティーという部分に重きを置いているだけに過ぎない。ある意味アーティスト界のピカソか(そこまで難解な音楽ばっかやってはいないけど)
アルバム曲どれもいいが、今回はシングル曲。ベック流踊れるポップなダンスナンバー。全く隙がないし、無駄もない。FM聴いてたらある邦楽のバンドの人がプロ目線で語ってたけど、ギターのフレーズが自分たちでは考えられないような入り方してたり、プロでもこう来たか!という部分が随所にあるらしい。わてらど素人にはわからんが、そんなことしててもこれだけ聴衆に受け入れられる音を鳴らせるってほんまにすごいな。この方はタダもんやなかったんやの。あとはサマソニで目撃するしかない。
Sidibe / I'm Only Dreaming
あのプリンス様が絶賛したという前書きがCDや記事、レビューまで載っていてある程度想像ができる新世代ソウル・ディーヴァ。プリンス様の惹かれたポイントはわからんが、とにかく声がいい。透明感でスイート、でセクシーさもある。色んなプラス要素が組み込まれた超絶ボイス。聴いてて心地よい安定感。音はちょっと懐かしさもある80年代ぽいSOUL/R&B。無理のないゆったり軽快でスムージーなリズム。背伸びせずなぞるように歌うメロディがたまらんです。
今風のエレクトロなアレンジ、オートチューンなどのゴリ押しに飽きた人にはぜひ聴いてほしいな。ミディアムテンポで存在感が出せるのは、なかなか珍しい。自然と滲み出る都会的なムードは、昔懐かしいICEなんかを思い出した。(邦楽の男女ユニットやけど、今はどうしてんのやろ)まあ誰もICEとは比較せんやろけど、嫌味のない都会感はすき。
Daye Jack / Deep End(Jayvon Remix)
リミックスの楽曲がランクインするのは初めてかもしれない。基本的にはアーティストがこれやと思って作ったものが一番良いわけで、色々こねくり回して音を過剰に付け足したり、ひどいものは例えばミスチルのようなバリバリの邦楽にダブやクラブのカオスなビートでミックスされるものもある...だいたいアルバムの最後の方にクレジットされる訳やけど、それなら未発表のオリジナル曲を入れてほしいもんやと個人的には言わせてもらいたい。
と前半は持論を展開してもたが、そう言ったことを裏切る楽曲もたまにはある。でそれが今回のダイエ・ジャックさん。ナイジェリア生まれのラッパー&シンガー。音は最新形でエレクトロなHIPHOP、SOUL系統で、型にはまらない自由形でノリもライトめ。おそらくリード曲なんだが、このリミックスが荒々しいダブ風、アフリカンなアレンジが絶妙にハマる。煽り立てるようなラップもトラックに実に相性良く絡むし、次世代のパーティーチューンとしてはEDMやなく、このテイストのものがフロアに流れてほしいと単純に思ったな。自分がDJならそうするさ。
CHARLIE PUTH / Attention
何やどっかの若造やないかと思ってるだろうが、曲単位では今年一番のヘヴィローやったかもしれない。アメリカではジャスティン・ビーバー的な存在なのか、いやもうちょっと玄人好みのアーティストか、正直そこまでの情報はなし。肩書きとしてはシンガーソングライターやけど、クラブミュージック要素が入ったかなりポップスよりの音楽。歌とサウンドがちょうどいいバランスで楽しめるアーティストでも言っておこか。とにかくこの曲は抜群に良いことだけは確実。
初めのAメロは音数も少なくボーカルのうまさが際立ち、サビが衝撃の展開。何と分厚めのベースラインのみをバックにボーカルが歌い上げるという流れ。この短い何小節かのサウンド空間がとてつもなく刺激的で、今まで聴いたことのない体験をしたような感覚。こんなんもありなんかと。全体的なトーンは切ない曲で、普通ならメロウなシンセ、ストリングスとかを持ってくるのが定説だが、唸るベース音を持ってくることで違った表情を見せている。この若造の発想ではないかもやけど、常識を打ち破るチャレンジングな音作りを見逃さんですよ。
Suchmos / STAY TUNE
猫も杓子も・・・とまではいかないが、2017年はこのバンドが熱かった。ジャンルや音楽性など違うが、学生の頃に夢中になったDragon Ashの盛り上がり方と若干かぶるのは俺だけか。品のいいKREVAのようなビジュアルの中央にいるボーカル「ヨンス」がワーキャー対象になってるが、音楽のいいとこ取り、柔軟な吸収性を持ってアウトプットする能力は他を圧倒するセンセーショナルを感じてしまった。
SOUL、JAZZ、HIPHOP、CLUB、ROCKをあくまでジャパンサウンドとして表現する音作りは久しくいなかった存在。ってことで何かやっと出た感で嬉しくなりやした。今回は車のCMソングとかになっていた曲をチョイス。ベースが結構曲をリードして、音が前に出てるのが好みやな。微妙にオルガンっぽいおしゃれ音も加えながらも、俺らの音っておしゃれやろみたいな嫌味がない。後半にくるベースがブーストしたような激しい展開はココロオドルノーバディーノーズ。
マリ・ミュージック / Gonna Be Alright
まず縦サイズの画像しかなかったことを許してほしい。のっけから情報のない人なのだが、iTUNESで一聴買い。何でもゴスペル中心に活動していたお方のようで、歌声の自然で軽やかな伸びやかさは、そうしたバックグラウンドも納得できる。ドゥーワップの一節をサンプリングしたようなインパクトあるイントロで速攻掴まれて、シンプルなリズムとトラックに、メロウで心地よい歌声がまるでポエム読んでるような展開で進んでいく。
リズムが何とも印象的でサウンドはHIPHOP的とも言えるし、ダブ・レゲエっぽい間の埋め方なんかも感じる。でも全体的にはSOUL、R&B。何とも不思議というか意外と聴いたことないタイプのような気もしたな。声質がジョンレジェンドに比較されるが、フォロワーにならず埋もれないでほしいアーティスト。今後に期待大。