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初めての差別

私が利用した留学団体主催のお泊り会があった。
同じ団体の子がニューヨーク州の雪がたくさんふり積もっている
場所に行き、現地の高校と生徒の家にホームステイをさせてもらうという
プログラムに参加した。

ほかにもいろんな旅行企画があったけど、ことごとく逃した
私は最後のチャンスであるこの外泊をとても楽しみにしていた。

現地の高校生と一緒にバスにのり、アクティビティをたのしんだり
留学生同士で話したりバスケットをしたりと順調にたのしかった。
ステイ先はドイツ人留学生の女の子と一緒に1つの家族の家へ、
ファミリーと一緒に食事をとったのだけど、私はこのディナーで
初めての差別を受けた。

すごく怖い感じのホストファザーだったけど
ドイツ人留学生の子と先に英語で会話をし、いよいよ私の番に。
日本からきました、と伝えたら「トヨタが大問題をおこしているな!」と
(2009~2010年トヨタ自動車の大規模リコールが当時ニュースで流れていた)私に怒ってきた。その場が一気に静かになるのを感じた。
凍り付く私だったけど、なぜか「トヨタは大丈夫だと思います」と返した。
これがまた火に油を注いでしまった。「いいや!最悪だ!」
と言われてしまい、私はだまってしまった。当時の英語力では理解は
ここまでだったけど結構言われた。

どうして私が怒られているのだろう。
私がいったい何をしたというの?
留学生は国を代表する選手なの?
私に一体どうしろというの?
この場であやまればいいの?

気が付けばホストファザーは退席し、
ディナーがおわっていた1日目。

二日目の朝はすでにホストファザーはおらず、
ホストマザーをはじめ高校に通っている女の子、小学生くらいの男の子
5歳くらいの小さい男の子はとてもやさしくて昨日のことを
すごく気にしてくれていたのが言葉や行動で伝わってきた。
(よかった、ホストファザーと顔を合わせなければ何もないんだ。)

もやもやした気持ちも片隅に置きながら、二日目の夜は留学生たちと
集まったあと、自分の寝室にもどりシャワー前の時間を過ごしていると、
一緒に滞在していたドイツ人の女の子がほかの学生と大麻をやったことで
大問題になっていた。

高校生のホストシスターが「大丈夫?」と、気にかけてくれている
気を遣わせすぎてしまっていることを感じた私は
(実際そこまで大麻の件は驚いたけど関係ないので本当に気にしていない)
「猫足バスタブのバスルーム使ってもいい?夢だったの!!」
と話題を変えた「もちろん!」と笑ってくれたのがうれしかった。
誰よりも気を遣ってくれていたから、ちょっと距離が縮まって嬉しかったのを思いだした。

最後の朝は一緒に写真を撮らせてもらった。
(もちろんホストファザーはいない。)
リビングのソファーで寝ていた5歳くらいの男の子(1番下の子かな)
がゴロゴロしていたので少しだけ一緒に遊んだ。

もう一人この家族にはハイチからきた1歳の男の子がいる。
家族にかわいがれていた。最後の日私のへやにきてくれて
一緒に遊べた、ホストマザーに「一緒に連れて帰ってもいいわよ」と
冗談をいわれて笑った。
(ハイチ大震災のためボランティアで一時的に預かっているそう。)


何とも濃いホームステイを過ごし、いつもの家、香りを
実家のように感じ、安心したのを覚えている。
私を家族のみんながファミリーとして受け入れてくれているという
安心感は本当にに何にも代えられない、ありがたいものだった。

あとは、私がどこかで忘れていたホストファミリーに対する感謝を
思い出させてくれたのかもしれないとも思った。


私は自分のデジカメのポーチを忘れていたことに気づいた。
でもあきらめていた。忘れた私が悪い、あきらめていた時に
小包が届いた、ホストシスターからの手紙とデジカメのポーチ。
ポーチが返ってきたことにも優しい彼女のメッセージに
笑顔になるわたしがいた。











ー2011年2月8日トヨタ車に機械的な不具合はあったものの、
急発進事故のほとんどが運転手のミスとして発表された。ー

私はガッツポーズをした。

”トヨタは大丈夫” ”この騒動は違う”
私の七不思議、根拠のない自信がわいてくる時がある。
それが数年後証明されたと気づいた。







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