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高齢者の腰痛を振動で改善


今日は新聞にこんな記事が載っていたので、皆さんに紹介したいと思います。
歳をとって腰が痛むと、何をするにも億劫になり、筋肉の減少や筋力低下が起こる「サルコペニア」や、全身の虚弱「フレイル」につながりかねません。
従来の検査では異常が認められない腰痛もあります。"足腰の感覚機能"が原因になるケースも含まれることが分かって来ました。
国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)と名古屋工業大学(名古屋市)は、体の"センサー"を振動で刺激する装置により、そうした腰痛の改善ができる事を報告しています。

センサーの衰え

高齢者の腰痛は、骨や関節、筋肉など、どこかが痛んで起きるものが大半で、多くは超音波やエックス線、CTなどの検査で原因を推定できます。
「ただ、それでも原因が分からない人、薬でも治りにくい人が一定数いる」と、同センター整形外科部長の酒井さんは言います。
酒井さんらは、そうした人の中に、足腰の位置や動き方向などを感じ取る働きの異常による腰痛が含まれる事を報告してきました。
全身には、筋肉の「ゴルジ腱器官」、皮膚の「マイコネル小体」、皮下や骨膜の「パチニ小体」など、"センサー"に当たる多様な「受容器」が張り巡らされ、こちらが働く事は「固有感覚機能」と称されます。
そこで得られた体の位置や角度、動きの情報が中枢神経に送られ、動きの情報が中枢神経に送られ、それに応じて自律的に体のバランスを取ります。「この固有感覚機能の衰えで筋肉の動きが遅れることが、痛みの原因となる」と酒井さんはみています。

診断と治療と

個々の受容器は、特定の周波数の振動刺激に反応する特徴があります。
酒井さんは、名古屋工業大学の森田教授(制御工学)のと協力し、腰と下半身の多くの受容器に、その周波数で刺激を与える振動装置を開発。刺激への反応を測ることで衰えを診断し、さらに同じ刺激によって機能改善ができるかを調べました。
同センターを受診し、明らかな原因がなく、薬でも腰痛の取れない65歳以上の患者56人の固有感覚機能をこの装置で検査。機能低下が認められた32人を治療の対象にしました。
対象者は自宅で装置を使い腰とふくらはぎの左右計4ヶ所から体内の受容器に30から240ヘルツの振動刺激を与えます。
1日3回、2週間使用した結果81%で固有感覚機能の改善が認められ、そのうち73%は腰痛も改善しました。既に特許を取得し、今後医療メーカーと連携して普及を目指していくとのことです。

テストと訓練

装置なしで固有感覚機能の衰えを知り、改善する方法はないのでしょうか?
酒井さんは、簡単なテスト2つと運動を紹介しています。
一つは浅く椅子に腰をかけてもらい行います。
目をつぶって片足を前に上げます。
次にもう片足を最初の足と同じ高さに感じるところまで上げます。
目を開けて両足の高さにズレがあれば問題があります。
もう一つは「足踏み」です。目をつぶって、その場で100回足踏みをします。終わった後に最初の位置から1メートル以上動いていたらバランス感覚に問題があります。
「倒れたり転んだりする心配があれば、支えにつかまって行うように」とのことです。
また、改善の訓練として現在推奨しているのが、「ピッタリステップ運動」です。
両足を揃えて立ち、踏んでも転ばないタオルや細ひもなどの目印を爪先に置きます。
片足を一歩踏み出し、その足のつま先に接するように、もう一つの目印になるタオルや紐を置きます。
最初の姿勢に戻り、前方の目印に爪先がぴったり接するように足を右左、左右と踏み出します。
左右のつま先が揃うように心がけるのが大事です。転ばないように後ろ向きには行いません。左右各10回、1日5セットを推奨しております。

脳を守る8つの習慣

適度な運動や、適切な血圧、血糖値の維持など米国心臓協会(AHA)が提唱する8つの健康習慣を持つ中年は、脳卒中や認知症など、脳の病気になりにくいとの調査結果を、米エール大学のチームが米神経学会誌に発表しました。
AHAは心臓の血管の健全性を保つ観点から、適度な運動習慣、良い食事、適切な体重維持、禁煙、適切な血圧、十分な睡眠、適切なコレステロール値、適切な血糖値の8項目を健康的な生活指標「ライフエッセンシャル8」と提唱しています。
チームはこの生活習慣が脳の健康にどのように関連しているかを検証するため、平均年齢56歳の約31万6千人の英国人を約5年間にわたって追跡。調査開始時の8項目の総合的な評価スコアに従って3グループに分け、各グループの5年後までの脳卒中または認知症、老年期うつ病の発症との関係を調べました。
その結果、スコアが高評価のグループでは、いずれかの脳疾患を発症するリスクは0,7%だったのに対し、中程度のグループでは1.2%、低評価のグループでは1.8%と高まりました。
統計的な分析で低評価のグループは、高評価のグループに比べていずれかの脳疾患を発症するリスクは2.11倍、中程度のグループは1.37倍と推計されています。
平均年齢56歳の米国人約6万8千人の追跡調査でも、高評価のグループは脳疾患の発症リスクが低いことが分かりました。
チームでは「『ライフエッセンシャル8』は、自らの意思で改善可能なものばかりだ。
中年期にこれらのけんこうしゆうかんを維持する事で、脳に好影響をもたらす事が示された」と指摘しています。

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