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ちょっと変わった名前の女がいた

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ちょっと変わった名前の女がいた

花束の束に子と書いて「束子」

彼女の話では、父親が煙草好きであり、娘が生まれたら「タバコ」と名前をつけようと思っていたらしい。

そして彼女が生まれると
父親は市役所に出生届を出した。

さすがに「煙草」では可哀想だと思ったのか、「束子」と届けを出した。  

市役所の担当者は、
「たわしと読むんですか?」と聞いてきた。

「いいえっ!たばこですっ!!」
父親は力強く答えた。

束子と書いて「たわし」と読むことを彼女の父親は知らなかった。

いつの時代にも小憎らしいガキはいるもので、束子と書いてたわしと読むことを知っているガキがいた。

「やぁ〜い、やぁ〜い、たわしっ!
たわしのたばこっ!」といつものようにイジメられていたと彼女は言っていた。

もしかすると、今どきの若い人は
「たわし」のことを知らないかもしれないが、それはどちらでもあまり関係ない話だ。

そんな束子とぼくが初めて出会ったのは、ぼくが大学を卒業して、新入社員として名古屋に配属されてからのことだ。

もうかれこれ長い付き合いになった。

生まれた赤ちゃんがようやく大人になって、
何かの巡り合わせで気がついたら親になっていて、
いつの間にかその子供が生意気な口を利くようになった。。。

それぐらいの年月を一緒に過ごしてきた。

束子と一緒にいた時間は、もはや束子はぼくの身体の一部であるといっても言い過ぎではないと思われるほどだった。

束子と付き合い始めた頃、ぼくは弘美と2人で映画を観たことがある。

その日は土曜日だったが、ぼくは出勤日だった。先に会社を出て帰宅途中の公衆電話からまだ会社に残っているはずの弘美に電話をかけた。

思ったとおりに、弘美が電話を取った。

「これから映画観に行く?」と聞いてみたら「行きたい」と弘美は応えた。

スターウォーズなんとかいう映画だった。 

今日は弘美と映画を観に行く、とぼくは束子に伝えた。

「よかったね。行ってくれば。」

束子の返事は思っていたより素っ気なかった。

。。(^^;ゞ\(^^ )

気が向いたら続くかも⁈

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