ブレイキングバッド論
ウォルター・ホワイトの抱擁が持つ、対象に表象されるシニフィエを転換、逆転する舞台装置としての機能。
ブレイキング・バッドを観終わる。緻密に計算し尽くされた脚本。緊張感をもたらす音楽。メスを製造するときのドラマとは思えないお洒落なカット。どれを取っても見応えのあるドラマであった。
その中でも、特に印象に残ったショットがウォルターホワイトが身近な人間に対しての抱擁という行為である。この抱擁の映像が訪れる瞬間は、常にホワイトと対象者の関係性にずれ、もしくは逆転が生じる瞬間なのである