ごめんとしか言えないわー 4選

その1 幼稚園の頃の話

うちは共稼ぎだったので(書いてて思ったけど今はこういう言い方自体あまり聞かないかもしれないな。それが当たり前のようになっているから)、私が幼少の頃は祖父や祖母が昼間家にいて、幼稚園から帰って来た私の遊び相手となってくれた。その時の話。
私は大変な負けず嫌いで、祖父とゲーム(トランプか何か)をやっていて、私が負けると悔しさで号泣した。なので祖父が手を抜くと今度は
「わざと負けたー」
と言って号泣した、らしい。私は全く覚えていないのだが(大人になってから母親に聞いた)、確実に私だと断言出来る。そういう子供だったからな。
それにしても、祖父からしたらどないせいっちゅーねん、という感じだっただろうな。ごめんおじいちゃん。

その2 バイト時代の話

品川でバイトをしていた頃の話。山手線のホームで外国人に声をかけられた。やって来る電車を指しながら「Shinjuku?」と訊かれたのだ。外国人に話しかけられるなんて滅多にないからアワアワしつつ「Yes」とだけ答えた。外国人は「Thank you」と言って電車に乗って行った。
あーとりあえず分かる英語で良かったーと思いながら(Shinjukuは英語ではない)去って行く山手線を見た。
その電車は大崎止まりだった。
……ごめん! ほんとごめんあの時の外国の人!わざとじゃないんだマジで!


その3 コロナ前の話

私はヤクルトスワローズのファンなのであるが、当時スワローズは負けまくっていた(今もだけどな……………)。当時は球場に行って応援していたのだが、あまりにも負け試合しか見られないので気持ちが荒み、勝ち負け関係なく楽しめる野球が見たい!と思い、スワローズの関わらない試合を見に行くことにした。ちょうど横浜に行く用事があったので、横浜スタジアムに横浜DeNAベイスターズの試合を見に行くことにした。
席はベイスターズ側の外野の一番端のひとり席。外野だけどひとり席だしがっつり応援しなくても大丈夫だろうという目論見。そしてそれは当たっており、穏やかに野球の試合を楽しむことが出来た。
のだが、である。
その日のベイスターズは打線が絶好調だった。ホームランが出た。一応ベイスターズ側にいたこともあって拍手をしていたら、通路を挟んで隣の人からいきなりハイタッチを求められた。私は一瞬思いっきり『えっ⁉』という顔をしてしまい、それから慌ててハイタッチをした。私がそんな態度を取ってしまったせいで、その後ベイスターズは計5点を取ったのだが一切ハイタッチはされなかった。
いやあのね、これね、私がベイスターズファンじゃないからというよりスワローズファンだからなんだよ! スワローズって点が入ると応援傘開いて東京音頭歌うんだよ! すっごいベタベタして全然スムーズに開かない傘慌てて開いて掲げるんだよ。だから点が入ったら周囲のこととか気にしてられないんだよスワローズファンは! あちこちからベリベリ音がするんだよ(ビニール傘を開く音)。だから反応遅れたんだよ決してあなたとハイタッチするのが嫌だったとかじゃないんだよ!
……などと言い訳も出来ないまま試合は進み、ベイスターズが勝ったのでさすがにこの時ばかりは私からハイタッチに行きましたとさ。ろくにファンでもないのに外野席に来るなと言われたらそれまでなんだよねごめん。


その4 コロナ禍の話

私は某芸人さんのお笑いライブに行っていた。そのライブでは客からお題を貰って即興でフリートークをする、という企画があった。という説明を芸人さんがするのを、へー、とか思って聞いていたら、じゃあそこの女性の方、と言われた。私だった。
(その前から芸人さんからなんかチラチラ見られてんなーとは思っていたのだけど)
頭が真っ白になる私。とにかくアドリブが苦手なのだ。何も浮かばない。芸人さんは優しく、何でもいいよー、と言ってくれるが浮かばない。でも何か言わねばならない。
もういいや、と思って私は目についたものを口にした。

私 「じゃあマスクで」
芸人「えっ⁉ ドヴォルザーク⁉⁉⁉⁉⁉」

何でそんな聞き間違いになったのかも分からないが、違いますマスクです、と訂正する程でもないし、なぜか客席が大盛り上がりしたので、それでお願いします、と言った。
結果はぐだぐだなトークとなり、「俺悪くねえよな!」と芸人さんには叫ばれた。ほんとごめんなさい。なんでそうなったのか分からないんだけどごめんなさい。でも私悪くな(以下略)。