
越乃寒梅にもらった素敵な偶然🍶
立春とはいえ、寒い日が続きます。
最近、急に日本酒が飲みたくなって、夫に勧められた
越乃寒梅を飲むようになりました。
もともと日本酒も飲めていたのですが、二十年近く前に、なぜか日本酒に悪酔いして以来、ビールや酎ハイばかり飲むようになっていました。
でも、寒い夜に、温かい料理と日本酒でのんびり過ごすみたいなことをまた、やってみたくなったのです。
それで、徳利やお猪口がどこかにあったはずだなあと、探してみると、出てきたのはとても懐かしいものでした。
私は、二十代の頃、OLをしていて、新宿に程近いアパートで一人暮らしをしていました。ある日、仕事の後、そこへ職場の15歳年上の女の先輩が遊びに来てくれました。
二人で、近所のスーパーで、お豆腐や野菜などを買って、簡単なおつまみを作ろうとしていた時に、先輩が、「今夜は、日本酒を飲みましょうよ。」と提案してくれました。私は、家では缶ビールや缶チューハイしか飲んだことがなかったので、お猪口も徳利も持っていないことを伝えると、「じゃここで、買っちゃいましょう。プレゼントするから。」なんて言って、そのスーパーで、買ってくれたのです。
スーパーには、あまり種類がなく、
「どこかでいつか、もっと自分の気に入ったものを買うといいわよ。」と言われたことも覚えています。
可愛らしい梅の花の絵が描かれた徳利とお猪口です。
その時、飲んだお酒の銘柄は覚えていませんが、二人で作ったおつまみで、日本酒を飲んで、たくさん話をして、とても温かい素敵な時間を過ごしました。
自分で熱燗を作るということも、なんだかすごく大人になったみたいで、嬉しかったものです。
そして、その時の徳利とお猪口の優しい柄と風合いが大好きで、私はずっと愛用してきたのでした。
とても久しぶりの徳利とお猪口で飲む、越乃寒梅は、キリッとしてじんわりとまろやかで、相変わらずの私の拙い料理も引き立ててくれて、とても贅沢な味わいでした。
私たちは、厳しい寒さにじっと堪え、初春の残雪の中、凛と咲く梅一輪に、自らの酒造りの美意識を重ねます。
という言葉が、越乃寒梅のホームページに書かれています。
厳しい寒さに堪えて咲いている梅の花。それが、酒造りの美意識とは、なんて奥の深い感覚でしょう。
厳しさを知ってる柔らかさや、包み込むような強さがその味に込められている気がしました。
そして、梅の花の絵柄の徳利とお猪口で、越乃寒梅を味わっているという嬉しい偶然にも、笑ってしまいました。それから、ふと、思い出したことがあります。
徳利とお猪口をプレゼントしていただいた頃、住んでいたアパートの庭には、梅の木があったのです。
部屋のベランダから見下せるところにそれはあったのですが、私は長年、全く気づかずにいました。
ある日、その木が美しい白い花をいっぱい咲かせているのを見て、こんなところに梅の木が!と、びっくりしたのです。
庭に梅の木があるのに、何回も花を咲かせていたのに、それに気づかないなんて、よっぽど忙しく慌ただしい日々を送っていたのでしょう。
季節ごとに咲く花にちゃんと気がつけるような毎日を過ごそうと、心に決めたのはその時だったのだと思い出しました。
遊びに来てくれた先輩は、そんな私を心配して、労わってくれたのでしょう。それさえ、今頃になってわかりました。
あれから、何十年も経って、私は年下の人を思いやれるような大人になれているとはとても思えません。
多くの大人に支えられてきた人生なんだから、私も、誰かのためになる人でいたいと思いました。
今朝、犬の散歩に行くと、いつもの道の梅の花が、咲き始めていました。ピンクの蕾と白い花が、冷たい朝露に濡れて光っていました。
私にとって、暖かい春を待つ日々は、じっと堪えることばかりの印象でした。でも、寒さの中でこそ味わえる幸せもあり、厳しい季節だからこその温かさやありがたさがあります。そんな時だから、気がつく尊さもあるのです。
なんとなく、また日本酒を飲んでみようかなと思ったことが、巡り巡って、素敵な物語を読んだ後のような爽やかな気持ちにさせてくれました。🍊