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モクモク上海旅行【語学編】

 「ちょっと旅行してみようかな」と思った時に、ハードルの1つとなるのが言葉。でも、意外にどうにかなっちゃうのも言葉の面白さ。電話での会話は絶対無理だけれども、面と向かっての会話はどうにかなる。個人的には、異国でのコミュニケーションは、自分の語学力と相手の許容力の戦いだと思っています。自分が今まで学んだ単語や、聞いた話による背景知識をフルに使って会話に挑む時、単語力はもちろんのこと、相手の話がよくわからなくても推察によって会話を続けることができるこの不思議。自分の中にある、知っている単語が多ければ多いほど、推察の精度は上がる。そして、相手の懐の広さでも、会話が成立するか否かは変わってくる。相手が「あ、今わかっていないな」と気づいて、例えばある言葉を別の簡単な言葉で言い換えてくれたりすると、どんどん会話を続けることができるので、なんか自分ができる人になったような気がする←

注文チャレンジの現場

 列ができるほど混雑していたタピオカミルクティの店で、中国語を勉強している同行者(2年前に中検準4級合格なので、今は最低でも4級以上のレベルだと思う)が、注文チャレンジをすることにした。頼みたいメニューはすでに決まっている。彼はずっと飲みたいと願い続けていて、今回の旅行で念願の…だった。「いけいけ〜!」と見守る我。
 前に並んでいた数名の注文を経て、いざ自分の番が来て、さあ注文するぞ!という場面になった時、彼は一瞬躊躇した。あぁ、緊張しているな、と思った瞬間、すかさず後方から注文した中国人がいた。おお、これが噂に聞く【插队chāduì】か!とどこか他人事で思ってしまった。が、店員がその注文を普通に受けてしまった。こっちの方がびっくりした。目の前に注文しようとしていた客がいたのに、それを無視して後ろからの割り込みを普通に受け入れた。これはもう語学力うんぬんの問題ではない。悪いのは割り込みマンなのに、「早く言わないからやられちゃったよ」と言ってしまった。そしたら、別の同行者が「並んでんだよ」と怒りをあらわにした(おい目立つんじゃねえよ、と私も心の中でキレた)。結局この割り込みの後に注文出来たものの、当初注文するはずだった彼は萎縮してしまって、また割り込まれたら嫌なので、私が前のめり気味に注文してしまった。そして不運は続き、私はちょっと注文を間違えてしまったようで、タピオカミルクティを注文したはずなのにタピオカが入っていなかった。自分でもびっくりした。負の連鎖とはまさにこのこと。客が彼1人しかいなかったら、絶対こんな状況にはなっていなかった。当初の予定では、「この美味しいタピオカミルクティは自分の力で注文できた!」という成功体験を得てもらう予定だったのに、皮算用で終わってしまった。
 このエピソードを書いていて、思い出したのがオンラインレッスンの先生が教えてくれた話。先生がスーパーで旦那さんと買い物していて、レジに並んでいた時、突然おじさんに割り込みされた。それにも驚いたが、店員がその割り込みを目撃しながらも普通に商品を受け取り、レジを打った。先生の怒りの矛先は、レジの店員へと向かった。店員に「あなたたちのスーパーは割り込みを許しているのか!?」と尋ねたそうだ。店員と割り込みおじさんは気まずそうに無言になったとのこと。その後旦那さんに、「何されるかわからないから、あんな危険なことはやめてくれ」とお願いされたとのこと。中国人でも割り込みはカチンと来るし、でもそれに対して意見を言うのは危険なことなんだなと不思議な納得をしてしまった。割り込んだ本人にではなく、「あなたたちの店は割り込みを許してるのか!?」と言う問いかけ。これはいい。いつか使えそうな言葉。割り込みはされたくないけれども。

 今回の旅行は、2泊4日の超弾丸旅行で、そもそも簡単な言葉しか使わなかったので、言葉の壁にぶち当たることは特になかった。常日頃のオンラインレッスンの効果が遺憾なく発揮され、体感的に大満足だった。知りたい事は質問することができたし、相手が話す内容も聞き取れた。その点においては、日々勉強しておいて非常に良かったと思う。店での注文は、口頭のところもあれば、机のQRコードをスキャンして注文するところもあって、そこまでハードルは高くない。ホテルでも、フロント等のやり取りで困ることはなかった。
 今回の言葉の面での失敗といえば、上記でもエピソードを紹介したが、自分では無事注文できたと思っていたタピオカミルクティになぜかタピオカが入っていなかったり、それから、スタバで注文した美式咖啡がなぜか2杯出てきてびっくりしたこと。予想より支払い金額が高いな、と疑問に思った時点で店員さんに確認すれば良かったな。これは次回に生かしたい反省点。でも、この程度の失敗なら没问题。運もあるのかもしれないが、大きなトラブルに遭遇することもなくて本当に良かった。

 正直なところ、HSKに受かって気持ちよく旅行したいな、というのもあったけれども、「HSK落ちたけど、なんだこんなにコミュニケーションできるじゃないか!!」と変な自信もついた今回の旅行。家で黙々と勉強するより、上海旅行はよっぽど楽しかった。地下鉄やバスで静かにアナウンスの聞き取りに集中したり、街中の人たちの会話がなんとなくわかるのが楽しかった。路地裏の店のおばちゃんと話せたのもすごく嬉しかった。また行きたいなという思いが止まらなく、旅行後なのにホテルを検索し続けている私がいます…。

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