ダダイズム、未来派。塚原史『言葉のアヴァンギャルド』について
塚原史『言葉のアヴァンギャルド』(講談社現代新書)は、20世紀の前衛詩に通底する<切断の意識>に迫る。過去との切断であり、意味との切断である。前者はマリネッティの未来派であり後者はトリスタン・ツァラの『ダダ宣言』にはじまるダダイズムである。詩は存在論的問いかけから記号論的問いにかけに変容していった。マリネッティはレーシングカーにはじまる新しい美によって世界が豊かになったことを高らかに宣言し轟音を発し疾駆する自動車の、速度の美を示す。それは言葉の開放とも結びつく。文学における