【さわかみ関西独立リーグ観戦レポート】スイスの星
電車に揺られてやってきたのは兵庫県三田市。
※ちなみに三田は『みた』ではなく『さんだ』と読みます。
自宅から約一時間半ほどで到着致しました。
続いてバスに乗車し、向かう先は城山公園内にある『神姫バスキッピースタジアム』。
私はここで行われる『さわかみ関西独立リーグ』の試合の観戦に訪れたのです。
さわかみ関西独立リーグは近畿を中心に活動する野球リーグ。
チーム数は6球団、公式戦は3月の終わりから9月頃まであります。
このさわかみ関西独立リーグもそうなのですが、主な目的は『NPB入り』です。
つまり、皆さんがよくご存じのプロ野球チームにドラフト指名されて入団すること。
何らかの事情で大学を中退したり、不景気から縮小していく企業スポーツ、あるいはプロを解雇された選手等々……。
野球を続けたくても続けられない、または野球を続けたい気持ちが強い選手達の受け皿ともなり得る場所です。
そして、もう一つは野球を諦める場所――。
年齢を重ね、野球だけしか知らない状態では生きていくのが難しい。
夢を目指しながらも、夢から醒めるための場所でもあるのです。
そんな私がお金と時間をかけて何故観戦に訪れたのか。
それはある選手を見るためです。
名は『ノア・ウィリアムソン』選手です。
24年現在23歳、右投げ右打ちの外野手です。
ピンと来ない人の方が多いかと思います。
一応はスイス人の野球選手。
スイスと聞いて驚かれる方がいるかと思われますが、これには訳があります。
ノア選手の父親はアメリカ人で母親はスイス人、所謂アメリカとスイスの二重国籍。
そのため生まれも育ちもアメリカですが、スイス人でもあるのです。
全くスイスと関係ないのではないか、と言われればそうではありません。
スイス野球リーグ、チューリッヒ・チャレンジャーズでもプレイ。(スイスに野球リーグがあったのです!)
19年欧州選手権にも参加し活躍しております。(5試合 打率.421 HR3 打点8)
その後サンタバーバラ市立大などを経て、21年のMLBドラフトでマイアミ・マーリンズに19巡目で指名され入団。
マイナーで3年間プレイしていたのですが、7月にリリースされ日本に活躍の場を求めて来日。
さわかみ関西独立リーグの兵庫ブレイバーズに入団することになりました。
チームはノア選手の強肩にも注目しているようで、二刀流にも挑戦するかもしれません。
私はノア選手をSNSで知ったのですが、身体能力が高いとのことで楽しみな選手。
粗削りな部分はあるでしょうが、これから日本の高い野球技術を身につけて化けるかもしれません。
そのノア選手目当てに私は来たのです。(もちろん野球が好きなのもあるけど)
さて、肝心の試合です。
兵庫ブレイバーズ対和歌山ウェイブスのオープニングゲーム。
そう、ブレイバーズの開幕戦です。
客席ですが結構人数がいて、140人ほど集まっていたそうです。
実は2年前に同じさわかみ関西独立リーグの試合を観戦したのですが、その時より観客が多いのは間違いない。
※特にビジターチームの応援は片手の指で数えるほど……。
オープニングゲームの影響もあるのでしょうが、観客が多いことはとても喜ばしいことです。
リーグのレベルも上がっており、選手のパワーやスピードが2年前より上がっている印象でした。
それもそのはず、相手の和歌山ウェイブスは昨年の優勝チームとのこと。
特にトップバッターの小川佐和選手は調べるとリーグの盗塁王。
試合でも3盗塁を決め、ベースランも他の選手を圧倒。
167cmと小柄な体格ですが、今回観戦した試合では頭抜けて実力があるように感じました。
ウェイブスの黒いユニフォームがカッコよく、付けている黄色のバッティンググローブはまさに稲妻。
昨年はドラフト漏れしたとのことですが、指名されてもおかしくない選手。
今年のドラフト会議で、どこかが指名するかもしれません。(私の個人的な予想は育成指名)
……話が試合とノア選手から脱線しました。
試合は取って取られてのシーソーゲームで白熱とした試合運び。
途中、シンガーソングライターの歌やチアリーディングチームのダンスがあったりと飽きさせないように工夫しておりました。
個人的に私が面白かった部分はベンチからの声出し。
「フンハ、フンハ、息が荒いよ! 落ち着いて!」(仲間の投手に対して)
「ファイア!」(ノア選手の打席で)
「FOOOOO!(奇声)」(ファールで粘る打者に向けて)
両チーム共に元気よく、面白い声を仲間にかけており楽しいものでした。
ちなみにですが、試合の方は6-4でブレイバーズの勝利。
開幕戦を勝利で飾ることが出来ました。(拍手)
ちなみにノア選手ですが、この日は残念ながらヒットなし。
日本の投手に外角を中心とした配球、緩急つけた変化球にやられてしまいました。
※アメリカでは速い直球が責めることが基本的に多い。
打球には角度があり、ファールになりましたがライナー性の速い打球がありましたので、日本の配球に馴れれば活躍するのではないでしょうか。
また、投手に挑戦する可能性もあるとのことで今後が楽しみな選手です。
試合終了後。
観戦を終えた観客に向かい、ブレイバーズの選手達が一列に並びお見送りしてくれました。
みんな、大きな声と挨拶で笑顔で素敵なものでした。
もし……夢が叶えられなくとも、別の世界で活躍することは間違いないでしょう。
彼らはチャレンジャー、挑戦し努力したものは違う場所でもその時の経験は活きて輝くはずです。
「サインプリーズ!」
その中には当然ながらノア選手もいます。
私は片言のジャパニーズイングリッシュでサインを求めました。
ノア選手は嫌な顔せずに笑顔で応じてくれました。(人気者で私の前は若い女性にサインをしていました)
これがその時のサインです。
試合の後にお疲れなのにありがとうございます。
ノア選手も他の選手と同じくNPB入りを目指しているとのこと。
その夢が叶うよう、個人的に応援しております。
独立リーガー達に幸運を!
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