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作られたお岩さん

梅雨も明けていないのに、
連日の猛暑日、熱帯夜。
みなさん、お気をつけて下さいね。


エアコンのなかった江戸時代、
庶民が涼をとったのが
百物語といった怪談やら
魑魅魍魎が現れる不思議な話。

そんな中、日本の怪談で、
誰もが知っているのが『四谷怪談』。

4世鶴屋南北作『東海道四谷怪談』、
通称「四谷怪談」は、
江戸時代末期である1825年初演の
歌舞伎の演目です。

鉄漿を付けたお岩が、髪をとかしていて
恐ろしい姿に変わる「髪梳(かみすき)」の
シーンが特に有名です。

『東海道四谷怪談』は創作ですが、
お岩さんのモデルになった
女性は実在したとされます。
実際のお岩とその夫は
幸せな夫婦だったそうで、
いまもゆかりの場所が残っています。

実在したお岩の父親、
田宮又左衛門は
幕府の御家人でした。

父親の又左衛門はもともと徳川家康に
従って、駿河から江戸に移ってきた武士で、
夫として迎えた伊右衛門は婿養子でした。
伊右衛門とお岩は人もうらやむほどの
仲の良い夫婦で、終生円満に暮らしたとのこです。

しかし田宮家の禄高はわずか30俵。
家計はいつも火の車だったため、
お岩は家計を支えるため、
大名や旗本の家に奉公に出て働きつづけ、
やがて夫婦は田宮家を再興させたのでした。

また、お岩は、良妻賢母の模範、
「貞女の鑑」として崇敬を集めた女性で
そんな彼女にあやかろうと
参拝する人たちのためにできたのが於岩稲荷でした。

於岩稲荷は人々の信仰を集め、
1872年(明治5年)頃、「田宮稲荷」と
改められています。
しかし、その後、一旦、火事で消失しますが
戦後再建され、東京都指定旧跡にも
指定されています。

そんなお岩の人気のあやかって作られたのが、
実在のお岩が亡くなってから
189年後に造られた
『東海道四谷怪談』なのですが、
善人じゃつまらないと、当時起こった
様々な事件を混ぜ込んで
ショッキングな怪談話に
仕立て上げられたのでした。

最後にこんなお話を…
おばあちゃんの原宿と言われる
豊島区西巣鴨の妙行寺には、
お岩さんのお墓があります。

ちなみに江戸城・松の廊下で、
吉良上野介に斬りかかり、
切腹をした忠臣蔵で知られる浅野内匠頭の正室
「瑤泉院」の供養塔も、
お岩さんの墓の近くにあのます。
 
夫や赤穂浪士と同じ泉岳寺にも
瑤泉院の墓はありますが、
なぜお岩さんの墓の近くに
供養塔があるのかはいまだに謎だそうです。

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