お勧め新作映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』
今回、お勧めの映画は、作家・エッセイストの
五十嵐大氏による自伝的エッセイ
「ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と
聴こえない世界を行き来して考えた30のこと」を
映画化した作品。
簡単なあらすじ
宮城県の⼩さな港町に暮らす五⼗嵐家に
男の⼦が⽣まれました。
家族は“⼤”と名付けてその誕⽣を
大喜び。
⼤の家族は、
塗装職⼈の⽗と優しい⺟・明⼦、
そして破天荒な祖⽗・康雄と
祖⺟・広⼦という家族構成でした。
ほかの家庭と少しだけ違っていたのは、
⽗と⺟の⽿がきこえないこと。
幼い⼤にとっては、⼿話を使って
⼤好きな⺟の“通訳”をすることも、
背後から来る⾞から⺟を守ることも、
“ふつう”の楽しい⽇常でした。
しかし⼩学⽣になると、
自分の⺟が友だちのお⺟さんとは
違うことを、次第に意識するように
なっていきます。
やがて⼤は、周りの⽬を気にしたまま
中学⽣に。
反抗期も加わって、
外で⺟を⾒かけると
避けるようにもなっていくのでした。
そして迎えた高校受験。
しかし大の孤独な努⼒は報われず
志望校に落ちてしまうと、
母親にこう告げたのでした。
「全部お⺟さんのせいだよ!
障害者の家に⽣まれて、
こんな苦労して!」
⺟を世の中から“守りたい”のに、
その⺟を⾃分が⼀番傷つけている。
そんな⼼を持て余したまま、
⼤はふるさとを捨て
役者になろうと上京。
しかしプロダクションは全て不合格、
パチンコで時間を潰すだけの
鬱屈した毎日を送っているのでした。
そんなある日、大は⼩さな編集プロダクションの
就職試験に合格します。
一人暮らしを始めた
⼤のアパートには、
時折、⺟から⾷料の宅配便が届く。
そこにはいつも、幸せを祈る⼿紙と
五千円札が添えられているのでした。
やがて大は8 年ぶりに帰郷、
記憶の底に仕舞われいて
⺟への思いもかけない気持ちが
あふれ出すのでした。
いま、こうしてあらすじを書いていても
自分の目には、うっすらと涙が浮かびます。
自分も就職が決まりながら
どうしても現在の仕事がしたいと
家出して、ほぼ無一文の状態で
いまの世界に飛び込みました。
あのとき、自分の両親は
どう思ったのか?
この作品でも描かれていますが
親が子供を思う気持ち
痛いほど判ります。
そしてそれを成長ともに
理解した子供の気持ちも・・・
主演は、吉沢亮さん
母役の忍足亜希子さんや父役の今井彰人さんをはじめ、
ろう者の登場人物には
すべてろう者の俳優を起用しています。
監督は「そこのみにて光輝く」
「きみはいい子」などで国内外から
高く評価されてきた呉美保監督の
9年ぶりの長編映画
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