『裸のマハ』と、『着衣のマハ』の秘密
ローマ神話に登場する
サトゥルヌスという
農業の豊饒をつかさどる神が、
将来自分の子に殺されるという
予言に恐れを抱き、
5人の子を次々に
食べてしまったという伝承を描いた
『我が子を食らうサトゥルヌス』を
はじめとして
『裸のマハ』と『着衣のマハ』などの
傑作で知られる画家の
フランシスコ・デ・ゴヤは、
18世紀、スペインに生まれます。
芸術が好きだった父親の影響で、
ゴヤは13歳から4年間、
地元の画家に師事して
絵画の修行をします。
さらに画家になる夢を追って
イタリアのローマで修業。
パレルモにある美術学校から
奨励賞を与えられるなど、
ようやく画家として認められたのです。
帰国後、40歳で
スペイン王カルロス3世付きの画家、
そして43歳のとき
念願の宮廷画家となっています。
ところで一番有名な作品
『裸のマハ』と『着衣のマハ』
彼はどうして
2枚のマハを描いたのでしょうか?
実は、この時代
神話に登場する女神以外、
女性の裸体を描くことは
禁止されていたのです。
そんな時代にスペインの
首相マヌエル・デ・ゴドイから
2枚のマハを描いてくれという
オーダーがあったのです。
一枚は着衣、もう一枚はヌード。
それでゴヤは
『裸のマハ』と『着衣のマハ』の
2枚を制作、ゴドイの部屋に
飾られたのです。
しかしヌードが禁止されていた
ことから、ゴドイは
その飾り方に工夫を凝らします。
表に着衣、その下に裸のマハを重ね、
滑車を使って紐を引くと
裏から『裸のマハ』が
登場する仕掛けを作ったのてす。
ちなみに『裸のマハ』は
西洋美術で、初めて
実在の女性の陰毛を
描いた作品といわれている
実は、モデルはゴドイの愛人
ペピータという女性だとされ、
裸のマハは、身体だけペピータで、
顔は本人と解らないように、
あえて違う女性の顔が
描かれているのです。
これは男の性ですね。
夜中にこっそりと眺めて
ニンマリとしていたことが
容易に想像できます。
スペイン・マドリードのプラド美術館には、
2枚の絵が並べられて
飾られています。
ちなみにマハとは、スペイン語で
「洗練されている女性」という意味です。