エサを運ぶ回数1日500回
子育てを終えて、そろそろ日本を
離れる時期を迎えるツバメ
そのツバメが日本に渡ってくる
時期は、宮古島、八重山列島など
南西諸島に現れるのが2月初旬。
桜前線ならぬツバメ前線という
ものがあって気温が9度を
超えると、日本列島を
1日20㎞~30㎞ずつ南へ南へと移動し、
4月下旬には北海道にまで渡ります。
大切にしてきた鳥
農耕民族としてその歴史を
歩んできた私たち日本人に
とってツバメという鳥は、
穀物を食べず害虫のみを
食べてくれる益鳥として
とても大切にしてきました。
ツバメは益鳥として
愛されてきたほか、
江戸時代になると、
「人が住む環境に巣を作る」という
習性から、“千客万来”“商売繁盛”の
シンボルともなりました。
また、ツバメの巣のある家は
災いから守ってくれるという
言い伝えも生まれ、
巣立っていった後の巣を
そのまま大切に残して
おく家は、現代でも多くあります。
人の家の軒先に巣をつくる理由
ところで、何故、ツバメは
巣を人家の軒先に
作るのでしょうか?
それは、天敵であるカラスや
巣を奪おうとする
スズメなどは、
人が近くにいることで
近寄りにくいためだと
考えられています。
力の弱いツバメは人間の近くで
巣を作ることにより
その弱さをカバーしていると
考えられています。
均等に餌をもらっているの?
ところで、親が餌を
持ち帰ってくると雛は、
一斉に黄色い口を思い切り開け、
ピーピーとねだりますが、
本当に均等に分け与えているのか?
心配になったりしますよね。
しかしちゃんと決まりがあって、
雛はお腹が空いている者ほど
前に出て口を開けているそうで、
最後には皆な同じ量の餌を
もらうとのことです。
ある観察記録によりますと、
雛が孵ると、
親鳥は朝6時から夜の7時まで
13時間労働し、1日平均500回以上餌を
運んだそうです。
ツバメの世界にもいるヘルパー
ツバメにとってその子育ては
かなりの重労働ですが、
実は、ヘルパーとして
繁殖活動を手助けする
両親以外のツバメもいるそうです。
このヘルパーは、繁殖のための
つがいを作れなかった
未婚者や、繁殖に失敗した
ツバメなどで、
他のツバメの子育ての
手助けをし、
雛に餌を与えたりするそうです。
写真は、偶然、私が撮影したもので
巣立ちしても
親からエサをもらっています。
写真にはありませんが、
全部で30羽くらいいて
日本を離れて、台湾やインドネシアに
向かう途中。
メスにもてるツバメとは?
最近の研究によると、
色の濃い(黒い?)オスと
尾羽が長ければ長いほど
モテるそうです。
名前の由来
最後にツバメの名前の
由来ですが、
「ツパッツパッ」という
鳴き声と、スズメや、カモメなど
古語で鳥の総称を指す「メ」という
言葉が転化して、
ツッパメが
訛って生まれた言葉です。
ちなみにスズメもその鳴き声
“ちゅんちゅん”と「メ」が
合わさり「ちゅんちゅんめ」が
訛ってスズメとなったそうです。