サイコパス・ドラッガー #14 愛憎
中国のとある街の高校では虐めが流行っていた。明日美やテレパシーの事は決して口外しないが学生の若者のスクールカーストはどの国でも深刻な問題と成っている。生徒達は自分に分が無いように其れ等を見て見ぬ振りをしていた。人間のマイナスの負の感情は全世代否、全世界の万国共通の物象なのだ。平凡な学生五飛の下駄箱に今日も剃刀が入っていた。意志の弱い五飛は其事を誰にも相談出来ずに居た。陰湿な虐めは其れだけでは無い。給食に虫の死骸、休み時間にバリカンで髪の毛を剃られるetc……挙げれば切りが無い。五飛は毎日泣いていた。見兼ねた教師は親に其の事を相談して教育委員会にも通達したが学校の汚名を背負いたくない校長は事実上五飛を殺した。幼気な少年の生命よりも自分の矜持を優先したので有る。化けの皮を剥がせば大人なんて社会や周りの目を気にしている子供なのだ。夜学校が終わって五飛は堪らず明日美の下にテレパシーを開く。明日美は入浴中だった。テレパシーを開けば明日美の目線の視界である画像と本人の気が見えてしまう。そう云う系だ。明日美は激怒した。
「糞餓鬼っ‼ 私の画像見てオナニーしたい⁉ 私おっぱい小さいわよ、其れで良い⁉」
五飛は一人部屋で蹲って泣きながらテレパシーをする。
「違うんだ東さん。神様なら僕を救って欲しいんだ」
明日美は聞き耳等持たない。
「言いなさいよ」
「僕はずっと学校で虐められているんだ。貴方みたい強くも無ければ気高くも無い普通の人間なんだ。そうだよ、僕ウンコだよ。でも性が無いだろう? 皆生きてるんだよ? 幸せに成りたいんだよ?」
「バーカバーカウンコが何か言ってら」
信頼関係無えんだ。此奴誰。何でテレパシーしなきゃ成らないの? 頭来た。
「大人をもっと頼りなさいよ。助けを求めなさい。学生の世界其の物がウンコなのよ。たまには遣り返しなさい。殺られっぱなしで良いの?」
「もっと僕に言って」
バスタオルで頭髪を拭きながら同時に喋る。
「あんたねえ、弱さだって罪なのよ? 遣り返さなきゃ其の儘じゃない。死んだら何にも成らないのよ」
泣きべそを掻きながら五飛は神の啓示を只求めている。
「虐めなんて第三者が解決したほうが良いの。加害者も被害者も単細胞なのよ」
「待ってよ、僕が悪いって言うの?」
「テレパシーを利用しなさい! 言いたい事分かる?」
成程。そう云う系か。僕から彼奴等にテレパシーを送れば良いんだ。五飛は妙に納得した。明日美に感謝の意を敬して会話は終った。シャワー上がりの麦茶を飲む神様はご立腹だった。
誰彼奴。知らね。
翌日。五飛は虐めに立ち向かった。明日美のテレパシーが彼を変えたのだ。虐めっ子集団達は慄き彼を見る目を変えた。以後、彼に友達が出来て其の様な光景は二度と見られなくなった。また一人新世界に救われたのである。明日美と云う存在が全世界を変えるまで秒読みに入っていた。三、二、一……零。
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