サイコパス・ドラッガー 28 ヘビーローテーション
時は来た、今だ。黒崎一は動いた。手始めに情報収集。そして仲間集め、勝利すること。やることなんて簡単だ。落ち着け、落ち着いて思考を展開しろ。僕は体を動かせない。その代わりに側には数台パソコンがある。眼の動きに合わせてカーソルが動き眼球の運動だけでコントロール出来る。僕は僕の出来ることをやろう。そうだとも。ここからストーリーが始まる。僕と東と日本が勝者となるストーリーをやるのだ。目的を遂行、実行する。メビウス? B’z? 検索結果は大ヒット! シッポが丸見えだ。そういう系だろ? 目に見えない物、暗闇にひそむ答えの道を進み続けた先に何があるか。僕が掴み取る未来、東が創ってくれた世界。愛の無い地球なんてゲームオーバーなんだ。もちろん分かっている、障害者なんて社会のひずみであって主人公になれない存在。それでも僕の心臓は動き続けて今日という日々を造ってきた。ベッドの上の生涯だけど、グッドホルモンなんて出るかわからないけどマイナス側の人間だろうがやれることをやるんだ。僕には僕だけの光り輝くものがある。信じるんだ、心の底のこの肯定感を。闇を払うんだ。幸せになれることを信じるんだ、実行するんだ。東に何度も闇テレパシーを送ったことか。でも彼女は気づかなかった。恐怖心が先行して小さい言葉しか送信出来なかった。何度叫んだことか。何度傷付き涙したことか。何度再生して復活したことか。枯れ果てた希望は過去を焦がす。僕の未来なんて絶望色で出来ている。スーパーマンのようなヒーローなんて絵空事。けど夢を思い感じることは何回でも無限にできる。僕には夢がある。僕の新世界は見上げた快晴の青空の中へ入ったような世界だ。爽やかで何も不安も無い日常。無限に続く喜び。そうだ、日本人なんて東の夢で出来ているじゃないか!! 片目から一粒の水が潤う。 それは頬をしたり誰にも気づかれること無く終わりゆく生命……。
あきらめない絶やさないその炎を、揺るぎ無い闘志を不屈のごとく思え。それだけだ。僕はそれだけで出来ている。今もこうしてテレパシーを聞いている。これも情報収集の場として平静の時間が流れる。生命は一つしか無い当たり前の事だっ! 燃やせっ焦がせ! 動け我が心臓! 気付け皆っ想って!! ここ北海道なんて片田舎で大したことないけど感じてるじゃないか東をっ! みんな生きているんだっ!! 良い感じになればいいんだろっ幸せになりたいだけだろっそれだけだろっそれだろう!? 希望も絶望もない最高の状態「無」になりたいんだっ!! そして死後の世界を創造しているんだ!! お前らの邪魔はさせないメビウス!! B’zは僕が絶やすっ絶対にっ! このテレパシーだっ!! 僕は全世界にテレパシーを全送信した。
「お前らの好きにはさせないぞメビウス!! B’zなんてただの機械のAIじゃないかっ!!」
一斉に僕に注目する世界。東はシャワー上がりにスマホをいじりながら呆れ果てている。そういう系だ。決めた。今僕は僕の内部で僕を変えている。幸せを実行したために、独り……
「マイ・ヒーロー! 僕の新世界は青空の向こうへ続いてるんだっ!!」
溢れ出る涙。フィギュアだらけの部屋は僕を僕としている旧世界だ。