赤まんま血で染め抜いた祝い飯
【『VIVANT』推ッス記念②】
『VIVANT』では、やたらと赤飯が出て来ます。
赤飯は、めでたいときのご飯。日本の皆様、ご存じのとおり、白いもち米を小豆の赤で蒸し染めた米料理でございますね。
なぜ赤飯はお祝いのご飯なんでしょう。餅米で作るお餅がお祝い事のときに食べるものですし、それに加えて赤はめでたい色とされているからでしょうか。日本では花嫁は白無垢ですが、中国では赤い衣装を着る。そこからなのか。打ち掛けは、まあ赤系統の柄物が多い気がするが。欧州では、昔は花嫁の衣装はブルーだったとか、赤だったとか、色んな色があっただとか。今の白が定番になったのは19世紀というお話。意外と最近。
なぜ、赤はめでたい色なんでしょう。昔は、現代ほど栄養が行き届いていなかったから、赤というのは血色の良い頬の色でめでたいイメージがあったんでしょうか。勝手な憶測ですが。
赤は血の色で、不浄や不吉をも連想させるのに、同時に祝いや喜びのめでたい色でもある。不思議です。
初潮のときにもお赤飯を炊くというのが日本の習慣ですが(全然、そういうことをしないご家庭もありますでしょうが)、月経のある女は不浄なんても古い慣習ではされているのに、めでたいとはこれ不思議。
ウチの田舎では、盆に赤飯を仏壇に供えて生きてる者も食べる。これまた不思議。
血の色の赤は、めでたい色であり、同時に不浄な色であり。身体の中を血が流れているということは生きているという証であり、喜ばしいことであり、身体の外に血が流れていく――つまり血を失うということは、生を失い、死に至る過程である不吉なことであり、従って、赤は。喜ばしい色であり、不吉な色である。まるでコインの裏と表のような色ですな。考えてみると。
初潮に始まる月経も、生命を生み出す準備が備わったという言祝ぐべき現象だが、古代においては血のにおいは野生の肉食動物を呼び込む不吉なことでもあったんでしょう。
余談ですが、女人禁制の山が多くあったのは、山では、女性の月経血のにおいに誘われた肉食動物に襲われる危険性があったからという説は、至極信憑性があるように思います。月経は、順調な人でも、ちょっとリズムが狂うことがあります。体調次第でひどく狂うこともあります。狩りに入って、己の血が誘い込んだものに狩られちゃあ、洒落になんない。あ、でも更に余談ですが、吉村昭の小説『羆』には伝説のおばはん熊撃ちが出て来ます。フィクションなのだけれど、モデルがいたかもしれない。だから、昔も女性の狩人が全くいなかったわけではなかったと思います。女は得てして長生きだから、閉経したおばはんなら、体力があれば十分あり得ると勝手に想像している。
さて、前置きが長ったらしくなりましたが『VIVANT』では、赤飯を日本人を実感させるアイテム、つまり日本を象徴するものとして扱われていますが、赤飯は白い米を赤く染めて炊いていることに、白地の赤丸の日の丸をふと思い浮かべてしまった。いやね、白飯の真ん中に梅干し一つおいた日の丸弁当でもいいかな?ってさ。それだと「うーん、おいしい」「うまい」ってセリフが出てこないか。そもそも梅干しが海外では入手しずらいか。ドラマのバルカ共和国だと、梅干しの代わりに干しナツメなんか埋め込んで「うーん、なんか違う……」ってセリフになっちゃう。VIVANT――別班ならぬ残班(残念な別班)……。
ドラマ中にこれまで3回赤飯シーンが出て来ますが、1回目、2回目と違って、3回目のテント幹部が赤飯を食べるシーンでは、赤飯に血の赤のイメージを抱いてしまった。テントの善行は、実は血の上に成り立っているかと思うとさ……祝い飯の赤飯が初潮のときにも炊かれと、死者に赤飯を供える地方もあるかと思うと、どうしても血染めの飯という隠れたニュアンスがあるかと勘ぐってしまう。たぶん全然、違うと思うけれどもね。
ちなみに別班も目的のために殺しもやるし、黒いことして資金調達もするし、テントとどっこいというところも、意味深やなぁ。ベギとっつあんと実息子、組織立場は違えど、やってることに大差ねぇって、そんなところでも親子の「血」を感じさせる演出っていうか、シナリオっていうか、憎いですな。
では、謎コーナーです。
今回は、主人公の父親であるノゴーン・ベキ こと乃木卓にまつわる謎です。
1.乃木親子を見捨てるように支持した上司は誰か?
これはきっとみんな思ってる。なぜそういう指示を出したのかという謎もある。
2.ベギは、どうやって自分たち親子が見捨てられ際の事情を知ったのか?
ベギのとっつあんは「仲間は飛行許可証を偽造してまで助けようとしてくれたが……」と言っていたが、それをどうして知った? どこからその情報を入手した? もしかして、まだ密かに公安あるいは公安だった誰かと繋がりがあるのか? そう思うと、公安内部にモニターがいるようにまたしても思っちゃうんだよなぁ。
3.亡くなったベギの妻(主人公の母親)の遺体はどうなった?
どこかに埋められたのだろうが、墓とかあるのだろうか?
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