からっ風 股引き王子の伊達薄着
またしても、タイトルに伊達薄着。寒いとこんなネタばかり浮かんでくる。
昔々、ある職場で、爺さんと婆さんではなく、私とは別の某雪国出身の同僚がおった。そして、密かに彼の隠れファンをしていた同僚女子がいた。
断っておくが、それは恋ではない。彼女には、別に彼氏がいたし。密かな「推し」っていったところか。
別の同僚が「あの子にとっては、彼は王子様なんだよね」とその様子を表した。それは「○○王子」という言葉が流行る前のことであったから、彼女に先見の明があったのか……いや、偶然だろう。
王子の実家は、その地方では、そこそこ名家らしく、確かに育ちの良さを感じさせるところがあった。育ちの良さに加え、背が高かくてインテリジェンスであったから、さほどイケメンでなくても、かの同僚女子が彼に王子様イメージを抱いたのは、まあむべなるかな。
ところがある日、彼女がそこはかとなく元気のない様子でいる。どうしたのだろうと思ったら、王子命名同僚が教えてくれた。
件の雪国出身の王子の足首から、いわゆる「股引き」が見えたのだという。それで「もう、がっかりだよ」ってことになったらしい。
股引き王子、私には、わかるぞ。股引を穿きたくなる気持ち。実は、私もスパッツというか、パッチというか……有り体に言えば股引に分類されるものを密かに仕込んでいる。
雪国出身者は、関東のからっ風が吹く冬は苦手なのである。このからっ風ってヤツは、まるで鋭いナイフが風になって飛んで来るような寒さなんである。雪が降る寒さと、からっ風の寒さは違うのである!
でも、温暖化で、この違いもどうなるんだろうねぇ……雪の降り方も違ってきてるし。根雪がないままに、いきなりドカ雪が降ることもしょちゅう。 そういやあ、あの腹巻きパンツの上品先輩社員は、根雪という言葉を知らなかった。「春になれば 根雪もとけて……」って、有名な童謡があるんだけど、雪の降り積もらない地域でしか暮らしたことがなければ、普段の暮らしに使用されない言葉だから、実感としてないんだろうねぇ。
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