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根性だ! メンタルマッチョ日本人/呑まれるは酒に弱いと知るがよい

 五七調タイトルを双子のように二つ並べたのには理由がある。

2023/10/08付の日経新聞で、後からぺらっと開いて左右両側にこんな記事が並んでいた。
《右側》

《左側》

 偶然なのか、意図的なのか。

 酒に弱い民族であるはずなのに、酒席が多い日本。
 今は減っていると思うが、ちょっと前までは「俺の酒が飲めんのか」オヤジは元より、女子会でも酒の飲めない人を小馬鹿にするような風潮があった。高校生が大人ぶって格好をつけているつもりで隠れて煙草吸って粋がるように、酒をガンガン飲んで「私ってイケてる女」アピールしている勘違いも多かった。
 素面では本音を聞けないから飲みの席が必要なんだという、とんちんかんリーマンも多かったなぁ。逆に自分の方がタガが外れて、業者に自社の内情をべらべら喋ってしまったなんて、実話で結構ある。
 素面の時は、良識的なジェントルマンなのに、酒が入った途端、セクハラ野郎に変身する輩も割といる。素面の時でも(A子ちゃん、かわいいなぁ。なでなでしたい)と心の奥底で思っていても、それはセクハラでA子ちゃんに不愉快な思いをさせるだけと、理性がちゃんと働いているのに、酒が入って理性が酔っ払ってしまうと「A子ちゃん、かわいい。(お尻)なでなで」なんてやらかす。

 そもそも、酒が飲めなければ一人前ではないって日本人の根性主義から端を発しているように思える。マッチョでなければ男ではない的文化の国や民族があるけれども、日本の場合、メンタルマッチョ。アルコールに弱い人が多い民族なのに「酒を呑めなければ……」なんて要するに、下戸も根性で克服せよってことなんだろうよ。無茶苦茶。でも、この無茶苦茶がつい最近までの日本社会の常識であった。恐ろしい。

 酒を飲むなとは言わんが、弱いヤツへの強要は元より、メンタルマッチョを発揮して無理して飲むのは止めとけよと言いたい。
 酒の強要もある種のメンタルマッチョ的マウンティングだよな。その普段は隠している(隠れていない人もいるが)マウンティング欲がアルコールで理性や思考が眠っちゃった隙を突いて、封印を解かれてしまうんだろうか。

 そもそも、上記記事にあるように、アルコールに弱い体質は、ある特定の病気に対抗するためであるのだから、決して悪いことではない。むしろ生命の生存本能としては、正しき変質(進化)なのかもしれない。酒が飲めないからと言って馬鹿にされる謂れは、科学的には全くない。「呑めないヤツはダメ」というのは、科学的にも社会の理屈的にも何の根拠もない。メンタルマッチョのこじつけマウンティングにしか見えない気がする。
 もうそろそろ、日本人も根拠も利も理もない「酒至上主義」メンタルマッチョを卒業してもいいんちゃうやろか……。(念のため、お酒そのものを否定しているわけではないですよ。飲み方とか、飲ませ方とかの問題。)

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