真夏日はバカボンのパパになりたし
昔は、夏になるとおっさんになりたくなった。バカボンのパパが羨ましかった。ステテコにシャツ一丁、そこに腹巻き。アホみたいな格好だが、涼しげ~。しかも冷房の効いたところでは、お腹は冷やさないように腹巻きでちゃんとガードしている。さりげなく合理的で賢い。バカダ大卒侮れず。
この格好でおっさんは外も歩けるんだぜぇ。近所のコンビニにもこれでプイッと行けちゃう。
女はそうはいかない。暑苦しい乳バンドをせねばならぬ。ちくしょう。なんて女の格好は面倒で非合理的なんだ。乙女心が不便と不憫と不平等にギリギリと煮えくり返って、よけい暑くなった。
だが、バカボンのパパが羨ましかったのは昔の話となった。令和の世の夏は、真夏というより魔夏が続く。今やあの合理的と感心していた腹巻きが暑苦しい。バカボンのパパルックでも暑苦しい。もはや時代は「デカパン」だ。パンツ一丁のデカパンルックだ。
いや、今度は格好というよりデカパンの自前肉布団が暑苦しい。デカパンは、パンツ一丁でも汗がダラダラ流れていそうだ。見ているこっちも汗がダラダラ……。
何だか何を見てもどこかが暑苦しくて、貧乏神でさえ貧乏くささが暑苦しい。貧相なミイラボディが灼熱の太陽で干からびたようで、暑苦しい。いやはや、とんでもない世の中になったもんだ。