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あなたの欲しい補助金はどうなる? 経産省予算要求に見る日本経済の未来像

皆さまこんにちは。
ビジネス支援行政書士 ライズ法務事務所です。

当事務所では補助金申請サポートなどを主業務としており、行政書士の中でも数少ない認定支援機関として経済産業省から認定されており、加えて、元官僚(制度を作る側)の経歴持っているという、レア度と専門性の純度が極めて高い事務所となります。

設立以降多くの事業者さまからお声がけをいただき、成長する機会に恵まれております。
本当にありがたい限りでございます。

さて、
前回の記事投稿から随分と間が空いてしまいました、、
実はありがたいことに本当に多くの方から仕事のご依頼を頂戴していて、なかなか記事作成が出来ないでおりました。(いや反省。。)

そんな中、政府から令和7年度の概算要求資料が公表されました。

経済産業省「令和7年度 経済産業省関係 概算要求等概要」より抜粋

この手の解説はあまり需要が無いのは分かっています。
実際、仕事柄、多くの方とお話しをさせていただくのですが、食い付きが良くないことは肌で感じております。

しかーし!
補助金申請サポートを主業務としている以上、触れないわけにもいかないので、今回は令和7年度の概算要求資料について解説記事を作成しました。

先にこの記事の概要をざっと書いてしまいます。

経済産業省の令和7年度の予算要求では、人手不足やグローバル競争の激化、気候変動といった構造的課題に直面する日本が、どのようにして新たな成長モデルを構築し、国際社会でリーダーシップを発揮していくか、という壮大なビジョンを示しています。

そこから見えてくる日本経済の未来像は、「創造性と技術革新を軸とした高付加価値経済」と言えます。

具体的には、AIとロボティクスを活用した生産性革命、グリーントランスフォーメーション(GX)を軸とした新産業創出、中小企業の大胆な成長支援、積極的なグローバル展開、そして経済安全保障の確保を通じて、日本経済の質的転換を図ろうとしています。

なぜこのような未来像を描き、そして、これらの施策は本当に日本経済に新たな成長をもたらすのでしょうか?

本記事ではこれらについて解説していきます。
人手不足対策から新規輸出企業の創出まで、幅広い施策がどのように連携し、日本経済の未来を形作ろうとしているのか、一緒に見ていきましょう!


1.人手不足対策:AI・ロボット活用と生産性向上への投資

日本経済が直面する最大の課題の一つなのが人手不足です。
経済産業省は令和7年度予算要求において、AI・ロボットの活用と大規模な生産性向上投資を通じて、人手不足問題の解決と日本企業の競争力強化を同時に実現しようとする意欲的な姿勢が見て取れます。
※下図はその一例です。

経済産業省「令和7年度 経済産業省関係 概算要求等概要」より抜粋

1-1 中小企業の省力化投資と大規模成長投資の促進


経済産業省は「中小企業省力化投資補助制度」に1,000億円(令和5年度補正予算)を計上しています。
これは既存基金の活用等を含めると総額5,000億円規模の大型支援策となります。

この制度の特徴は、その「簡易さ」と「即効性」にあります。人手不足に悩む中小企業向けに、カタログから選べる汎用製品の導入を支援し、迅速な省力化を実現することを目指しています。

具体的には、製造ラインの自動化設備、AIを活用した受発注システム、RPA(Robotic Process Automation)ツール、IoTセンサーを用いた在庫管理システム、クラウドベースの業務効率化ソフトウェアなどの導入が想定されています。
これらの投資により、中小企業は日々の業務の効率化を図り、限られた人的資源をより付加価値の高い業務に集中させることができます。

さらに、「中堅・中小大規模成長投資補助金」として、令和5年度補正予算で1,000億円を計上しています。
これは、地域の雇用を支える中堅・中小企業の工場新設や大規模設備投資を後押しするもので、生産性の飛躍的向上を目指しています。

どちらも『令和5年度補正予算』ではありますが、令和7年度予算要求の資料に掲載されていることから、引き続き取り組んでいこうという姿勢が読み取れます。


1-2 AI・ロボットシステムの基盤技術開発と人材育成


「デジタル・ロボットシステム技術基盤構築事業」に6.0億円を新規計上しています。
この事業は、特に中小企業におけるAIやロボット技術の導入を促進し、日本全体の生産性向上を図ることを目的としているものです。

本事業の主な特徴は以下の通りです。

この事業を通じて開発される基盤技術は、製造業だけでなく、サービス業や農業など幅広い分野での活用が期待されています。
例えば、飲食店における調理補助ロボット、介護施設での見守りAI、農業における自動収穫ロボットなど、様々な場面での活用が想定されています。

これにより、深刻化する人手不足問題への対応と同時に、日本企業全体の生産性向上と国際競争力の強化を図ろうとしているわけです。


1-3 デジタル人材の育成と活用


人手不足対策の重要な柱として、デジタル人材の育成にも力を入れています。
「地域デジタル人材育成・確保推進事業」に9億円を要求しており、個人のデジタルスキル情報の蓄積・可視化を進めていこうという姿勢が伺えます。

具体的には、デジタルスキルの評価基準の標準化、オンライン学習プラットフォームの整備、地域企業とデジタル人材のマッチング支援などが計画されています。

これにより、地方においてもデジタル人材の育成と活用が進み、地域経済の活性化にもつながることが期待されています。


1-4 『1.人手不足対策』のまとめ


これらの施策を通じて、経済産業省は人手不足という構造的課題に対し、技術革新と生産性向上という観点から総合的な解決を図ろうとしています。
AI・ロボットの活用や大規模投資の促進、そしてデジタル人材の育成は、単に人手不足を補うだけでなく、日本企業の競争力強化にもつながる可能性を秘めています。
また、これらの投資は雇用の質の向上にも寄与すると期待されています。
単純作業はAIやロボットが担い、人間はより創造的な仕事に従事できるようになる——そんな未来像が、この予算要求の背景にある日本経済のビジョンと言えるでしょう。
人手不足対策が、日本経済の構造転換と成長戦略の核心部分を形成していることが、この予算要求から読み取れます。


2.GX推進:脱炭素社会実現に向けた大胆な増額要求

経済産業省の令和7年度予算要求において、最も顕著な特徴の一つがGX(グリーントランスフォーメーション)推進への大胆な増額要求です。
GX推進対策費は前年度の6,429億円から9,818億円へと大幅に増加要求をしており、約52.7%の伸びを示しています。
この大幅な増額要求は、単に環境問題に取り組むのではなく、経済成長と環境問題を両立させるという非常に難易度の高い取組みへの決意の表れと言えるでしょう。

経済産業省「令和7年度 経済産業省関係 概算要求等概要」より抜粋

2-1 クリーンエネルギーへの転換加速


GX推進の中核を成すのが、クリーンエネルギーへの転換です。
この分野では特に以下の施策に重点が置かれています。


2-2 企業の脱炭素化支援と技術開発


GX推進には企業の積極的な参加が不可欠です。
経済産業省は以下の施策を通じて企業の脱炭素化を支援していこうとしています。


2-3 CCS(二酸化炭素回収・貯留)の推進


脱炭素化を進める上で、CO2の回収・貯留技術の確立は重要な課題となっています。
先進的CCS支援及び国内外での貯留適地調査事業に112億円(前年度12億円)が計上されており、大幅な増額要求となっています。
ここから、CCS技術の実用化と普及を加速させる狙いが読み取れます。


2-4 『2.GX推進』のまとめ


これらの施策を通じて、経済産業省はGXを日本の新たな成長戦略の柱として位置づけ、環境保護と経済成長の両立を図りつつ、グリーン技術で世界をリードする「環境先進国」としての地位確立を目指していると言えるでしょう。

また、これらの投資は単なる環境対策にとどまらず、新産業の創出や既存産業の高度化、国際競争力の強化にもつながる可能性を秘めています。
GXへの大胆な投資は、日本経済の構造転換と持続可能な成長モデルの構築を目指す、経済産業省の戦略的な取り組みと捉えることができます。

このように、GX推進への大胆な予算配分は、脱炭素社会の実現という環境目標の達成と、日本経済の新たな成長エンジンの創出という経済目標の双方を同時に追求するものであり、経済産業省の令和7年度予算要求における最重要施策の一つと言えるでしょう。


3.中小企業の成長支援:100億円企業への飛躍を後押し

経済産業省の令和7年度予算要求において、中小企業の成長支援は重要な柱の一つとなっています。
特に注目すべきは、売上高100億円以上への成長を目指す中小企業への支援強化です。
これは、日本経済の基盤を支える中小企業のさらなる成長を促し、経済全体の底上げを図る狙いがあります。

経済産業省「令和7年度 中小企業・小規模事業者・地域経済関係 概算要求等ポイント」より抜粋

3-1 大規模成長投資の促進と研究開発支援


中小企業の飛躍的成長を支援するため、以下の施策を講じていくことが記載されています。


3-2 経営支援とハンズオン支援の強化


成長志向の中小企業に対し、きめ細かな経営支援を提供するための施策も充実しています。


3-3 グローバル展開と新分野進出の支援


100億円企業への成長を実現するには、新たな市場の開拓が重要です。
経済産業省は以下の施策によってこれを支援しようとしています。


3-4 『3.中小企業の成長支援』のまとめ


これらの多角的な支援策を通じて、経済産業省は中小企業の成長、特に売上高100億円以上を目指す企業の飛躍を強力に後押ししようとしています。
この取り組みは、単に個別企業の成長を促すだけでなく、日本経済全体の活性化と国際競争力の強化につながることが期待されています。

中小企業が100億円企業へと成長することは、雇用の創出、地域経済の活性化、イノベーションの促進など、多様な波及効果をもたらします。

経済産業省の今回の予算要求は、こうした中小企業の持つ潜在力を最大限に引き出し、日本経済の新たな成長エンジンを創出しようとする意欲的な取り組みと言えるでしょう。


4.グローバル展開強化:デジタル時代の新たな輸出支援戦略

経済産業省の令和7年度予算要求では、日本企業のグローバル展開強化に向けた新たな取り組みが目立ちます。
特に注目すべきは、デジタル技術を活用した輸出支援戦略の展開です。

経済産業省「令和7年度 経済産業省関係 概算要求等概要」より抜粋

4-1 デジタル技術を活用した輸出支援


「海外ビジネス強化促進事業」として28億円が新規に計上されています。
この事業では、デジタル技術を活用した海外展開支援に重点が置かれており、オンライン展示会やバーチャル商談会の開催支援、越境ECプラットフォームへの出店支援などが含まれています。


4-2 新規輸出企業支援プログラムの展開


「新規輸出1万者支援プログラム」を踏まえ、新規輸出に挑戦する中小企業を支援する取り組みが強化されています。
具体的には、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)の交付金を活用し、越境ECを含むブランディング・プロモーション支援、海外バイヤーとのマッチング支援などに関する予算が計上されています。


4-3 グローバルサウスとの経済連携強化


「グローバルサウス未来志向型共創等事業」として35億円が新規に計上されています。
この事業は、アジア、アフリカ、中南米などの新興国市場との経済連携強化を目指すものであり、デジタル技術を活用した協力も含まれています。


4-4 『4.グローバル展開強化』のまとめ


これらの施策を通じて、経済産業省はデジタル時代におけるグローバル展開の新たな形を模索しています。

従来の物理的な海外展開に加え、デジタル空間を活用した効率的かつ低コストな海外展開の道筋を示すことで、より多くの日本企業、特に中小企業の国際化を促進しようとしています。

この戦略は、コロナ禍で加速したデジタル化の流れを積極的に取り込み、日本企業の国際競争力強化につなげようとする意欲的な取り組みと言えるでしょう。


5.まとめ:経産省が描く日本経済の未来像

経済産業省の令和7年度予算要求は、日本経済が直面する構造的課題に対する包括的なアプローチを示しています。
この予算要求から浮かび上がる日本経済の未来像は、以下のような特徴を持っています。

第1に、人手不足という課題をAIやロボットの活用、そして生産性向上への投資によって克服し、より高付加価値な産業構造への転換を目指しています。これは単なる省力化ではなく、人材の創造性を最大限に引き出す社会の実現を示唆しています。

第2に、GX(グリーントランスフォーメーション)を新たな成長エンジンとして位置づけています。脱炭素化への取り組みを、環境対策としてだけでなく、新産業創出と国際競争力強化の機会として捉えています。これは、持続可能性と経済成長の両立を目指す未来像を示しています。

第3に、中小企業の飛躍的成長、特に「100億円企業」の創出を強力に後押ししています。これは、日本経済の底上げと新たな中核企業の育成を通じて、より活力ある産業構造の構築を目指すものです。

第4に、新規輸出企業1万社の創出など、グローバル展開の強化を図っています。これは、日本企業の国際競争力強化と、グローバル市場の開拓による持続的な経済成長を目指すビジョンを示しています。

総じて、経済産業省が描く日本経済の未来像は、技術革新とグリーン化を通じた高付加価値産業構造への転換、中小企業の成長による経済の底上げ、そしてグローバル展開による持続的成長の実現といえるでしょう。

この未来像は、人口減少や気候変動といった構造的課題に直面する日本が、いかにして新たな成長モデルを構築し、国際社会でリーダーシップを発揮していくかという壮大なビジョンを示していると言えるものです。


さて、いかがでしたでしょうか。
経済産業省の令和7年度予算要求
について解説させていただきました。

ぜひ補助金の活用について検討してみてください。
また、もしご不明な点があれば当事務所までご連絡ください☆

今回紹介した内容があなたのビジネスをより効率的に進める手助けになれば嬉しいです。

補助金は『募集期間』があるため、「知った時にはもう終わってた、、」ということが起こりがちです。
ぜひ当事務所では補助金に関する情報発信を行っておりますので、定期的に覗きに来ていただければ幸いです。

もちろん、当事務所でもお手伝いさせていただきますので、お気軽にご連絡ください。
※民間企業など行政書士以外が申請者に代わって書類を作成することは違法です。行政書士以外の書類作成代行の広報にはお気を付けください。

今回は以上になります。

ご相談やご不明点などございましたら当事務所までご連絡ください。
各種支援制度が続々と動き始めていることから当事務所の業務状況次第ではご依頼をお受け出来ない事態も考えられます。
ご興味がありましたらお早めにご一報ください。

皆さまの持続的な事業運営を願っております。
それではまた

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