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『アメリカ製保健室』

ここは……保健室、だよな。
扉を開けた瞬間、和道はそう思った。
襖に屏風、床の間には掛け軸。まるで武家屋敷か茶室のようだ。
すると、
「ハァイ、いらっしゃいませ」
床の間の壁がどんでん返しに回転し、現れたのは白衣を着た金髪のクノイチだった。
パニックになって鯉のように口をパクパクとするだけの和道を横目にクノイチは勝手に喋り始める。
「ワタシ、養護教諭のマリーと言います。日本大好きです。この保健室もアメリカで日本用にカスタマイズしたものでーす」

和道の治療の間もマリーは雑談を続け結果色々と聞き出された。良くも悪くもフレンドリーな人なのだと和道は思い、その奇怪な保健室を後にした。
「ウフフ、潜入成功ね」
一人残ったマリーは不適に微笑んだ。
「裏の裏は表。忍者のコスプレをした保健の先生が実はスパイだなんて誰も思わないわよね」
カモフラージュ用の間違った日本風保健室。
その後もマリーは諜報(重宝)するのであった。

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