白黒写真の引き伸ばし体験 ~撮影旅行よもやま話集~
平成に年号が代わって数年か精々10数年、と言った頃のお話です。
写真仲間達が集まって話をしていたとき、白黒写真の話が出ました。
皆の話を聞いてみると、白黒の現像や引き伸ばしを経験したことがあるのは、年配者が多かったですね。
「昔は全部自分でやっていた人も結構いたが、今は誰もやってないな~」とのこと。
小生も一時期、中古の引き伸ばし機を譲り受けたので、引き伸ばしだけは自宅で、真夜中に行っていたこともあったります。
しかし薬品類の管理がとても面倒で、なおかつニオイがきつくて臭くて、薬品をこぼしたりすると大変なことになるしで、家族からは不評でしたね。
家族の不評もあり、結局1~2年程度で白黒の引き伸ばしは、諦めて辞めてしまいました。
引き伸ばし機や器具類は全て廃棄しましたが、引き伸ばし用のレンズ2本だけは、思い出の品として、除湿保管庫の中に今でも残っていますよ。
ただ残っているだけで、使い道はありませんが・・・
また、白黒写真の引き伸ばしは、馴染みのカメラ店で社長にその都度お願いして、店の白黒専用暗室を使っていない時間帯に使わせてもらった方が、引き伸ばし機の性能も良いですしね。
とにもかくにも、後処理も何もしなくて良いから、暗室を借りた方が楽であることが主要因でした。
「白黒の現像や引き伸ばしをしたことのある人は、意外と少ないよね」
「白黒フイルム自体、最近は全く使っていないね」
「現像は失敗すると元も子もなくなるからね」
「引き伸ばしだけでも、皆で体験する機会があれば、楽しいかもね」
「馴染みのカメラ店に、白黒の引き伸ばし体験会を、お願いしようか」
との、写真仲間達からの声がでたので、早速馴染みのカメラ店の社長にお願いしたところ、快く了解してくれました。
では被写体は何にしようかとの話になりました。
「白黒と言えば大井川鐡道の蒸気機関車だよ。ボディーはほとんど全部真っ黒なんだし、煙は黒や灰色だし、蒸気は真っ白なんだから、被写体にピッタリじゃないか」
と言う意見が出たので、皆で大井川鐡道の沿線まで、蒸気機関車の撮影に行くことが決定しました。
撮影にあたり、フイルムを白黒に限ってしまうと、せっかくの綺麗な風景が・・・となってしまう場合もあるので、カラーのネガフイルムでも可としましたよ。
カラーのネガフイルムならば、白黒フイルムと比べると白黒の発色は劣りますが、引き伸ばしは可能ですからね。
ただし、今回だけはリバーサルフイルム(ポジフィルム)では白黒の引き伸ばしが出来ないため、使用禁止としました。
SLの撮影も無事終了し、現像も済ませて、馴染みのカメラ店での引き伸ばし体験会が開催される日となりました。
引き伸ばし体験会に都合がつかない方については、参加者が代理で引き伸ばしをすることになり、どの写真を引き伸ばすか事前に聞いて、フイルムを預かりました。
引き伸ばし体験会では、社長自らが暗室と引き伸ばし機の取り扱いについて、レクチャーしてくれましたよ。
手本となる引き伸ばし作業を見せてもらい、今回は四つ切サイズに限定して、引き伸ばし体験をしてもらうこととなりました。
引き伸ばしの経験者は、最初から覆い焼きまで披露する方もいます。
引き伸ばしが初めての方は、何度も何度も挑戦しています。
失敗作も沢山出来てしまいましたが、とても楽しい引き伸ばし体験会となり、何とか観るに堪える白黒写真が、全員分完成しました。
せっかく皆が集まったのだからと、カメラ店の休憩室を借りての簡単な懇親食事会(飲酒無し)も実施して、楽しく1日を過ごしました。
今は機関車トーマスに模した蒸気機関車が、大井川鐡道で走る時期があるので、蒸気機関車が真っ黒とは限らなくなりましたね。
実際に撮影してみると、機関車トーマスの方が露出補正をあまり気にしなくて済む分、撮影自体は気楽でした。
大井川鐡道は残念なことに、2022年9月に発生した台風15号の大雨で甚大な被害を受けてしまいました。
いまだ一部の区間で復旧工事に着手できず、部分的な区間のみでの、営業が続いているそうなのです。※2024年6月現在
復旧に向けた費用の確保が課題として残っており、今後、クラウドファンディングや企業版ふるさと納税などの活用を検討していくということです。
皆さん、応援をお願いしますね。
馴染みのカメラ店によると、白黒引き伸ばし機は今は全く使わないので、白黒暗室は物置状態だと言っていました。
なお添付の写真は、白黒引き伸ばし会のために撮影した蒸気機関車等ではなくて、2018年に大井川鐡道で撮影したものです。