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矢川神社

 矢川神社は近江の甲賀は森尻にいます古社で、延喜式内社です。ご祭神は矢川枝姫命やがわえひめのみことと大己貴尊であり、矢川枝姫命は古事記には大国主命の孫である国忍富神くにおしとみのかみの后として記載されています。
 さて矢川枝姫命は古事記に記載があるのにどうも祀られている宮がそれほど多くはないようで、滋賀ではもう1社、葦那陀迦神あしなだかのかみというお名前で長浜の矢合やあい神社に祀られています。


矢合神社 二の鳥居
本殿
一の鳥居から塩津の平地を望む

 矢合神社の境内社には浅井姫あざいひめ命をお祀りする岩上神社があり、当地が浅井郡あざいぐんであったことの証か、あるいは水を司る浅井姫の霊威を恃んででしょうか。浅井姫命は琵琶湖に浮かぶ竹生島のご祭神です。葦那陀迦神も名に葦の字があり、水との関わりを感じさせます。
 矢川神社もまた雨乞いの神として知られていたようで、文明14年(AD1482)には奈良の山辺郡50か村から雨乞いの神験あったとして立派な楼門の寄進を受けています。

大和の山辺郡村民が寄進した楼門 かやぶきがとても美しい
太鼓橋
本殿
本殿前の社叢に猛禽類飛ぶ

 矢川枝姫命が甲賀の地場の神だとするならなぜ古事記に記載があったのでしょう。それほど当地が古代に重要な場所だったのでしょうか。それとも出雲などの国津神の土地で祀られていた神の記憶を私たちは忘れてしまったのでしょうか。遠い昔のことはいまは分からず、ただ矢川神社とその背後の杜がいまなお静かに鎮まり給いて私たちを慈しんでくださいます。

 矢川神社へはJR草津線の甲南駅から徒歩でも参れましょうが、社前に道を挟んで駐車場がありますからお車でも大丈夫でしょう。
 矢合神社へは神社脇に駐車場があったはずと記憶していますからお車でお参りできようかと思います。


 

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