【ランキングに目が行きがちですが…】GDPって何でしょう?
最近、『日本のGDPがドイツに抜かれて世界4位に転落』という報道がありました。
10年程前に中国に抜かれて世界2位の座から転落したのは記憶に新しいですが、瞬く間にさらにランクダウンしてしまいました。
ですが、そもそもGDPって何でしょう?
GDPとは?
日本のGDPがドイツに抜かされたニュースを耳にされた方も多いのではないでしょうか?
詳しくはわからなくても、なんとなく国の経済の規模などを示しているものかなぁという感じはしますよね。
GDPはGross Domestic Productの略で国内総生産のことをいいます。1年間など、一定期間内に国内で産出された付加価値の総額で、国の経済活動状況を示します。
ちなみに付加価値とは、サービスや商品などを販売したときの価値から、原材料や流通費用などを差し引いた価値のことです。もっとシンプルに言えば儲けとも言えます。ですから、GDPはその国の国内経済活動によってどれだけ儲けをあげられたのかを示しているといえます。
一定期間ごとに出てきますから、前の期間と比較して、その変化を%で表すことによってその国の経済成長率がわかるのです。
名目と実質の2種類ある?
GDPには名目GDPと実質GDPの二つがあります。
この二つの違いは物価の変動を考慮しているか否かです。
まず名目GDPは、対象の期間の付加価値を単純に合計して求めます。たとえ、インフレが起こって貨幣価値が下がっていたとしても、考慮には入れません。
一方の実質GDPは、貨幣価値の変動を考慮に入れて計算します。そのため、より正確な経済成長状況を把握するためには、実質GDPを用いるのです。
ただし、国同士で比較する場合、物価変動による貨幣価値の変化も経済力のうちということで名目GDPが使われるのです。
GDPは大まかな国の経済力や景気を表しますが、厳密なものではありません。ですから、こっそり商売をしていれば、もちろん含まれていません。
下がったから貧しいわけではない⁈
今回、ドイツに抜かれて世界4位となることが確実となりましたが、日本の順位はまだ下がると見込まれています。実は5位には成長著しいインドが迫ってきています。インドは人口も多く今後も成長が続くと見られていますから、近いうちに日本は抜かされるでしょう。
先ほど、GDPは厳密なものではないことをお伝えしました。あくまでもおおまかなものです。
また、物価変動が含まれているだけでなく、GDPは米ドル換算で比較されます。つまり、海外各国のように物価上昇が起こる中で円安が発生している状況下では純粋な経済力以上に日本以外の国の方が高くなりがちなのです。
実際にドイツの23年の消費者物価上昇率は約6%と高く、実質成長率はマイナス0.3%にもかかわらず、名目GDPが膨らみました。ドイツの景気は決して良くはありません。
また、経済は働く人の数が増えれば成長します。実際、日本の経済成長期は人口も増加していましたし、中国やインドも効果的な経済政策が取られているとは言えませんが、それでも経済成長が著しいです。
数字が下がってしまったからと言って、その国が貧しいとは言えないのです。
本当の豊かさを知るには?
その国の本当の豊かさを知るには国民1人当たりのGDPを見るほうが適切です。国際通貨基金(IMF)が23年10月に発表した世界経済見通しの中で、23年の各国の1人当たり名目GDPをドルベースで予測しています。
それによれば、国民一人当たりのGDPが高い国の上位はスイスなどヨーロッパの小国や中東のカタール、東南アジアのシンガポールといった人口が少なくてもそれなりに経済発展している小国が占めていました。
ちなみにこの国民一人当たりGDPのランキングでは、日本は34位でアメリカでさえ7位です。
人口が多くて経済成長著しい中国やインドはそれぞれ75位と140位で高くありません。
たしかにヨーロッパの小国は街も綺麗で人が穏やかに過ごしているイメージが強いですよね。このランキングだとなんだか国のイメージと順位がしっくりきますね!
GDPを通じてその国をイメージしてみよう!
ということで今回はGDPについてお伝えしました。
国民一人当たりGDPは興味深いですね!ランキングを見てその国の街角の様子を想像してみたり、産業を調べてみると、知らなかったその国の魅力が発見できそうで面白いですね。
どうしてもランキングの上がり下がりに注目がいきがちですが、深掘りしてみると新しい目線で世界経済が見えてきそうですね!